ASEANのヘルスケア・医療の中心地、シンガポールってどんな市場?
大国ではないものの一人当たりGDPが高く、また医療レベルが高いシンガポール。ASEAN地域におけるヘルスケアと医療の中心地として市場動向が注目され、昨今は、フェムテックの市場拡大にも期待が寄せられている。シンガポールって、どんな市場?(参照:「医療国際展開カントリーレポート シンガポール編(2023.3 )」経産省 / 「APEC エコノミーにおける日本発フェムテック製品・サービスの展開可能性に関する基礎調査(2023.3)」ワシントンコア / 「シンガポールにおける医療機器市場の概要(2024.2)」ジェトロ)
- 人口は592万人(2023年6月)。緩やかに増加しており、ピークは2040年頃。その後、緩やかに減少する見込み
- 高齢化が加速しており、2030年頃に超高齢社会に突入するとみられる
- 平均寿命は、女性80.5歳、男性74.7歳(2019年)
- 健康寿命は、女性70.0歳、男性67.2歳(2019年)
- 18歳以上の人口に占める肥満率は、女性27.4%、男性36.3%(2016年)
- 18歳以上の人口に占める高血圧患者の割合は、女性11.3%、男性17.8%(2016年)
- 妊産婦死亡率は、29人(10万人あたり/2017年)
- 疾病構造は”先進国型”で、男女合わせた死因割合は「非感染症」が最多で80%、「感染症」15%、「事故等」が4.1%。なお「非感染症」の内訳で多くを占めるのは「新生物(38%)」と「心血管疾患(37%)」
- シンガポール政府は予防医療に重点を置いた政策「Healthier SG」を2022年に発表。概要は以下
1)家庭医のネットワークを活用し、住民に予防医療を提供する
2) 生活習慣の改善、定期的な健康診断、適切な予防接種を含む健康計画を策定する
3)住民の健康的なライフスタイルをサポートするために、地域パートナーを活性化する
4)住民がかかりつけの家庭医を決め、健康計画を採用するための全国的な登録プログラムを開始する
5)これらを機能させるために、IT、人材開発計画、資金調達政策など、必要な主要イネーブラーを準備する - 一人当たりGDPが高く高付加価値商品が受け入れられやすいことから、医療環境が整っている。新しい治療法を選択できる国内の患者が一定数いることに加え、医療レベルの高さから、医療ツーリズム目的で各国からも富裕層が訪れている。とりわけ、美容整形を含む外科手術が人気。医療技術の需要が高まっている
- フェムテック関連のスタートアップが増えており、特に若年層の間で関心が高まっている。性・生殖領域のフェムテックの興隆が目立つが、日本同様に高齢化が進展していることから、高齢女性特有の健康課題に対する関心も高まりつつある。アジア太平洋地域におけるフェムテック企業数はトップクラスで、インド、オーストラリアに次ぐ(Global FemTech Ecosystem Q4 2021)
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