自覚症状があるにも関わらず受診を先延ばしにしたのはなぜ? 子宮体がん患者調査で課題が明らかに
バイオ医薬品のアストラゼネカが、子宮体がんの患者を対象に受診前後の意識・行動・知識に関する調査を実施し、早期受診と治療における課題を明らかにした。
目次
受診のきっかけは「気になる症状があったから」
調査は子宮体がんと診断されたことのある190名の女性を対象に、昨年9月に実施。子宮体がん診断前の医療機関の受診のきっかけを聞いたところ、最多は「気になる症状があったから」で76%。次いで「婦人科がんの検査で異常が見つかった(10%)」、「婦人科系疾患の経過観察中に異常が見つかった(8%)」。
- 1位:気になる症状(出血・おりもの・痛み・むくみ等)があったから(76%)
- 2位:婦人科がんの検査で異常が見つかった(10%)
- 3位:婦人科系疾患の経過観察中に異常が見つかった(8%)
- 4位:不妊治療中に異常が見つかった(2%)
- その他(5%)
気になる症状は「不正出血」で9割
前問で「気になる症状があったから」と回答した人に具体的な症状を聞いたところ、子宮体がんの代表的な初期症状である「不正出血」が最多で93%に上った。
- 1位:不正出血(93%)
- 2位:下腹部の痛み、膨満感(21%)
- 3位:おりものの異常(17%)
- 4位:腹痛があった(15%)
- 5位:下肢のむくみがあった(1%)
- 5位:関節痛(1%)
- 5位:食欲がなくなった(1%)
- その他:(9%)
異常が見つかってから受診までの期間、「1ヶ月以上」が5割
異常が見つかった、あるいは症状を感じてから婦人科を受診するまでの期間を聞いた質問では、最多が「0〜2週間後」で37%、次いで「2〜4週間後」が12%。一方で、51%の半数の人は受診までに1カ月以上かかっており、初期で不正出血などの自覚症状が現れることが多いにも関わらず、子宮体がんの診断は先延ばしにされている可能性が示された。
- 1位:0~2週間後(37%)
- 2位:1~2ヶ月後(21%)
- 3位:3~4ヶ月後(16%)
- 4位:5ヶ月以上後(14%)
- 5位:2~4週間後(12%)
受診までに時間がかかった理由は「必要性を感じなかった」
異常が見つかった、あるいは症状を感じてから婦人科を受診するまでに半月以上かかった人に理由を聞いたところ、最多は「不正出血などの症状が子宮体がんと結びつかなかったため受診の必要性を感じなかった」で55%、次いで「忙しくて時間が取れなかった」が26%だった。不正出血が子宮体がんによるものと理解されていないことで、早期受診の機会を逸していることがわかった。
- 1位:不正出血などの症状が子宮体がんと結びつかなったため受診の必要性を感じなかった(55%)
- 2位:忙しくて時間が取れなかった(26%)
- 3位:病気の診断をされるのが怖かった(13%)
- 4位:内診を受けるのに抵抗があった(12%)
- 5位:診察予約が取れなかった(11%)
- 6位:近くに産婦人科がなかった(5%)
- 6位:どの病院で診察を受けたらよいかわからなかった(5%)
- 6位:職場に迷惑がかかると思って、受診に抵抗があった(5%)
- 7位:医師が男性であることに抵抗があった(3%)
- 7位:他の科を受診していた(3%)
- 8位:家族に迷惑がかかると思って、受診に抵抗があった(1%)
- その他:(13%)
診断前に知っていたら良かった知識は「子宮体がんの初期症状」
診断前に知っていたら良かったと思う知識を聞いた質問では、「子宮体がんの初期症状」が62%と最も多く、次いで「子宮体がんの発症リスク」が44%。診断前に知識があればどんなことにつながると思うか?と聞いた質問では、「もっと早い受診につながる」が最多で61%に上った。
<診断前に知っていたら良かったと思う知識>
- 1位:子宮体がんの初期症状(62%)
- 2位:子宮体がんの発症リスク(44%)
- 3位:子宮体がんにどのような人が罹患しやすいか(38%)
- 4位:子宮体がんの治療方法(27%)
- 5位:子宮体がんの診断方法(23%)
- 6位:子宮体がんの好発年齢(19%)
- その他:(7%)
<診断前に知識があればどんなことにつながると思うか?>
- 1位:もっと早い受診につながる(61%)
- 2位:不安が軽減される(42%)
- 3位:医師の説明がより理解でき、質問もできるようになる(39%)
- 4位:もっと納得感を持って治療に臨める(29%)
- 5位:治療選択が変わる可能性がある(22%)
- その他:(0%)
子宮体がんの初期症状として最も多く現れるのは不正出血で、病状が進行すると、下腹部の痛みや腰痛、下肢のむくみなども症状として出ることがある。また、出産経験がないこと、閉経が遅い、肥満、糖尿病、リンチ症候群などが子宮体がんのリスクになることがわかっており、診断前のこういった知識の有無が、早期受診の促進に重要であることを示唆する結果となった。
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