加熱するリップ市場 ジプシー女子を呼び込む各社のweb戦略

リップがメイクの主役の今、各社がトレンドの赤系リップの販売に力を入れているが、一方、女性たちは「どの赤リップが自分に合っているの?」「どこのブランドも赤をたくさん出していて、どれが良いのかわからない」とリップジプシーに。さらに、今トレンドの赤リップは色が目立つだけに、似合う・似合わないがはっきりと分かれる。

同じ赤リップでもつける人によって印象は違うし、同じ人でも選ぶ赤色によって印象はガラリと変わる。「かわいい赤色だけど、実際に唇に色を乗せたらイメージと違った」なんて不満は多くの女性が身に覚えがあるはず。赤系リップのビックトレンドがやってきたことで、今、女性たちは「より自分に似合う”色”」探しに関心を寄せている。そんな中、各社が力を入れるのは、「似合う色」のweb上での提案。加熱するリップ戦場で今、各社はどんな工夫を仕掛けているのか?

リップ市場、カギは提案力 6事例

イヴ・サンローラン

商品詳細ページに進むと、リップの色を実際に自分の顔で試せる機能が用意されている。自分の顔ではなくても、自分の人種や肌の色に近いモデルの顔に色をオンすることも可能。PCでもスマホでも簡単にできるので、読者の皆さんもぜひ試してみて。

  1. 商品ページへ進む
  2. 「色を試す」をクリック
  3. 色を試す方法を3つ(以下)の中から選択
  4. 好きな色を選ぶ
  5. 画面内の唇が色づく
  • カメラモードで試す(ライブモードで映し出された自分の顔で試す)
  • 写真をアップして試す(PC・スマホ内の写真を使って試す)
  • モデル画像で試す(自分の人種・肌色に近いモデルの写真を使って試す)

(注)カメラモードに対応していないOSや、アプリ内のブラウザ・機種の場合は不可。スマホのLINEを通じて本ページを閲覧している場合は、通常のブラウザから閲覧するとカメラモードで試せる。

web上でリップを訴求する場合、色見本を見せるようなイメージで各リップを画像で並べるのが一般的だが、PC・スマホのカメラモードや写真を活用すれば、web上でのトライアル提案が可能になる。わざわざ店舗まで出向かなくても、自宅でもどこでも気になった色を好きな時に試せるのも嬉しいし、「店舗で試すのは周りの目が気になって苦手」「他の人も試したリップを使うのは衛生的に抵抗がある」という女性にも嬉しい。販売者サイドは、web上での購入検討者の取りこぼしを防げるのがメリット。

なお同商品はその他に、「なりたい自分」から色を選択できるよう図解も用意している(ページ下部)。「翻弄する私」「誘惑する私」「虜にする私」の3つの各”なりたい私”別に、ピンク系、コーラル系、レッド系、ローズ系を提案。

マキアージュ(資生堂)

同じく、マキアージュもweb上でリップを試せる機能を商品詳細ページで提供。

  1. 商品ページへ進む
  2. 「自分の顔で試す」をクリック
  3. 色を試す方法を3つ(以下)の中から選択
  4. 好きな色を選ぶ
  5. 画像内の唇が色づく
  • Live Makeup(ライブモードで映し出された自分の顔で試す)
  • Upload a Photo(PC・スマホ内の写真を使って試す)
  • Choose a Model(自分の人種・肌色に近いモデルの写真を使って試す)

本商品(ドラマティックルージュEX)は1本で2通りの唇に仕上げることができる点が特徴で、その異なる仕上がりまでweb上で試せる。薄膜でピュアな唇に見せる「さらり塗り」と、2秒あてると美容オイルがとろけだし大人っぽい印象の唇にできる「とろり塗り」。あなたはどちらが好み?

コフレドール(カネボウ化粧品)

web上でのトライアルに留まらず、もう1歩上を行くのはコフレドール。「イエベorブルベ」を診断した後に、リップのカラーを選択・お試しできる。「イエベorブルベ」は、美意識が高い女性たちの間で今高い関心が寄せられている美容トピック。肌が黄色ベースなのか青色ベースなのかで似合うコスメの色が異なることから、多くの女性が自分の肌がイエベなのかブルベなのかを知りたがり、その上でコスメを選択している。

各人気美容誌やwebメディアでは、イエベ・ブルベを確認する方法を紹介しているが(例:手首に透けて見える血管が青いなら「ブルベ」、緑色なら「イエベ」、など)、自分ではいまいちどちらかわからない女性たちも。そんな女性たちにとって、似合うリップカラーを選択する前に知りたいのは「イエベ・ブルベ」。イエベ・ブルベ診断の後にリップのお試しができるのが、コフレドールのトライアルの特徴。

  1. 商品ページへ進む
  2. 「スキンカラー診断をする」をクリック
  3. 色を試す方法を3つ(以下)の中から選択
  4. 好きな色を選ぶ
  5. 画像内の唇が色づく
  • Live Makeup(ライブモードで映し出された自分の顔で診断)
  • Upload a Photo(PC・スマホ内の写真を使って診断)
  • Choose a Model(自分の人種・肌色に近いモデルの写真を使って診断)

LIP38℃(フローフシ)

2017年に発売・大ヒットし、各ベスコスメアワードで多数受賞し一躍有名となったフローフシの大人気リップトリートメント商品LIP38℃は、その商品特徴である「唇のコンディションに合わせて理想的な唇温度38℃をつくる」という視点から、自分に合うリップを選べるよう導線を引いている。理想的な唇温度に近づけるには、まずは「私はプラス何℃必要?」「私は逆に温度を下げるべき?」を知る必要があるが、そもそも唇の温度計測ってどうやってやるの…?そこで同社は、血色レベルから必要な温度調整レベルを把握し、そのレベルに合った商品を次のようにweb上で紹介している。

  • 血色の悪い唇・色素沈着した唇には「5℃」上げるコーラルオレンジ
  • 色素が薄い唇には「3℃」上げるコーラルピンク
  • ほんのり血色感が欲しい唇には「1℃」上げるベビーピンク
  • 色味はそのまま、透明感が欲しい唇には「±0℃」のクリスタル
  • 赤みが強すぎる唇には「2℃」下げるアイスグリーン

自分の血色レベルから商品を選択すれば理想の唇温度に持っていけるので、購入時に迷うことがない。商品詳細ページにはチャートを用意し、各血色レベル別におすすめのカラーを使用するとどのような唇に仕上がるかを確認できる。自分の顔で試す機能はないが、使用イメージはしやすい。

  1. 商品ページへ進む
  2. ページ中部にあるチャートで、自分の血色レベルを選択・クリック
  3. 自分の血色レベルに合ったリップを塗った時の唇イメージを確認できる

出典:FLOWFUSHI

オペラ(イミュ)

ライブカメラを使用したトライアルは提供していないので自分の顔では試せないが、好みの色を選択すると、そのリップを塗ったモデル女性の唇を確認できる。全色、同じモデル女性が塗っているので比較はしやすい。色見本をただ並べたものよりは、塗った時のイメージがしやすい。

  1. 商品詳細ページへ進む
  2. ページ中部に並ぶ色見本の中で気に入ったものをクリック
  3. 選択した色のリップを塗ったモデル女性の唇を確認できる

レブロン

リップの色見本を並べているのみでweb上のトライアルは提供していない。実際に塗った時のイメージがしづらいが、同ブランドでは、複数販売しているリップ関連商品の選び方をポジショニングマップで紹介している。縦軸は「あざやか高発色」「自然な発色美」、横軸や「マット質感」「ツヤ質感」。同一ブランドから同じ商品群のものを多く販売している場合は、ポジショニングマップなどで提案するのは有効。でも、消費をする女性の立場から見ると、やっぱりすべてのリップ商品をweb上でトライアルできるのが理想!

購入の決め手は「ブランド力」よりも「提案力」

上記では提案力のあるブランドをピックアップして紹介したが、「その他は?」というと、色見本を並べただけの昔ながらのものが多い印象。web上での提案力は今のところ格差は大きいようだ。そうなると、女性たちは必然的に提案力のあるブランドを選ぶもの。市場が加熱する商品群においては、消費者の購入の決め手はもはや「ブランド力」や「知名度」ではない。選ばれるのは、より自分に合う商品を「手軽&的確に」教えてくれる「提案力」の強いブランドだ。

 

【編集部おすすめ記事】
女性集客に成功しているイベント・店舗事例14選
驚きのCM「何あれ!?」 美肌用シャワーヘッド
ヘルスケアのモノ・コトで女性客獲得狙う 百貨店の取り組み例6選
女性の感情に寄り添う 資生堂のマーケティング戦略

PAGE TOP
×