【World Restart a Heart Day】女性への救命処置に抵抗あり、4割 AED使用における性差の課題
毎年10月16日は、心肺蘇生トレーニングの普及を目的とした世界的な啓発デー「World Restart A Heart Day」。国内では19日に日本AED財団が、オンラインでAEDの講習会を開催する。AED(Automated External Defibrillator/自動体外式除細動器)は心停止状態の人に電気ショックを与え、心臓を正常なリズムに戻す医療機器のこと。かつては医療従事者しか使えなかったが、2004年以降は非医療従事者でも使えるようになった。これに伴い一般市民のAED使用による救命処置が増えているが、一方で、AEDを使用する際の男女差が課題とされている。救急救命医療関連機器の輸入・販売を行う旭化成ゾールメディカルの調査で、目の前に倒れているのが女性の場合「抵抗がある」と回答した人が4割に上ることが明らかになった(旭化成ゾールメディカル「一次救命処置およびAED使用に関する意識調査,2023.9」,調査対象20歳以上の非医療従事者の男女500人)。
目の前で倒れているのが女性だと「救命処置に抵抗あり」4割
非医療従事者の20歳以上の男女500人に、「あなたが救命に関する知識を十分に持っていると仮定して、目の前で倒れている人が女性だった場合、胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAEDの使用などの救命処置ができると思うか?」と聞いたところ、最多は「救命処置をしたいが抵抗がある」と回答した人が38.1%に上った。
- 1位:救命処置をしたいが抵抗がある(38.1%)
- 2位:できる(32.8%)
- 3位:できない、したくない(15.9%)
- 4位:わからない(13.1%)
衣服を脱がせたり肌に触れることに抵抗感
続いて、「抵抗がある」「できない、したくない」「わからない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、次の結果に。
- 1位:衣服を脱がせたり、肌に触れることに抵抗があるため(53.8%)
- 2位:セクハラで訴えられないか心配なため(34.0%)
- 3位:女性に対する救命処置の方法を知らないため(31.4%)
- 4位:その他(6.7%)
最多は「衣類を脱がせたり、肌に触れることに抵抗があるため」で53.8%、次いで多かったのは「セクハラで訴えられないか心配なため」で34.0%。一刻を争う救命処置の場面であっても「服を脱がす」「肌に触れる」という行為に少なからず抵抗感がある人の割合が高いことがわかった。また31.4%は「女性に対する救命処置の方法を知らないため」と回答しており、救命処置を行う際に下着を脱がせたほうがよいかどうかの判断や、女性に対するAEDのパッドの貼り方などへの不安が推察される結果となった。
結果を踏まえ同社は、「たびたびSNS上などでデマが拡散され話題になるが、救命処置のために男性が女性の衣服を脱がせてAEDを使用したとしても、セクハラとなることはない。躊躇せず胸骨圧迫とAEDを使用してほしい。また、周囲の人に協力を求め人垣を作って通行人などの視線を遮る、救命テントがある場合は使用するなどの配慮は、心理的な抵抗感の払しょくに役立つ」とコメントした。
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