女性市場トレンドと消費傾向

健康・心・病気の悩み 女性たちが本音を言える場所

「ダイバーシティ」「インクルージョン」の概念や取り組みがだいぶ広がってきたが、病気にかかったことや、治療の悩み・不安などを、職場、恋人、家族、友人など周囲の身近な人に打ち明けるのははばかれるのが現実だ。

そんな女性たちが利用しているのが、同じ悩みを持つ人や同じ境遇の人が集まって情報交換を行うイベントや交流会。これまではオフラインでの開催が一般的だったが、コロナによるオンライン開催への切り替えで、今、参加者が増えている。

病気になったこと、周囲に言わない

がん患者に特化した調査ではあるが、NPO法人がん患者団体支援機構とニッセンライフが実施した調査によると、「がんであることを一部の人には知らせていない」のは36%。「知らせていない相手」とは以下だった。

  • 会社(19%)
  • 同僚や一緒に働く人(25%)
  • ご近所の人(72%)
  • 親戚、家族(34%)

なお「知らせない」理由には「仕事で不利益になる」「仕事で支障をきたす」「心配をかけたくない」などが挙がった。

静岡がんセンターのホームページには、「周囲に自分ががんであることを知られたくない」と考える実際の患者たちの声が掲載されている。病気になったことを隠す人たちがいるのは、社会の寛容がいまだに無いことが大きいのかもしれない。

(患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)近所の人にあまり知られたくないという気持ちがあった。

(患者本人、70代、女性、大腸、2003年版)人の前で自分はがんだと知られることが恐かった

(患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)自分自身でがんだと思っていたので告知は恐くなかったが、誰にも知られたくなかったので、友人に内緒で入院した。
引用:静岡がんセンター

週間女性PRIMEは、昨今のママタレ事情に関する記事において、「病気を患うこと」を「好感度が目減りすること」と言っている。

ママタレの評価というのは減点法であって、加点法ではない。そもそも、その好感度は仕事の実績プラス結婚出産のご祝儀によるものなのだ。芸能界でそこそこ成功して、プライベートも幸せそう、というところが憧れをかきたてるわけで、不幸があれば好感度は目減りしてしまう。

 その不幸には、夫に不倫されるとか、自分が病気を患うといったものも含まれる。その場合も、同情はされるものの、憧れの存在からは一段降りなくてはならない。杏も佐々木希も、あるいは堀ちえみも気の毒だが仕方ないことだ。
(引用:週刊女性PRIME「佐々木希も消えた「ママタレバトルロワイアル」それでも生き残る最強王者」)

この記事には「病気を患ったら負け組」と言わんばかりの表現と解釈でき、今現在病気と闘っている女性たちを傷つける物言いで不快感を覚えるが、これが“健常者至上主義”な世の中の現実と言わざるを得ない。

病気を患うことでネガティブな影響を受けるのはタレント業界だけではない。「治療と仕事の両立」を国が推進するようになり、また健康経営に取り組む企業も増えてはいるが、昇進への影響や、職場でぎくしゃくして仕事をしづらくなることを懸念し、病気を発症しても職場に隠し続けるワーカーは少なくない。

実際に、「病気のことを会社に伝えたら左遷された」「部署異動になった」という声は後を絶たない。

夫が大腸がんで手術し、オストメイト(人工肛門保有者)になりました。退院して職場復帰し、入院前と同じく部長として働き始めました。しかし、会社が夫のオストメイトのことを知り、左遷されてしまいました。オストメイトというだけで、左遷された精神的ショックから、夫はうつ病になりました。これは、明らかな差別ではないでしょうか?(47歳、女性)引用:がんサポート「オストメイトになり、左遷された。差別ではないか?」

ついに体に不調をきたし、病院へ通うことになりました。それを知った上司は慌てて、私を呼び出し、異動を勧めてきました。病気になるのは、仕事が合わないってことだから、と。正直、異動したい気持ちもありましたが、1年も経たずに異動して、仕事を投げ出す感じがしたので異動の話を断りました。しかしながら、上司は「病院に通うような部下をうちの部署に置いておくわけにはいかない」と。そして、私は3月から異動になりました。引用:発言小町「部署、追い出され。」

健康や病気 本音を言える場所

病気や障がいを持つ人にやさしい社会とは決してまだ言えない中、女性たちはどこでその悩みを解消したり、不安な気持ちを吐き出しているのか。匿名のSNSアカウントやブログを通して自身の悩みを打ち明ける女性もいるが、今回当記事で取り上げたいのは、同じ悩みや境遇の人が直接顔を見せあって情報交換などを行うイベントだ。

多様なイベント・交流会が各地で開催中

イベントの告知集客ができるプラットフォームとして知名度が高い「こくちーずプロ」を見てみると、日々多様なイベント・交流会が開催されている(イベント掲載数38万件)。ヘルスケア関連のイベント・交流会に絞って見てみると、例えば直近では以下が開催予定となっている。

キャンセル待ちのイベントも多く、中には開催2週間前の段階で、定員300人の集客ですでに満席・キャンセル待ち37人という人気のイベントも(2020年7月3日時点/【深夜開催!】第11回こども発達支援研修会 〜ADHD(注意欠如多動症)の基本と支援方法〜

同じ悩みを持つ者同士だからこそ理解できること、気兼ねなく話せることは多い。治療中の人や病児を持つ親などにとって、これらのイベントは本音を言える場所、気持ちを共有できる場所、情報交換できる場所として重宝されている。

コロナで参加者が増加

当社ウーマンズのメンバーが先日、ある不調をテーマにしたオンラインイベントに参加した際、主催者に「オンライン開催になり参加者は増えたのか?」と尋ねたところ、「かなり増えた。さらには、参加者が全国区になった」とのこと。コロナ前はオフラインのみで開催していたが、コロナの影響でオンライン開催に変更。それにより、これまで興味はあったものの、開催場所が遠いことや子どもを置いていけないなどの理由から参加を見送っていた人たちが参加するようになったのだという。

SNSとは別世界、女性たちが本音を語れる場所

Facebook、LINE、Twitter、note、YouTube、Instagramなど。多くの人と簡単に出会い交流できる場所はSNSのブームで急激に増えたが、「本音を言える場所」「悩みを共有しあえる場所」とは言い難い。SNSの主役はあくまで、華やかでキラキラ・イキイキした人たち。そんな場所で健康や病気の悩みなどネガティブなことは発言しづらい。

では、発言小町やyahoo知恵袋などの質問サイトや、各企業やメディアなどが運営するコミュニティサイトはどうか。質問サイトという形態や、同じ年齢やライフステージにいる人が集まるコミュニティサイトということもあって(例:プレママが集まるコミュニティなど)、上記のSNSと比べると質問しやすい雰囲気がありネガティブな話題も出しやすい。だが、顔が見えず本名を出さない場ではきつい言葉を投げつけられることもあり、躊躇してしまう人も多い。

そんな女性たちにとって心のよりどころになっているのが、既述の同じ境遇にいる人だけで集まる“クローズド”な、オン・オフの交流会やイベント。同じオンラインでもSNSとは違い、同じ悩みや境遇にいる人のみが集まるので本音を言いやすく、またお互いに痛みや苦しみを知っているだけに空気があたたかい。言葉の暴力に傷つけられることがないので、安心して参加できる。

人を惹きつける華やかさはないのでなかなか表立ってクローズアップはされないが、安心・安全で居心地の良い“クローズド”な世界は、健康問題を抱えている人たちにとっては生きる活力を得られる大切な居場所。クローズドであるがゆえに拡散力に弱く認知も低いが、需要は大きい。オンラインイベント開催の一般化が進むなか、これからあちこちで様々なコミュニティが立ち上がりそうだ。

「ひきこもり主婦会@関西」を主催する女性は、「安心・安全な居場所づくり」を目的に2019年に初イベントを開催。

パートナーがいても、子供がいても、何となく生きづらい、ひきこもりがち、様々なグループに馴染めない、そんな事を日々感じてる方、同じような方と出会って、安心できる場所でお話しませんか?

予約不要、無料、時間内の出入り自由です。気楽にお越し下さい。
引用:ひきこもり主婦会@関西のブログ「お話しませんか?」

今年、7月8日には初のお出かけ企画を開催する予定だ。

 

 

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