3年に1度の大規模調査「国民生活基礎調査2022」公表、健康・介護・世帯などの状況
厚生労働省は今月4日、国民生活基礎調査(2022年)を公表した。世帯や所得など国民生活の基礎的事項の状況をまとめたもので、1986年から実施している。3年に1度行われる大規模調査では、男女別・年齢別の「健康」「介護」「貯蓄」「貧困率」についても調べており、今回はその大規模調査の公表となる。少子高齢化の影響が色濃く反映された結果となり、高齢者世帯の割合が過去最高となった一方で、児童のいる世帯は過去最低に。老老介護も増えており、介護をしている世帯のうち6割を超えたのは初。家族の介護をしている人の男女比は女性7割で、介護者が圧倒的に女性に偏っている状況は、前回調査から変わらなかった。有訴者率と通院者率については、ともに女性の方が男性より高かった。
世帯の状況
- 世帯構造のランキング、トップ5
1位:単独世帯(32.9%)
2位:夫婦と未婚の子(25.8%)
3位:夫婦のみの世帯(24.5%)
4位:ひとり親と未婚の子のみ(6.8%)
5位:三世代世帯(3.8%)
- 単独世帯の割合、過去最高
全世帯に占める単独世帯は32.9%で過去最高。調査開始年の1986年は18.2%だった - 高齢者世帯の割合、過去最高
全世帯に占める高齢者世帯(※)は31.2%で過去最高。1986年は6.3%だった (※)高齢者世帯とは、65歳以上の人のみか、65歳以上の人と18歳未満の未婚の人で構成する世帯 - 児童のいる世帯、過去最低
全世帯に占める児童のいる世帯は18.3%で過去最低。1986年は46.3%だった。
健康の状況
- 有訴者率、女性>男性
病気やけが等で自覚症状のある人=有訴者率(人口千対)は全体で男性より女性が高く(女性304.2、男性246.7)、年齢階級別・性別に見ると10歳以上の全年代において女性が高い - 有訴者率、女性トップ3
1位:腰痛(111.9)
2位:肩こり(105.4)
3位:手足の関節が痛む(69.8) - 有訴者率、男性トップ3
1位:腰痛(91.6)
2位:肩こり(53.3)
3位:頻尿(45.6) - 通院者率、女性>男性
病気や怪我で通院している人=通院者率(人口千対)は全体で男性より女性が高いが、有訴者率の男女差と比較すると開きは小さい(女性431.6、男性401.9)。年齢階級別・性別に見ると、女性の方が高いのは20代・30代・40代・50代、男性が高いのは9歳以下、10代、60代、70代、80代以上 - 通院者率、女性トップ3
1位:高血圧症(135.7)
2位:脂質異常症(77.2)
3位:眼の病気(65.4) - 通院者率、男性トップ3
1位:高血圧症(146.7)
2位:糖尿病(70.8)
3位:脂質異常症(53.7) - 喫煙者、男女ともに減っているものの30代〜50代に多い
喫煙者は20代〜80代以上まで、ほぼ全年齢階級で減っているが、男女ともに30代・40代・50代に多い。女性の最多は50代で12%、男性の最多は40代で34.6%
介護の状況
- 要介護者・要支援者の、介護が必要となった原因
1位:認知症(16.6%)
2位:脳血管疾患(16.1%)
3位:骨折・転倒(13.9%) - 老老介護の世帯は年々上昇、63.5%
自宅で介護をしている世帯のうち、介護をされる人もする人も65歳以上(老老介護)の割合は63.5%で、初めて6割を超えた。2001年は40.6%だった - 介護をする人、女性:男性=7:3
同居家族の介護をする場合も別居家族の介護をする場合も、介護者になるのは女性(妻または娘)に多く、ともに介護者のうち約7割が女性
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