世界の平均寿命と健康寿命 2019(2/2)

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世界の平均寿命の傾向と理由

このように平均寿命の国際比較をすると、低所得国と高所得国で大きな格差があることが分かる。「WHO regionの平均寿命(地域ごとの平均寿命)」で比較した世界の平均寿命は下記の通りとなっている。

  • アフリカ地域(African Region):61.2歳
  • 東地中海地域(Eastern Mediterranean Region):69.1歳
  • 東南アジア地域(South-East Asia Region):69.5歳
  • アメリカ地域(Region of the Americas):76.8歳
  • ヨーロッパ地域(European Region):77.5歳
  • 西太平洋地域(Western Pacific Region):76.9歳

低所得国は基本的な医療アクセスに課題があると考えられる。特に発展途上国においては妊産婦死亡率の高さや糖尿病、がんなどの罹患率の高さが挙げられ、医療課題の克服による死亡率減少が鍵を握っている。

世界の健康寿命 2019

平均寿命とあわせて確認したいのが健康寿命。平均寿命と健康寿命の差は健康ではない期間のことを意味し、2018年の米国イリノイ大学の研究報告ではこの期間をレッドゾーンと呼称している。今日では単純な余命を意味する平均寿命よりも生活の自由度を基準とした健康寿命を伸ばすことが重要とされ、新たな指標となっている。

WHOが公表した世界の健康寿命

厚生労働省の定義によると、健康寿命とは“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”のことを指す。

世界保健機関(WHO)が2019年4月に発表した「世界保健統計2019」によると以下の結果だった。

  • 2016年の世界の健康寿命の平均(全体):63.3歳
  • 世界トップ:シンガポールで76.2歳
  • 世界ワースト:中央アフリカ共和国で44.9歳

世界トップと世界ワーストの差は約32歳と大きく開いた結果となった。なお、前述の平均寿命で取り上げたアメリカの健康寿命の平均は68.5歳、ロシアの健康寿命の平均は63.5歳で、平均寿命と比較すると約10年の差が生まれている。

世界と比較した日本の健康寿命

平均寿命世界一を誇る日本の健康寿命の平均(全体)は74.8歳にとどまり、シンガポールと約2歳の差をつけて世界2位の結果となっている。しかしここで重要視すべきは平均寿命と健康寿命の差が約10年あること。さらには男女別で見てみると、女性は平均寿命と健康寿命の差が12年を超えており、健康寿命の延伸が急がれる。医療制度の充実を治療だけに向けずに、積極的な疾病予防や早期発見への手立てとすることが第一の近道となるだろう。

 

 

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