応援消費を狙え! 自虐で笑いを誘ったヘルスケア広告事例4選

キラリと光るヘルスケア企業の広告事例を全4回の連載でお届けするコーナー。第1回目「体験型で巻き込む、ヘルスケア企業の広告5選」、第2回目「体験型じゃなくてもイケる!共感で引き込んだ広告6選」、第3回目「女性を解放する新概念で共感を呼んだ広告4選」に続き今回は「自虐で笑いを誘った広告事例」。正攻法だけが広告じゃない。自虐で応援消費を狙え!

買わなくてもいいので、今日はどうかラベルだけでも覚えて帰ってください(キンカン)

虫刺され薬「キンカン(株式会社金冠堂)」は先月、若者に向けた広告で渋谷駅をジャックした。若者が集まる渋谷駅に掲出したOOH広告で、何としても若者に商品のラベルを知ってもらおうと、キンカンのボトルを模した巨大柱巻き広告と合わせ、切実な本音をコピーで表現した。「買わなくてもいいので、今日はどうかラベルだけでも覚えて帰ってください」「若者に売れたい」という控えめな訴えが、見る人をちょっと切ない気持ちにさせてクスッと笑わせる。キンカンに馴染みない若者世代の心にも、きっと刺さったはず。

【出典】キンカン

【出典】キンカン

【出典】キンカン

【出典】キンカン

 

もうどうやって広告したらいいかわからないので。(KINCHO)

毎度一捻りがあって目をひくのが、KINCHO(大日本除虫菊株式会社)の広告。2020年5月に日経新聞に掲載した、ゴキブリ駆除剤「ゴキブリムエンダー」の広告コピーもさすが。「もうどうやって広告したらいいかわからないので」。

【出典】KINCHO

この広告企画が決定したのは昨年4月。COVID-19による緊急事態宣言が発令されたばかりで掲載日となる5月の状況がつかめなかったことから「どうやって広告したらいいかわからない」と迷いの気持ちをストレートに表現し、それを起点にQRコードヘの誘導コンテンツを制作した。

見通しが立たない時期だったからこそ発想できたクリエイティブであるが、それよりも、「もうどうやって広告したらいいかわからないので。」という企業の率直な本音も掛け合わせて目を引いた点がうまい!

 

また売れなかったらどうしよう(森永乳業)

森永乳業が昨年11月に、アイスのピノ・アーモンド味の発売に合わせて掲載した新聞広告(北海道新聞)も、企業側のリアルな不安と切実な訴えで、人々の心を掴んだ。

実はこのアーモンド味、22年前に北海道でテスト販売したのだが結果が思わしくなかったため販売終了に。その時のトラウマを抱えつつもリベンジしようと期間限定での発売を決め、今回は「いっそのことピノの不安な気持ちを正直にお客様に伝えよう」と、このクリエイティブにたどり着いたという。

ピノの公式ツイッターでは、このクリエィティブに1.5万いいねが集まった。過去の失敗談を知ったことで「買い続けます」「たくさん買うよ!」など応援消費も起き、当初の想定を大きく上回る売上になったという。「(広告内に書かれている)『在庫とトラウマが残りました』のくだりがなんか切なくて好き」「まさか知らぬ間にこんな苦い思いをしていたとは!」といったコメントも。失敗談を語ったことで親近感も確実に上がったようだ。

 

彼女のためにも、ガストで過ごしてとは言いません(ガスト)

こちらはちょっと前の広告だが、自虐型で成功した事例なのでシェアしたい。2018年のクリスマス前に流れたガストの動画広告で、クリスマスデートで出費がかさむ男性の心理を描写したストーリー展開。

うまいのは、「ガストは、カップルがクリスマスで使うような飲食店ではない」という顧客が抱くガストのイメージを素直に自認した上で、「ガストは低価格帯だから、お財布状況が厳しくなったクリスマス後に利用してね」と、”クリスマス後”の来店を促すクリエィティブに仕上げた点。飲食店であれば普通、クリスマス前日・当日の来店を期待して広告を打つものだが、ガストはズラしの手法であえてクリスマス”後”に利用シーンを設定。

自虐の手法を用いることで、クリスマスシーズンにおける自社のポジションを的確に定義したのは脱帽もの。

 

 

【編集部おすすめ記事】
女性ヘルスケア市場のビジネスで差別化に迷った時に役立つ3つの視点 
ヘルスケア業界の最先端プロモーションは映画級 事例5選 
つい手に取りたくなる「パケ買い」ヒット商品のデザイン 
ナイキCMの炎上から学ぶ、女性マーケティング 

PAGE TOP
×