医師の働き方改革や製薬企業のMR削減で伸長、医療分野の人材・教育ビジネス市場 2,676億円へ拡大
富士経済は今月5日、医療分野における「医師人材ビジネス」「教育・情報プラットフォームビジネス」「データビジネス」の2030年の市場規模が、2024年比29.2%増で2,676億円へ拡大するとの予測を発表した。
医師人材市場、医師の働き方改革などにより拡大
医師人材ビジネスは、医師紹介や求人サイトなどが対象。医師の働き方改革に伴う時間外労働の上限規制やオンライン診療の普及で、さまざまな勤務形態の求人数が増加し、2024年の市場は拡大した。医師不足や医師偏在は社会的な課題となっており、過疎地域やハイクラス人材など募集が難しい求人に対しては紹介手数料が上昇していくとみられるため、今後も市場拡大が続くと予想される。
教育コンテンツ・情報プラットフォーム市場、コンテンツの充実で拡大
教育コンテンツ・情報プラットフォームビジネスは、医師向けの動画配信サービスやwebサイト、アプリ、SNSなどの教育コンテンツ・情報プラットフォームが対象。コロナ禍をきっかけに動画コンテンツの利用が増加している。医師人材ビジネスで収集された医師の会員情報は、会員の許可を得てプラットフォーム事業者のデータベースへ蓄積され、医師同士のコミュニケーションなどを目的としたwebサイトやアプリなどへの登録誘導に活用されている。また、情報プラットフォームサービスは、無料から有料サービスへの誘導が行われており、有料サービスの利用者数増加に伴い2024年の市場は拡大した。今後は、情報プラットフォームのコンテンツ充実により会員の増加が期待されることから市場は拡大するとみられる。
医療データ市場、RWDやデジタルプロモーション支援で拡大
医療データビジネスのうち、医療ビッグデータ二次利用ビジネス(RWDビジネス)では、レセプトや電子カルテのほか、検診情報や処方内容といったヘルスケアデータや病院経営データなどの活用が進んでいる。マーケティング用途が中心であるが新薬開発やオーダーメイド医療を目的とした利用が増加し、2024年の市場は拡大した。
デジタルプロモーション支援ビジネスでは、医師人材ビジネスで収集した医師の会員情報が、e-プロモーション(医療関連企業によるweb講演会やメール等の配信)や、講演会の集客や医師へのwebアンケートなどに活用されている。webとリアルを組み合わせたハイブリッド形式の講演会開催や、動画配信だけでなくMRやMSLの派遣を組み合わせ医薬品や疾患情報の提供を行うなど、デジタルとリアルを組み合わせた付加価値の高いサービス提供により2024年も市場拡大が続いた。
今後は、医療ビッグデータ二次利用ビジネスの発展や高付加価値のデジタルプロモーション支援サービスが増加していくことで、市場拡大が予想される。
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