ソーシャルワークとは?社会で機能する場面とビジネス事例(1/3)
ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)は地域社会のさまざまな問題の解決を支援する事業や活動のことを指し、社会福祉とは少し異なる。ソーシャルワークの定義・事例と合わせ、「ソーシャルワークが機能することで何がどうなるのか?」を解説。ソーシャルワークの概念について理解を深めよう。
目次
ソーシャルワークの基礎知識
ソーシャルワークは地域社会のさまざまな問題の解決を支援する事業や活動のことを指すが、社会福祉とは少し異なる。
ソーシャルワークとは?
ソーシャルワークの定義は、2014年7月国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)総会及び国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)総会において採択された「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」において以下のように定められている。
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。(引用:ISFW「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義 」)
つまりソーシャルワークとは「地域社会で暮らす人々が生活していく中で直面する課題を解決するために、制度や仕組みを変えていこうとする働き」であり、「その制度や仕組みのこと」を指す社会福祉とは意味合いが異なる。ソーシャルワークは「生活課題の解消と、さまざまな構造をなす社会的共同体のウェルビーイング(個人や集団の社会的幸福)向上」を目的にしているのが特徴。なお、ソーシャルワークに従事する専門職のことを「ソーシャルワーカー」と呼ぶ。実践的な例は以下。
- 【ソーシャルワークの事例】
・困っている人のために支援方法を整備する
・高齢者に必要な福祉サービスを紹介する
・障がい者が企業で働くためのサポートをする
ソーシャルワークに関する主な国家資格
ソーシャルワーカーは、高度な技術や理論を駆使して社会福祉に関する事業に従事する専門職の総称で、一般的には、国家資格である「社会福祉士」と「精神保健福祉士」を指す場合が多い。どちらもソーシャルワークの専門職にあたるが、前者はあらゆる社会的問題を対象とし、後者は主に心に病を抱えた人を取り巻く社会的問題を対象としている。両資格の概要は以下。
社会福祉士
- 「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められているソーシャルワーカーと呼ばれる社会福祉専門職の国家資格
- 社会福祉施設などで働く人が多い
- 医療ソーシャルワーカーとして病院で働き病気からの回復や社会復帰を目指した相談援助も行う
- 他分野の専門職と連携し総合的な支援を進めるケースもある
- 社会福祉の実現のために社会資源の開発も行う
- (例)高齢者、身体障がい者、知的障がい者、経済面や精神面にハンディキャップがある人の相談を受け、円滑な日常生活を送れるように支援する
精神保健福祉士
- 「精神保健福祉士法」や「障害者総合支援法」に定められている精神科ソーシャルワーカー(PSW)の国家資格
- 精神障害のある人の日常生活に適応するための訓練や社会復帰への相談援助を行う
- 保健所で啓発活動をするケースもある
- (例)病院に入院してから退院するまでの相談に応じたり、生活訓練や就労支援を行ったり、精神障害のある人やその家族を支援する