健康・美容業界で増える「リブランディング」 企業事例・ブランド事例を交えて有効性を考える(1/5)

コロナショックのあおりやSDGsの浸透で企業に変革が求められる今、各業界でリブランディングに取り組むところが増えている。ヘルスケア業界もその一つ。リブランディングにより新しく策定された各社・各ブランドの新しいブランドメッセージを読み解くと、共通しているのは「自分らしさ」「ありのまま」「しなやかさ」「ダイバーシティ」「100年時代」など現代ならではの価値観を反映している点だ。最近の印象的なリブランディングと言えば、カネボウ化粧品。「美ではなく希望を発信するブランド」へとリブランディングし、女性たちの内面に強く働きかける”化粧” の力を伝えながら美のダイバーシティを表現したCMは大きな反響を呼んだ(同CMは第57回ギャラクシー賞CM部門大賞を受賞)。当社ウーマンズでもこれまでに様々な企業のリブランディングに携わり、その生まれ変わる姿をいくつも見てきたが、その効果は実に大きいと感じている。リブランディングの効用を、ヘルスケア企業・ヘルスケアブランドの事例(※)を交えながら見ていこう。

※本稿で取り上げる企業・ブランドは以下
・キューサイ
・ドクターシーラボ
・アスタリフト(富士フイルム)
・キシリッシュガム(明治)
・リゲイン(第一三共ヘルス)

リブランディングの意味

リブランディングとは

ブランディング(branding)とはブランドの価値を高めたり、市場での自社のポジションを明確にすることを目的とするマーケティング活動で、「re」には「新たに」や「再び」という意味がある。つまりリブランディング(rebrandign)とは、「ブランド再生」や「ブランド再構築」を意味するマーケティング用語で、すでに確立されたブランドを新たに定義し直すことを意味する。

ブランド戦略における選択肢の一つで、例えば長年続けてきたブランドイメージが市況や顧客の心理やニーズとマッチしなくなり、事業としても後退していてブランドの構築がうまくいっていないときなどに行われる。

市況も顧客の心理も常に時代とともに変化していくので、いかに有名なブランドでも、何もしないまま同じ訴求を続けていると顧客は徐々に離れてしまう。それを防ぐためにリブランディングを重ねながら存続しているのが、長く愛されているブランド。時代に合わせて、ロゴ、商品やサービス内容、プロモーションなどを微調整してブランドとしての鮮度を保っているのだ。

リブランディング手法の例

リブランディングの目的は、従来のブランドを見直し、より効果的な訴求を実現することにある。そのための具体的な手法として多いのは以下。

  • ブランドのロゴを時代に即したデザインに刷新する
  • ブランドコンセプトを変え、より広い層の顧客、あるいはそれまでとは異なる層にアピールする
  • 商品のパッケージをより使い勝手の良い形状にリニューアルする
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