健康を支える街づくりに新手法「パラメトリック都市デザイン」北陸先端科学技術大学院大学など
北陸先端科学技術大学院大学のクサリ モハマドジャバッド准教授らの研究グループは、「パラメトリック都市デザイン」が、街路や緑地の配置による健康への影響を評価する有効な手法であることを示した。研究成果は2025年、国際学術誌「Sustainable Cities and Society」に掲載された。
心筋梗塞や糖尿病などの心血管代謝疾患は、生活習慣だけでなく都市環境からも大きな影響を受ける。街路のつながりや緑地へのアクセスは、人々の歩行のしやすさや、大気汚染や騒音の受けやすさと関係し、健康状態に影響を与えることが多くの研究で示されてきた。しかし、これまでの既存研究で用いられてきた都市環境指標では、住宅密度や公園数など静的で大まかな指標に依存していたため、実際の都市設計に活かしにくいという課題があった。そこで研究チームは、都市の構造や機能を数値化して都市デザイン案を生成・比較し最適化する設計手法「パラメトリック都市デザイン」に着目し、その有効性を検証した。
研究では、都市環境と心血管代謝疾患の関連を扱ったこれまでの研究を精査した。その結果、従来の住宅密度は、単に「単位面積あたりの住戸数」を示すだけで、どのような建物配置によって健康効果が得られるかまでは分からなかったが、パラメトリック都市デザインでは、住宅密度を「建物の高さ」「建物間の距離」「建物の配置パターン」といった細かなパラメータに分解することで、どのような配置が健康指標と関連するのかを定量的に評価できることがわかった。
また、従来の研究では、街路や建物、公園などの街の要素を個別に分析していたため、例えば「住宅を増やすと街路の利便性は高まるが、公園が減ってしまう」といった要素間のトレードオフが十分に考慮されていなかった点についても、パラメトリック都市デザインで対応が可能であることが明らかとなった。本手法では、都市環境の指標をパラメータとして設定し、AIでシミュレーションを実施。要素間の連動性を活かし、都市構造と健康の関連を包括的に評価できる点で、その有用性が示された。
クサリ准教授は「パラメトリック都市デザインは、街路・建物・公園の配置を含め、抽象的な研究成果を具体的な都市デザイン案に変換できる可能性を持つ」とコメント。「都市デザイン、公衆衛生学、臨床医学の専門家などが協働することが重要」としている。
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