女性ヘルスケアマーケティングの設計に役立つ、白書一覧(2023年版)
政府公表の白書の中から、女性ヘルスケアマーケティングに活用できるものをピックアップ(※)。消費動向、身体・健康状況、消費動向、働き方、社会課題など、女性たちの「今」がわかる!※2023年1月時点
基本統計
日本の統計
日本の国土、人口、世帯、経済、労働、物価、家計、社会保障、保険衛生、教育、文化などの広範な分野に関する基本的なデータを収録した統計書で、29の分野、364の統計表、46のグラフで構成されている。日本人の平均寿命、年齢階級別出生数・出生率、婚姻件数、年齢各歳別人口、家族類型別一般世帯数など、ペルソナ設計に役立つ基本データを掲載。
世界の統計
世界各国の人口、経済、労働、賃金、国民生活、社会保障、物価、家計、科学技術、情報通信、環境、観光といった分野のデータを国際機関の統計資料から選定・収録した統計書で、約130の統計表で構成されている。国際社会の実情や世界における日本の位置付けを確認したい時に。
健康
国民健康栄養調査(身体の状態、健康意識、健康行動)
国民の身体・健康・栄養摂取・生活習慣の状況についてまとめられている。身長、体重、BMI、血圧、薬の服用の有無、血糖値、健食の摂取状況や目的、食生活に影響を与えている情報源、運動習慣の状況、睡眠の状況、喫煙・飲酒の状況など、健康に関連した多様なデータが男女別・年齢別に掲載されている。毎年、厚労省が公表(2020年と2021年はコロナ禍の影響で調査が中止となったため、最新は2019年版)。
自殺対策白書(自殺における性差や危険因子)
自殺者数の推移(性別・年齢階級別・職業別・原因/動機別)などがまとめられている。自殺者数が3万人を超えた1998年以降から国内で自殺対策が進められるようになり、2010年に減少に転じ、2019年は最小の20,169人となった。コロナ禍の2020年は11年ぶりに増加したが、2021年は再び減少。減少基調にあるものの「自殺動機の第1位は健康問題」は、今なお圧倒的な割合を占めている。2015年版までは内閣府ホームページから、2016年版以降は厚労省ホームページから閲覧できる。毎年、厚労省より公表。
過労死防止対策白書(健康経営サービスの開発・導入に)
過労死の概況と、過労死防止のための施策の状況がまとめられている。労働時間にまつわる各種データの年次推移や国際比較、産業別の年次有給休暇取得率、職場におけるメンタルヘルス対策やワーカーのストレス状況を可視化している。健康経営に向けた企業の取り組み事例も掲載。
食育白書 (食育とSDGs達成に向けた食生活の動向)
乳幼児・子ども・妊産婦・若者・高齢者に対する食育の状況や、人々の食に対する意識や行動に関する調査結果がまとめられている。最新版の特集は「食と環境の調和」で、地球環境問題に対する関心、食品ロス問題の認知度、エシカル商品・サービスの購入状況、フードテック食材の摂取希望など、環境視点から国民の昨今の意識を解き明かしている。食生活の動向を把握するなら、前述の国民健康栄養調査と合わせて閲覧するのがおすすめ。毎年、農林水産省より公表。
食料・農業・農村白書 (食市場とニッポンフードシフトの理解に)
食料・農業・農村の動向や施策がまとめられている。食料価格の上昇の状況、食料消費の動向、消費者の信頼確保に向けた取組、スマート農業の推進、気候変動への対応策などを掲載。農林水産省が2021年度に開始した「ニッポンフードシフト(※)」の取り組み状況も紹介。毎年、農林水産省より公表。※Z世代をターゲットに、全国各地の農林漁業者の取組や地域の⾷・農⼭漁村の魅⼒を、イベント、テレビ、新聞、雑誌等のメディアを通じて発信し国⺠の消費⾏動につなげることを⽬指した国民運動。
観光白書 (ヘルスツーリズムの開発に)
2021年の観光の動向・講じた施策と、2022年に講じる施策をまとめている。新型コロナにより打撃を受けた観光業の再生に向けた課題と施策や、国内外の観光業の状況、人々のワーケーションへの興味関心、旅行先でのニーズ、旅行消費額などを確認できる。毎年、国土交通省より公表。
生活者
国民生活基礎調査(基礎的事項の網羅的なデータ)
国民生活の基礎的事項の状況(世帯、所得、保健、医療、福祉など)についてまとめられている。厚労省が毎年実施している調査で、3年に1度行われる大規模調査では、男女別・年齢別の健康状況や介護の状況についても調査結果を掲載(最新の調査結果2021年版は簡易調査)。
厚生労働白書(国民の生活状況)
厚生労働行政の現状や今後の見通しについてまとめられており、合わせて、人口減少や高齢化の状況、人々の健康づくりや取り組み、子育て、医療・介護制度、障がい者支援、労働問題など、国民を取り巻く環境や生活の状況を網羅的に理解できる。テーマは毎年変わる。2022年版は「社会保障を支える人材の確保」で、現役世代が急減していく人口構造を踏まえた医療・福祉サービスのあり方を掲載。毎年、厚生労働省より公表。
世論調査(生活や時事問題に対する国民の意識)
多様なテーマの世論の動向を把握できるのが、世論調査。国民の生活(収入、食生活、住生活、余暇生活)の満足度、日常生活での悩みや不安、今後の生活の見通しなどを、年齢別・性別・都市規模別・従業上の地位別に確認できるのが、毎年実施される「国民生活に関する世論調査」で、その他は「環境問題」や「夫婦別姓」など、時事性あるトピックをテーマに調査が実施される。毎年、内閣府が公表。
- 【最新】国民生活に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】社会意識に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】家族の法制に関する世論調査(2021年度)
- 【最新】離婚と子育てに関する世論調査(2021年度)
- 【最新】移植医療に関する世論調査(2021年度)
- 【最新】人権擁護に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】生涯学習に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】防災に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】たばこ対策に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】プラスチックごみ問題に関する世論調査(2022年度)
- 【最新】生物多様性に関する世論調査(2022年度)
社会生活基本調査(国民の時間の使い方)
国民の生活時間の配分に関する調査結果が掲載されている。家事、育児、副業、ボランティア、学習、介護・看護、趣味、スマホ・パソコンの使用など、生活者の日々の時間の使い方を男女別・項目別に確認できる。総務省が5年ごとに公表。
男女共同参画白書(女性マーケティングの参考に)
男女共同参画社会の形成に向けた男女格差の状況と施策がまとめられている。政治・司法・行政・経済など各分野における女性の参画状況や、男女間賃金格差の国際比較といったお堅いデータから、恋愛観・結婚観、ひとり親世帯の状況、50歳時の未婚割合、雇用形態別の離婚の可能性、孤独感、年齢階級別の孤独死数、貧困率など、マーケティングの実践に活かせるリアルなデータまで、多角的な視点から女性特有の社会課題を確認できる。2022年版の特集は「人生100年時代における結婚と家族 〜家族の姿の変化と課題にどう向き合うか〜」。毎年、内閣府より公表。
働く女性の実情(働く女性の状況と課題)
就業者数、産業別の雇用者数、労働者の平均年齢、非正規従業員の割合、賃金、学歴別の就職状況など、働く女性の実態を男女差を示しながらまとめている。最新の調査によれば、女性の労働力人口は3,057万人(男性は3,803万人)で、労働力人口総数に占める女性の割合は44.6%と約半分にまで迫っている。働く女性のペルソナ設計で役立つ。毎年、厚労省より公表。
少子化社会対策白書 (結婚・妊娠における女性の意識)
出生数の推移、婚姻・出産の状況、理想の子供数、結婚・出産・子育て・出産による就業変化に関する男女それぞれの意識、夫婦の家事・育児時間など、結婚と出産と仕事にまつわるデータを掲載。都道府県別のデータも確認できるので、エリアマーケティングの参考に。少子化対策の取り組みも掲載。毎年、内閣府より公表。
子供・若者白書(α・Z・ミレニアル世代の意識と課題)
0歳〜30代の子ども・若者の状況(教育、健康、自立、就労など)と、支援施策の実施状況がまとめられている。障害、病気、ヤングケアラー、人工妊娠中絶、性感染症、いじめ、非行、犯罪、暴力、孤立、貧困、自殺など、心身の健康状態を左右する”困難な状況”ごとの実態や取り組みも掲載。
高齢社会白書(国内外の高齢化の状況と高齢者の意識)
国内における高齢化の状況、高齢化の国際動向、地域別の高齢化の状況、高齢者の生活環境・健康・介護・雇用・社会参加などについてまとめられている。日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口)は28.9%で、世界で最も高い(2021年10月1日時点)。高齢化は今後さらに進展し2065年には約4割との推計が出ており、シニアビジネスやエイジテックの事業推進は急務。シニア層のペルソナ設定やシニアマーケティングの設計前に確認しておきたいデータが満載。毎年、内閣府より公表。
人権教育・啓発白書(ソーシャルビジネス創出のヒントに)
人権課題に関する状況や政府の取り組みがまとめられている。人権課題があるクラスターとして挙げられているのは、「女性」「子ども」「高齢者」「障害のある人」「感染症のある人」「LGBTQ」「ホームレス」「部落」「アイヌの人々」「外国人」などで、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に合わせ、解決が急がれている。社会課題解決型ビジネスの創出や、人権課題を抱えやすいクラスターを対象にしたマーケティングのヒントに。
消費
消費者白書(消費者の意識と行動)
消費者政策実施の状況、消費者問題の動向などがまとめられている。特集テーマは毎年変わり、最新の2022年版では若者の消費意識・消費行動・SDGsへの関心や取り組みに焦点を当て、「変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組 ~18歳から大人の新しい時代へ~」。前回の2021年版はコロナ禍による消費変化をテーマに取り上げ「『新しい生活様式』における消費行動~『消費判断のよりどころ』の変化~」。毎年、消費者庁より公表。
労働経済白書(労働者の現状と課題)
雇用、賃金、労働時間、有給休暇、消費・物価の動向、キャリア形成に向けた課題など、労働に関わる現状と課題についてまとめられている。消費者の動向に関しては、前述の消費者白書も参考になるので合わせて確認したい。毎年、厚労省より公表。
地域
地域の経済白書(コロナ禍以降の地域経済の状況)
地域経済に関する報告書。最新版では、コロナ禍以降で起きている人々の地方移住への関心や企業の地方移転など、地方への人の流れやそれによる地域経済の動向を概観。パンデミックが地域経済に大きな下押し圧力となったことや、地域の感染症の状況と人出の関係、観光・消費、生産、雇用の地域別の動向について分析してる。毎年、内閣府より公表。
都道府県別の統計(エリアマーケティングに使えるデータ)
都道府県別の主要なデータを取りまとめた報告書で、581指標、549基礎データを掲載。人口分布、世帯、結婚・離婚、健康・医療、福祉・社会保障、家計、生活時間、文化・スポーツ、教育などに関するデータが都道府県別にまとめられており、エリアマーケティング設計時の必携の書。毎年、総務省統計局より公表。
情報・ICT
情報通信白書 (国民や企業のICT利用の状況)
情報通信の現況及び情報通信政策の動向についてまとめられている。年代別のメディアの平均利用時間・行為者率、目的別に利用するメディア、ネット利用率など、国民のICT活用状況の他、企業のDXの動向や、ICT市場における国内外の動向(世界の主要プレーヤーの時価総額、主要SNSの月間アクティブユーザー数、EC市場の売上高、検索サービスのシェア、動画配信・音楽配信・電子書籍の市場規模、国内のAIの主要8市場の市場規模)、国内外のサービス・アプリの動向などを掲載。最新版の特集は「情報通信白書刊行から50年 〜ICTとデジタル経済の変遷〜」で、過去50年間のICTの変遷を振り返る。毎年、総務省より公表。
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