頻回に救急受診する高齢者に多い併存疾患は?

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頻回に救急外来を受診する高齢者には、併存疾患として合併症のない糖尿病が最も多くみられることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のEdward Castillo氏らの研究で明らかになった。こうした慢性疾患を抱える高齢患者は入院期間が長く、より多くの治療や医療資源を必要とすることも分かったという。研究の詳細は「Annals of Emergency Medicine」1月28日オンライン版に掲載された。

今回の研究は、2014年に救急外来を受診した、カリフォルニア州在住の65歳以上の高齢者125万9,809人(救急外来の受診件数は279万2,219件)を対象としたもの。救急外来を1年間に6回以上受診した高齢者の特徴や利用パターンを調べた。

救急外来を6回以上と頻回に受診した高齢者は全体の5.7%(7万1,449人)で、受診全体の21.2%を占めていた(59万2,407件)。解析の結果、救急外来を頻回に受診した高齢者の併存疾患としては糖尿病が25.8%と最も多く、慢性肺疾患(21.5%)、腎臓病(19.1%)、うっ血性心不全(16%)、末梢血管疾患(15.1%)が続いたことが分かった。

また、救急外来を頻回に利用する高齢者では、利用頻度が低い患者と比べて、入院や転院する確率が高く(85.8%対44.6%)、治療を中止する確率も高かった(7.8%対1.7%)。また、頻回に利用する患者は併存疾患の数が多く、1年間に3カ所以上の病院を受診する患者の割合も高かった。

Castillo氏は「病弱な高齢者の医療ケアを向上させる取り組みでは、医療の提供を促進するとともに、その利用を減らすことにも力を入れるべきだ」と話す。その上で、「高齢者は複数の慢性疾患を抱えている可能性が高く、そのことが救急医療をますます複雑にする要因となっている。救急医療にとどまらず、幅広い介入の道を開くには、高齢者の病態をよりよく理解することが不可欠だ」との考えを述べている。

論文の共著者で非営利の医学研究機関であるWest Healthに所属するKelly Ko氏は「今回の研究から、高齢者に対する継続的な医療ケアを通して、予防介入に重点を置くことは医療コストの削減につながる可能性があることが示された」と述べ、高齢者の健康を保ち、救急外来受診を減らすためにできることはまだあるはずだと付け加えている。

米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)の調べでは、2012年には米国人口に占める高齢者の割合は15%であったが、総医療費の21%、上位1%の半数近くを高齢者が占めていた。また、米疾病対策センター(CDC)は、救急外来受診のうち15%以上が65歳以上の高齢患者によるものだと報告している。(HealthDay News 2019年1月28日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

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