エリアマーケティングに役立つ無料ツール・データ・事例・書籍(3/3)
エリアマーケティングの事例
ここからは、エリアマーケティングの事例を3つ紹介。
【事例1】観光促進を目指したエリアマーケティング
事例1つ目は、青森県八戸市の「地域資源を生かした魅力ある観光創造に関する研究」。八戸市は青森県内第二の都市であり観光入込客数は青森県内市町村の中で第一位を誇る観光都市であったが、人口減少による地域経済への影響が懸念されていた。そこで対策を検討するにあたりエリアマーケティングを実施。RESASを用いた観光客の実態把握を行うにあたり「観光客数」「観光消費額」「地域事業者の稼ぎ」の三つの切り口から分析した結果以下の課題が発見された。
- 観光客の満足度の不十分・リピーター率の少なさ
- 観光地としての認知度の低さ
- 宿泊、土産、飲食にかける消費が他の観光地に比べて相対的に低い
- 宿泊者は観光客よりも「一人一泊」のビジネス客が圧倒的に多い
- 食料品製造業や飲食料品卸売業、飲食店の労働生産性が全国平均を下回っている
エリアマーケティングにより見つかった課題を受けて、地域特性の強みに則った以下の改善対策が検討された。
- SNSを活用した情報発信と客層ごとのニーズの把握
- 星野リゾートなど既存コンテンツとの提携や新規コンテンツの提案
- 地元食材を活用した地域ブランドの確立や市内ホテルと協力した市内周遊性の向上化
- グループ客の長期滞在を目指した体験型観光サービスの強化・充実
- 地域資源を取り扱う事業者への支援など生産効率を促す意識改革の実施
【事例2】既存サービス×地域特性で成功したエリアマーケティング
事例2つ目は、キリンビール「47都道府県の一番搾り」。「47都道府県の一番搾り」は、周到なマーケティング計画のもと目覚ましい成果を上げたプロジェクトとして第9回日本マーケティング大賞を受賞した。地域の特性と魅力を既存の商品に付加価値としてプラスし、開発から販売、プロモーションに至るまで地域活動を展開した点が評価された。成功のポイントは以下。
- 共創ワークショップの実施
地元住民と社員が一丸となって、地元の商品コンセプトや楽しみ方を構想 - 地元の気質と風土に合わせた47の味覚設計
ワークショップで得た着想をもとに地元の気質や風土に合わせた味覚を追求 - エリア特性に合わせた営業戦略
地域特性やチャネル特性に合わせてその地域に最適な販促、営業活動を展開 - 製造体制の早期構築
全国9工場の製造設備を最大限に活用し、47種の新商品の製造ラインを確立
【事例3】時代のニーズをキャッチ 女性特化型のエリアマーケティング
事例3つ目は、JR新宿駅直結の新たな商業施設「NEWoMan」。商業施設がひしめく新宿で新しい価値観を生み出したのがNEWoMan。「あたらしい時代を生きる、すべてのあたらしい女性のために」をコンセプトに女性に特化した営業戦略を打ち出した。NEWoManの戦略は以下。
- 明確なターゲット層の選定
10代20代の女性をメインターゲットにする「ルミネエスト」「ルミネ1」「ルミね2」とは一線を画しNEWoManは30代以上の女性に絞っている。これにより他の商業施設との差別化が図られ、よりニーズに狙い打ちしたマーケティングが可能となる - 新宿の地域特性の活用
平日は通勤や通学の通り道となり、休日はショッピングやアクティビティの場所となる新宿では、幅広いニーズに対応した店舗構成が鍵となる。女性ファッション雑貨がほとんどを占めるルミネに対し、NEWoManは物販と飲食の構成比が同率であり、またメンズとレディース双方のブランドが出揃っていることが特徴だ。施設内の回遊性を高め、男女ともに楽しめる新規の商業施設となっている - 駅直結の認可保育所の導入
NEWoManには乳児専用の保育園も備わっている。働く女性を全面的にバックアップする意図が込められており、新宿の立地特性と女性のニーズに沿った試み
エリアマーケティングに役立つ調査結果
以下記事では、「富裕層シニアの分布」「体型メリハリ度」「通販利用ランキング」など47都道府県のランキング各種を掲載。
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