増える医師、届かない地域 統計から見る医療の課題
厚生労働省が公表した医師統計からは、診療所医師の平均年齢が60歳を超えたこと、一部の診療科の医師数が減少傾向にあること、西日本と東日本の間で医師数に格差があることなど、医師総数の増加だけでは見えにくい構造的な課題が浮かび上がった。
今回の統計結果は、医師の総数が増加を続ける一方で、日本の医療が直面する構造変化を改めて突きつけた。「診療所医師の高齢化」と「なり手の偏り」という二つの課題に対し、実効性のある対策は待ったなしの状況だ。
■診療所医師は平均60歳超え
特筆すべきは、身近な医療を支える「診療所(クリニック)」の医師の高齢化。統計によると、病院勤務医の平均年齢が45.8歳であるのに対し、診療所の医師の平均年齢は60.1歳に達した。地域医療の「かかりつけ医」機能の維持が懸念される一方、このデータは医療DXの必要性を浮き彫りにしている。
高齢化する医師が一人で地域医療を支え続けるには限界がある。電子カルテや予約管理システム、AIによる画像診断支援など、業務効率化ツールの導入は、もはや選択肢ではなく不可欠な要素となりつつある。医師の引退に伴う事業承継の動きも、今後さらに活発化することが見込まれる。
■外科離れが示唆する働き方改革の重要性
手術や当直など身体的負担が大きい外科や産婦人科・産科の減少が止まらない。対照的に、精神科(前回比2.6%増)や麻酔科などは増加傾向にある。医師自身がQOLを重視し、ワークライフバランスが取りやすい診療科を選び始めている傾向がうかがえる。病院経営層にとっては、医師の確保において「働きやすさ」の整備が大きな差別化要因となりそうだ。
■数から配置へ テクノロジーへの期待
地域別データでは、東西格差が顕著だ。西日本が全般的に高く、東日本は東京を除いて低い傾向に変化はなかった。物理的な医師の配置転換が困難な中、医師不足地域では遠隔診療やオンライン服薬指導といったテクノロジーへの期待がいっそう高まる。「数」は足りていても「場所」と「科」がかみ合わない。医師総数が増加する一方で、支える側の医師自身の高齢化も確実に進んでいる。地域や診療科ごとの需給バランスをどう保っていくか、数字の帳尻合わせでは解決できない構造的な課題が横たわっている。
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