ソーシャルワークとは?社会で機能する場面とビジネス事例(2/3)

ソーシャルワークの機能と活躍の場

ソーシャルワークが果たす機能には単に社会問題の解決だけでなく、個々人を取り巻く生活環境の改善を図るといった個人と社会の関係性の修復も期待される。つまりソーシャルワークには社会的視点だけではなく、問題を抱える個人の視点も含めた人権擁護のためのアプローチも求められる。

ソーシャルワークに期待される主な機能

  • クライアントの課題解決能力や環境に対処する能力を強化する
    ・クライアントの相談に乗り、援助を行う
    ・高齢者や障がい者に対する虐待を防ぐ
  • 住まいや介護予防サービスなど、必要な社会資源とクライアントの関係を構築・調整する
    ・家族や地域住民、医療・介護サービス提供機関との関係調整
  • 関連機関や施設の効果的な運営や相互の連携を促す
    ・地域住民のネットワーク構築
    ・専門職同士の連携を促す
  • 制度や施設の運用改善を行い、社会全体の変革を促す
    ・ソーシャルワークの機能が発揮されることによって、住民主体の地域課題への解決体制や包括的な相談支援体制が構築され、地域共生社会が実現すると考えられている

以上をまとめてみると、人権をはじめとした権利擁護や社会的不公平の調整に対する援助や仲介、組織マネジメントや地域ネットワークの構築など、ソーシャルワークに期待されることは幅広い。そのためソーシャルワーカーの活躍の場は多岐にわたる。「ソーシャルワークに対する期待について(厚生労働省)」にはソーシャルワークの機能について詳細な解説が掲載されている。

ソーシャルワーカーが活躍する場所の例

  • 学校
    教育分野で活躍するソーシャルワーカーとしてスクールソーシャルワーカー(SSW)がいる。子どもを対象としており、子どもが生活の中で抱える悩みや問題の解決を図る
  • 病院
    医療ソーシャルワーカー(MSW)は、医療機関などで活躍する。入院中の医療費の支払い手続きの補助や社会的制度の提案を行う。退院後も地域の社会資源を紹介したり、生活スタイルの提案を行い、よりよい生活に向けたサポートを行う
  • 福祉施設
    児童福祉施設や高齢者福祉施設、障がい者福祉施設など社会的弱者の多い福祉現場で、生活補助や自立サポートを通して、一人一人に合わせたケアプランのもと自分らしく生きるための支援活動を行う。QOLの向上を目指し、関係機関との連携や社会福祉の整備も担う
  • 企業
    一般企業における障がい者雇用の環境整備やサポートを行う。また従業員のメンタルヘルスケアを担当することもある。2015年から義務付けられた、年に一度のストレスチェック制度では厚生労働省が定める基準を満たした精神保健福祉士は、実施者として遂行することができるため、企業におけるソーシャルワーカーの需要が高まりつつある
  • 社会福祉協議会
    社会福祉協議会が行う様々なイベントに合わせて、行政や住民と一体となって地域内での福祉活動に従事する。地元住民の相談窓口や、課題解決に向けた広報や組織活動、ボランティア活動など「住みやすい街づくり」を目指した地域福祉活動を促進する
  • 災害現場
    最近注目されているのが、災害時におけるソーシャルワークの在り方。被災者は避難生活から生活の立て直しまで過大な労力を必要とし、社会的な支援が求められる。福祉教育開発センターの論によると、災害時における要援護者の情報と共有はまだ甘いとのこと。同センターは避難後も「人権の尊重」や「自立支援」への配慮は必要で災害時下でのソーシャルワークの重要性を説いている
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