女性就業率53.2%で過去最高 育児・介護で離職した女性22.1万人

総務省は今月21日、国民の就業実態を把握する就業構造基本調査の結果を公表した。2022年10月1日時点で、全就業者(6,706万人)のうち女性は3035.4万人で、前回の2017年調査から121.5万人増加し過去最多となった。女性の就業率も53.2%で過去最高を記録した。過去一年間に、出産・育児で離職した女性の数は大きく減少し、前回調査の21.2万人から14.1万人に。一方で介護・看護で離職した女性は微増で、前回の7.5万人から8万人へ。性差を見ると離職は女性が圧倒的に多く、ケアワークの比重が女性に大きく偏っている状況は依然として変わらない。

  • 正規雇用の状況
    ・正規の職員・従業員の総数は3611.5万人(女:1271.7万人、男:2339.8万人)
    ・女性就業者全体に占める、女性の正規職員・従業員は42%
    ・男性就業者全体に占める、男性の正規職員・従業員は63.9%
  • 非正規雇用の状況
    ・非正規の職員・従業員の総数は2111万人(女:1446.8万人、男: 664.2万人)
    ・女性就業者全体に占める、女性の非正規職員・従業員は47.8%
    ・男性就業者全体に占める、男性の非正規雇用は18.1%
  • 産業別の就業者トップ3(女性)
    ①医療・福祉… 672万人(22.8%)
    ②卸売業・小売業…509万人(17.3%)
    ③製造業… 327万人(11.1%)
  • 産業別の就業者トップ3(男性)
    ①製造業…721万人(20.2%)
    ②卸売業・小売業…459万人(12.9%)
    ③建設業…374万人(10.5%)
  • 育児と仕事の両立
    ・育児をしている人は964.5万人、うち育児と仕事を両立しているのは821.4万人(男女計)
    ・5年前に比べ、育児と仕事を両立している人の割合は5.9ポイントの上昇(女性は9.2ポイント、男性は0.1ポイント上昇)
    ・男女ともに育児と仕事を両立している人は「40~44歳」が最多
    ・過去1年間に出産・育児のために離職した人は14.8万人(女性14.1万人・男性0.7万人)。前回よりも6.7万人減った(前回の2017年調査では、女性21.2万人・男性0.3万人が離職)。総務省によると、妻の育休取得が進んでいることが背景にある
  • 介護と仕事の両立の状況
    ・介護をしている人は628.8万人、うち介護と仕事を両立しているのは364.6万人(男女計)
    ・5年前に比べ、介護と仕事を両立している人の割合は2.8ポイントの上昇(女性3.4ポイント、男性1.7ポイント上昇)
    ・男女ともに介護と仕事を両立している人は「50~54歳」が最多
    ・過去1年間に介護・看護のために離職した人は10.6万人(女性8万人・男性2.6万人)。前回よりも0.7万人増えた(前回の2017年調査では、女性7.5万人・男性2.4万人が離職)。総務省によると、増加の理由は60歳以上の離職が増えていること。定年退職を機に介護に専念する人が増えていると見ている

同省は、働く女性が過去最多になった一因として「育児をしながら働ける環境整備が一定程度進んだこと」を挙げているが、これについて報道されると、ネット上には「環境整備が進んだのではない。子育てするためには共働きでないと生きていけないから両立している」、「家事・育児と仕事の両立がきつすぎて、2人目の子供を持つことを諦めた」など、仕事とケアワークを両立する苦しさを訴える声が溢れた。

 

 

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