なぜ女性マーケターが必要か? 女性市場と企業組織のギャップ
女性の活躍やライフスタイルの多様化を背景に、女性市場ではさまざまなニーズが生まれています。一方、企業の意思決定層では今なお男性が多数を占め、女性たちのニーズや日常に潜む「不」は、商品・サービス開発に十分に反映されにくいという課題も。女性市場の変化を捉え、新たなニーズを事業につなげていくために、企業にはどのような人材が必要なのでしょうか。女性マーケティングの専門企業として企業の商品開発や人材育成を支援する女ゴコロマーケティング研究所が、女性マーケターに期待される役割と、女性市場と企業組織の間にあるギャップを紐解きます。
目次
女性マーケットが今後も拡大し続ける理由
日本は今、過渡期にあります。少子高齢化と、それに伴う人口の減少。このままでは生産年齢人口も消費も減り続けると予測される中で、スポットライトを浴びているのが女性の活躍です。働く女性が増えることで労働力を補い、所得も増え、所得が消費にまわることで経済も活性化するからです。一方で、女性を取り巻く環境は、不便や不満、不安であふれています。女性が担う役割が増える中、その負担を解消し、こうありたいと願う自分になるためには、今、提供されているモノやサービス、社会の仕組みがマッチしておらず、まだ多くの「不」が存在しているからです。しかし、それこそがチャンス。変化が起こるとき、そこには必ず新しいニーズが生まれます。これが、女性マーケットがこれからも拡大していく理由です。
女性マーケターに期待される役割
注目が集まる女性をめぐる課題の解決
今、女性を取り巻く課題の解決や、女性が活躍するために必要なモノやサービスの開発は、社会全体にとっても意義のあるものとして、大きな注目が集まっています。例えば、家事や育児と仕事の両立を助ける便利なモノ・サービス、月経や妊娠、産後ケア、更年期、婦人科系疾患など、女性特有の健康課題を解決するモノ・サービス、そして性差に着目した技術革新(ジェンダード・イノベーション)などです。ジェンダード・イノベーションとは、性差を分析し、科学や技術、政策に取り込むことで、新しい視点やイノベーションを生み出す考え方です。ジェンダー平等が進み、これまで男性の職域や男性が嗜むものとされていた分野に女性も進出するようになった今、女性にとっても使いやすく、参加しやすい仕組みやデザインに再設計していくことが求められています。
身の周りにある「不」を探す
女性マーケットの可能性は広がっていますが、忘れてはならないのは、選択肢が増えたことによるライフスタイルや価値観、消費行動の多様化です。つまり、女性をひとくくりにして論じることができなくなったということです。どんなライフステージにいる、どんな価値観の人に、どんな商品を、どのように届けるのかを明確にしたマーケティング戦略が、より必要になったのです。そのためには、消費者の過去の行動や、顕在化しているニーズを調べ、数値化したデータだけではわからない女性の心理、行動をより深く探る必要があります。女性という身体的特徴を持ち、過去から現在、未来へと続く社会環境の中で女性として生きる女性マーケターは、自身の感性や感覚、体験などを通じて、より細やかに、深く女性の価値観やニーズに迫ることができるでしょう。
女性マーケティングには女性マーケターの存在が不可欠であると言っても過言ではありません。実際に、女性マーケターが開発したヒット商品の中には、「自分が日頃から不便に感じていて、自分が欲しいと思う商品を開発しました」、「私の友人が困っているのを見て、何とか解決したいと思いました」と、自分事や身近な人たちの困り事に耳を傾け、その問題を解決したいという思いからスタートしたモノやサービスが多くあります。もちろん、思いだけではいけませんが、日々の暮らしや感じたことの中から気づきを得られることは、マーケターにとって大きな強みです。
目を開き、アンテナを立て、私たちの身の周りにある「不」を探しましょう。これまで「仕方がない」と受け入れられ、見過ごされてきた「不」の中にこそ、新しい価値を生み出すヒントがあります。その取り組みが、新たなヒット商品を生み出すことにつながります。
女性市場と企業組織の間をつなぐ
企業の中で女性マーケティングを進めるにあたって、留意すべきことがあります。それは、何も意識しなければ、人も、組織も、そこから生み出されるものも、男性的な価値観に均質化されやすいことです。働く女性が増えたとはいえ、いまだ日本では、事業の方針や企画、経営資源の投入を意思決定する管理職の約9割を男性が占めています。新しい発想や、前例のない取り組み、数字データだけではわからない女性のニーズやウォンツに寄り添った提案は、組織の中では理解が得にくいことがあります。また、意思決定には、直感や経験に基づくバイアスが影響します。バイアスのない人間はいません。特に女性客をターゲットにするなら、女性として生きてきた経験のない人たちばかりで意思決定を行うことが、本当に合理的なのかという視点も必要です。
一方で、企業で働く女性自身が男性中心の組織の価値観に染まり、男性視点のバイアスに影響を受け、均質化した発想になってしまうこともあります。だからこそ、女性マーケティングを推進するためには、女性マーケットを意識するだけでなく、現状の組織の中でどう取り組んでいくのか、この2つの方向に向けた対策が必要だといえます。女性マーケットを理解する共感力や分析力、そこから生まれる豊かな発想力と同時に、戦略的な思考と企業組織の価値観や意思決定プロセスを理解して説得できるスキル。その両方を兼ね備えたハイブリッドな人材、マーケターが必要不可欠なのです。
女性マーケティングに必要な人材
企画やマーケティングに適した人材とは
まずは「人」への関心から
企業の中では、数値データや論理的思考を展開する能力が重視されがちです。そのほうが同じものさしで評価でき、説得しやすく、効率よく判断しやすいからです。しかし、企画やマーケティングの仕事には、そういったスキルの前に、まず「人に興味を持っているか」「人を喜ばせたいという思いがあるか」が大切だと私は思います。マーケティングの対象は顧客や社会であり、ステークホルダーもまた「人」です。社会全体を構成しているのも「人」ですから、関心を持つべきは「人」なのです。
必要なのは「感性」と「論理性」
企画やマーケティングの仕事をするには、次の2つの力が必要です。
◆感性
日常の体験の中でココロが動く「小さな変化」に関心を持ち、自身の感度を磨き続ける力。自分自身のココロの動きに敏感になることで、他者への関心も高まり、より深い消費者理解につながる力です。
◆論理性
事実や情報を整理・理解した上で、因果関係をたどりながら順序立てて考える力。問題解決や意思決定のために、筋の通った「結論」を導き出す力です。もちろん、「人」を理解するために、数値データは必要です。しかし、大切なのは、数値データの先に存在する「人」の心理、行動、人物像に思いを馳せることができるかどうかです。
女性向けの商品・サービスのマーケティングへの入り口として、女性マーケターは「体感共感型」のアプローチをする人が多く、それが大きな強みでもあります。しかし、強みに頼りすぎて視野が狭くなったり、独りよがりになったりしないよう注意が必要です。
ニュースやSNS、情報誌、各種データなどから女性にヒットしている商品やサービス、店舗の情報をチェックし、共通項や独自性を分析・蓄積する「情報収集型」のアプローチも必要です。「体感共感」と「情報収集」の両方からアプローチができれば、まさにハイブリッドです。
2つのアプローチ手法
女性マーケターを育て活用する意義
女性だから女性の気持ちがわかると過信せず、必要な知識を身につけ、洞察力や発想力、思考力などを磨く訓練が必要です。女性マーケターを育てることは、女性市場を理解する人を増やすだけではありません。日々の暮らしの中にある小さな「不」に気づき、それを新しい価値へと変えていく力を、企業の中に増やしていくことでもあるのです。
【提供元】 株式会社女ゴコロマーケティング研究所
当社は、『女性マーケティング』と『女性活躍推進』は 両輪と考え、女性向け商品・サービス開発を成功に導くマーケティング活動のコンサルティングにとどまらず、プロジェクトを通じて2000名を超える人材の育成に関わってまいりました。主宰する「女性マーケター養成講座」では、発想力や企画力、プレゼンテーション力を高め、企業に貢献する人材を多数輩出しています。満足度98%、900名以上が受講した本講座のメソッドを書籍化した『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』は、専門知識ゼロから自分の「感性」と「思考」を磨いてヒットを生み出せるマーケターになるための必読書です。
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