医療領域に“色彩”のルールを オンライン診療やAI診断の広がりによる新たな課題

産業競争力懇談会(東京・千代田)は先月、「2023年度 推進テーマプロジェクト」の中間報告を公開した。同会は産業競争力強化のため、国として推進すべきテーマを設定し産官学連携に向けた提言や活動を行なっており、本年度の推進テーマである以下4件の進捗について、動画とレポートにまとめた。

  • 医療分野における色彩の標準化と社会実装
  • フード・サステナビリティ実現に向けたwell-being代替タンパク質の開発と社会実装
  • 水素・超電導コンプレックス
  • 炭素の非化石認証、及びトレーサビリティの確立

医療分野における色彩の標準化と社会実装」については、大日本印刷、キヤノン、三菱総合研究所、ソニーグループなどがプロジェクトメンバーとして2021年より活動を進めている。

コロナ禍以降オンライン診療の利用が広がり、パソコンやスマホのビデオ通話や画像を通じて医師が患者の状態を確認する機会が増えている。だが実態は、カメラやディスプレイなどの機器の違いや撮影時の環境光の違いなどにより、同じ対象を撮影しても厳密には異なる色の画像となることがあり、正確な色彩情報を伝えているとは言い難い。また、今後広まると見られるデジタル画像情報を用いたAI診断の精度も低下させる可能性があるとして、医療に関わる産官学全体で”標準化された色”を用いるという、色彩のルールづくりの必要性を同チームは提言している。中でもオンライン診療が進んでいる皮膚科領域は、患者が使用するスマホや患者のいる環境の照明や外光に加え、患者自身の肌の色が多様であることから、課題が最も多い領域であるとしている。

医療領域の画像の色彩を標準化することで診断治療の質の向上を図るのが同プロジェクトの狙いで、今回の報告では運用に向けたガイドライン作成の進捗などについてまとめた。2024年以降は社会実装に向け、産官学での組織化を目指す。中間報告の概要は以下動画から確認可。

 

 

 

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