オンライン診療アプリ5選 特徴・機能を比較

スマホやタブレット、パソコンのビデオ通話機能を使って遠隔で診察をする「オンライン診療」が2018年4月に保険適用となり、さらに新型コロナ感染拡大に伴い、オンライン診療アプリへの興味関心が高まっている。

当記事ではおすすめのオンライン診療アプリの特徴・機能を比較してみた。

オンライン診療アプリとは

オンライン診療とは?

オンライン診療とは、スマホやタブレット、パソコンのビデオ通話機能を使って、医師がネット上で患者を診察・診断をしたり処方などの診療を行うこと。これまでオンライン診療は「遠隔診療」として知られ利用されていたが、離島やへき地の患者などを対象に限定的に行われていたため、都市部や日常的なシーンでの利用に関しては明確な基準やルール、診療報酬がなかった。

だが近年の情報通信技術などの進歩でオンライン診療へのニーズが高まり、 平成30年3月に厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」をまとめ、同年4月にはオンライン診療の保険適用が解禁に。以降、オンライン診療の認知が徐々に広がり、利用する患者が増えている。

オンライン診療が普及することで、これまで課題とされてきた「患者の時間負担による通院の中断」「患者の移動負担による通院の中断」「患者の移動時間負担による通院の中断」「(医師の過剰業務などが原因で起こる)診察時間の短さ=コミュニケーション不足」などを解決できるため、医療サービスの質の向上を期待されている。

2018年度に約39兆円と見込まれている医療費は、2025年には約47~48兆円、2040年には約67~69兆円になると推計される。医療需要が増加する一方で、わが国の人口1,000人あたりの医師数は2.4人となっており、OECD加盟国の中でも少ない。また、過疎地域医療圏(121圏域)のうち24%は圏域人口当たりの医師数が減少しており、2036年には日本全国に335圏域ある二次医療圏のうち219圏域で医師が不足することが見込まれている。こうした課題が山積するなか、社会保障制度の持続性を高めるには、健康寿命の延伸はもちろん、医療へのアクセシビリティ向上や医療の効率化が不可欠である。(略)オンライン診療は、こうした社会・経営の課題を解決する一つの手段であり、オンライン服薬指導も併せて行うことにより、診察から服薬指導まで一気通貫でオンラインでの提供が可能となる。(引用:公益社団法人経済同友会「オンラインによる診療から服薬指導までの一気通貫の実現を」,2019年4月23日)

 

以下動画では、患者とのコミュニケーションに関してこれまで感じていた課題を複数の医師たちが述べている。オンライン診療が果たす役割は非常に大きいことが分かる。

オンライン診療のうち保険が適用されるのは、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、小児特定疾患、在宅療養中の患者など、継続治療が必要とされる慢性疾患に限定されているが(ただし初診は対面が原則)、安全性・有効性などが確認されれば今後新たに対象疾患を増やすとの考えが示されている。保険適用外の疾患でもオンライン診療を提供している医療機関はあるが、その場合は自由診療となる。オンライン診療の導入・非導入は医療機関によって異なるので、事前に確認が必要。

なお現在は、情報通信機器を通じて行う診療は「遠隔診療」ではなく「オンライン診療」という言い方に統一されている。

新型コロナで 「初診からオンライン診療」条件付き容認

オンライン診療は初診では対面診療が原則となっていたが、新型コロナの感染拡大に伴い、厚生労働省はオンライン診療での初診を4月13日より解禁した。

 

オンライン診療アプリとは

オンライン診療アプリとは、スマホやタブレット、パソコンでオンライン診療を管理するアプリ。予約、診察、会計、処方・決済まで全てを行える。アプリを利用したオンライン診療の流れは以下。

  1. 病院で診察を受ける
    ※保険適用外の診療内容の場合はオンライン初診可のものもある
  2. 担当医とオンライン診療の相談
  3. アプリ登録
  4. 診察の予約
  5. オンライン診察
  6. アプリ上で会計
    ※クレジットカードやアプリ内の決済サービスで支払い、または次回の来院時にまとめて支払う
  7. 薬・処方箋が自宅に届く

オンライン診療のメリット

  • 通院のための移動時間や待ち時間を省ける
  • 通院のために移動するお金を節約できる
  • 医療機関内で風邪など他の病気に感染するリスクを避けられる
  • 仕事と治療の両立がしやすい
  • 外出困難者・移動困難者も安心して診察を受けられる
  • 通院の負担による治療中断の防止

オンライン診療の事例

保険適用の疾患の場合はオンラインでの初診が認められていないが、保険適用外の自由診療の場合はさまざまな診療メニューが提供されている。実際にどのようなメニューがあるのか見てみよう(編集部調べ)

名古屋東女性のクリニック(愛知・名古屋)

  • 【診療メニュー】
    栄養療法外来(保険適用外)
  • 【詳細】
    美容・健康に気をつかいたい人向け。医師が診察で可能と判断した場合、サプリメントを配送。診察時間は5〜10分間
  • 【料金】
    ・予約料500円
    ・オンライン初診料1,500円(再診の場合は1,000円)

銀座白山クリニック(東京・中央)

  • 【診療メニュー】
    美容外科一般カウンセリング(保険適用外)
  • 【詳細】
    目、鼻、胸、脂肪、シミ、シワ、たるみなどで悩んている人や他医療機関での治療に満足していない人向けのカウンセリング
  • 【料金】
    ・予約料300円
    ・相談料1,000円/10分

東京DSクリニック(東京・渋谷)

  • 【診療メニュー】
    DS式漢方治療(保険適用外)
  • 【詳細】
    悩み・症状に合わせたオーダーメイドの漢方治療
  • 【料金】
    初診3,000円

湘南メディカル記念病院(東京・墨田)

  • 【診療メニュー】
    がん免疫療法外来(保険適用外)
  • 【詳細】
    自身や身内のがん治療に関して、病院での受診前に相談したい人向けの個別カウンセリング
  • 【料金】
    予約料500円

シゲトウクリニック(京都)

  • 【診療メニュー】
    肥満外来カウンセリング(保険適用外)
  • 【詳細】
    医師が治療に関する質問に答える。30分間
  • 【料金】
    ・予約料540円
    ・診察料無料

 

オンライン診療アプリの機能比較 5選

CLINICS(クリニクス) 株式会社メドレー

クリニクスは、オンライン医療辞典「MEDLEY(メドレー)」など医療情報に特化したウェブメディアを運営する(株)メドレー(東京・港)が提供しているオンライン診療アプリ。

  • 【特徴】
    ・全国の1,000以上の医療機関を検索できる(2018年10月時点)
    ・医療機関の探し方(以下の方法で検索する)
    ⇒エリアから探す
    ⇒かかりつけ医から受け取るQRコードから探す
    ⇒診療科から探す(内科/循環器内科/心臓・血管外来/消化器科/小児科/救急科/神経内科/脳神経外科/整形外科/皮膚科/代謝・内分泌内科/産婦人科/耳鼻咽喉科/呼吸器科/アレルギー科/眼科/精神科・心療内科/泌尿器科/外科・小児外科/リハビリテーション科/腎臓内科/形成外科・美容外科/歯科/血液内科/放射線科/乳腺・甲状腺外科/麻酔科/肛門科/美容皮膚科)
    ・アプリ内で病気のことを調べる機能がある。病名を検索すると、症状、検査・診断方法、治療法が表示される
    ・アプリ内で薬のことを調べる機能がある。薬名を検索すると、効果・作用、副作用、用法・用量、使用上の注意、注意が必要な飲み合わせが表示される
    ・スマホ、パソコンで利用可能
  • 【アプリ利用料】
    無料
  • 【診療費の支払い方法】
    アプリ上でクレジットカード払い(Mastercard/AMEX/JCB/Diners Club/Discover)
  • 【おすすめポイント】
    オンライン診療を行っている日本全国の医療機関を検索できること、診療科別に医療機関を検索できること、提供している具体的な診療メニューと料金を事前に確認できるのが最大の特徴。医療機関の比較検討が容易にできる。オンライン医療辞典を提供している運営会社の強みを生かし、病名や薬の検索機能があるのもユーザーにとって大きな魅力。網羅性と検索性に優れているので、利便性が最も高いアプリ。どこの医療機関でオンライン診療を受けるか検討段階の人が使うのにも便利

CURON(クロン) 株式会社 MICIN

クロンは、医療データのAI解析・AI活用事業に取り組む(株)MICIN(東京・千代田)が運営。大学や医療機関と共同で複数の研究を進めている。

  • 【研究内容】
    ・産後うつの治療に早期発見と支援策を開発する研究(共同:名古屋大学)
    ・脳梗塞につながる因子をAIで解析・特定する研究(共同:東京女子医大)
    ・大腸がんの内視鏡手術の動画をAIで解析(共同:国立がん研究センター東病院)
  • 【特徴】
    ・全国の1,000以上の医療機関を検索できる
    ・医療機関の探し方
    ⇒医療機関から受け取るQRコードから探す
    ⇒医療機関の「施設コード」を利用して探す
    ・ヘルスデータを計測・記録管理できる
    (記録項目:BMI/体重/体脂肪率/最高血圧・最低血圧/ウォーキング・ランニングの距離/上った階数/睡眠分析など。他アプリとの連携可)
    ・記録したヘルスデータを共有する設定にすると、オンライン診察時に医師もデータを閲覧できる
    ・スマホ上で事前問診
  • 【アプリ利用料】
    無料
  • 【診療費の支払い方法】
    アプリ上でクレジットカード払い(JCB/VISA/Mastarcard/AMEX/Diners/家族が保有するカードも利用可)
  • 【おすすめポイント】
    ヘルスデータを医師と共有したい人におすすめ。フィットビットアプリ、オムロンコネクトアプリ(血圧測定の記録アプリ)、ヘルスケアApp、グルテストNeoアルファ(血糖値測定器)はクロンとの連携が可能なので、これらを利用している人はクロンが便利。また、オンライン診療を受けたい医療機関がクロンを導入している場合も、クロンの利用がおすすめ

YaDoc(ヤードック) 株式会社インテグリティ・ヘルスケア

ヤードックは、医師が代表取締役会長を務める診療支援ソリューションの株式会社インテグリティ・ヘルスケア(東京・中央)が提供するオンライン診療アプリ。

  • 【特徴】
    ・医療機関の探し方
    ⇒医療機関から受け取るQRコードから探す
    ・記録した生活情報をデータで記録し医師と共有
    (記録項目:血圧 / 脈拍 / 血糖値 / 体重 / 体温 / SpO2 / 歩数 / 消費カロリー / 水分摂取量 / 飲酒量 / 喫煙本数 / HbA1cなど)
    ・スマホで問診に回答。落ち着いて回答できるので伝え漏れを防げる
    ・スマホかタブレットを使用(パソコンでの利用は不可)
    ・アプリ内で、オンライン診療アプリの利用方法を調べられる
  • 【アプリ利用料】
    無料
  • 【診療費の支払い方法】
    ・コイニーを使って決済(医療機関によって支払い方法は指定される)
    ・来院時にまとめて支払い
  • 問い合わせ
    オンライン診療アプリの使い方などをはじめ、不明点は電話またはメールで確認可
  • 【おすすめポイント】
    アプリで閲覧できる医療機関は、実際にオンライン診療してもらう医療機関のみに限定されるので、オンライン診療を実施している医療機関を検索したい人には不向きだが、オンライン診療やアプリの使い方について何か質問や意見があれば電話やメールで問い合わせられるのは初心者に嬉しい。サポート体制が整っているので、オンライン診療の利用に不安がある人におすすめ。オンライン診療を受ける医療機関がすでに決まっている人で、また、オンライン診療を受けたい医療機関がヤードックを導入している場合はヤードックの利用がおすすめ

オンライン診療ポケットドクター 株式会社オプティム/株式会社MRT

オンライン診療ポケットドクターは、IoTプラットフォームサービスなどを提供する株式会社オプティム(東京・港)と、医療情報のプラットフォームを提供する株式会社MRT(東京・渋谷)の2社が共同開発・運営するオンライン診療アプリ。スマホ・タブレットを用いた遠隔での診療サービスを全国初で提供を開始した(2016年)。

  • 【特徴】
    ・医療機関の検索方法
    ⇒都道府県から探す
    ⇒医療機関から発行される「ポケドクナンバー」をアプリ内に入力して探す
    ・健康保険証や医療機関に提示する証明書(限度額適用認定証、高齢受給者証など)をアプリ内に登録できる
    ・クレジットカード情報をアプリ内に登録できる
    ・ヘルスデータを計測・記録できる
    (記録項目:血圧、心拍数、脈拍数、体温、血糖値、酸素飽和度、体重、歩数)
    ・記録したヘルスデータを共有する設定にすると、オンライン診察時に医師もデータを閲覧できる
  • 【アプリ利用料】
    無料
  • 【診療費の支払い方法】
    ・対応クレジットカード(VISA/MasterCard/JCB/Diners/AMEX)
    ・医療機関での窓口決済
  • 【おすすめポイント】
    以下のヘルスケアアプリと連携してヘルスデータを医師と共有したい人はポケットドクターがおすすめ
    ・Health Mate by Withings
    ・ヘルスプラネット(タニタ)
    ・A&D Connect Smart
    ・チェックミー、オムロンコネクト
    また、オンライン診療を受けたい医療機関がオンライン診療ポケットドクターを導入している場合はこちらを利用する

オンライン診療の課題

通院のための時間を節約したい患者のオンライン診療ニーズは高く、集客強化や患者の治療離脱を防ぎたい医療機関のニーズも高い。今後オンライン診療を導入する医療機関が増えるのは必至だ。保険適用の対象となる疾患は随時検討され今後増えていくので、オンライン診療を利用するのが当たり前になる日は近い。とはいえ、オンライン診療には以下のような課題も指摘されている。

オンライン診療については、以下のような課題が指摘されている。

・診察する上で視診、触診、聴診などが有益な場合や検査や処置が必要な場合にオンライン診療は適さない。
・診療に関する全ての責任を医師が負いにくい。
・オンライン診療の有効性に関する十分なエビデンスがない。

上記の他に、「かかりつけ医を軸にした地域医療への影響」「“コンビニ受診”などの安易な受診の助長による医療費の増大」「偽医師による偽薬の販売」「個人情報の漏えい」等の懸念もある。
(引用:公益社団法人経済同友会「オンラインによる診療から服薬指導までの一気通貫の実現を」,2019年4月23日)

 

 

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