ヘルスケアのモノ・コトで女性客獲得狙う 百貨店の取り組み例6選

先月、三越伊勢丹ホールディングスが新潟三越(新潟)、伊勢丹 相模原店(神奈川・相模原)、伊勢丹 府中店(東京・府中)の閉鎖を発表した。閉鎖される地元では落胆の声が多いが、ネット上には「百貨店よりもイオンモールやAmazon、ららぽーとの方が安いし品揃え豊富だし、わざわざ行く必要がない」「品揃えがショッピングモールと変わらないから、百貨店には行かなくなった」など、店舗閉鎖を必然と捉える声も多い。

訪日外国人や富裕層の需要に支えられ好調な都心の店舗に対し、地方の店舗は人口減少や大型商業施設との競争などで需要は落ち込んでいる。苦境が続く百貨店業界だが、一部百貨店では女性向けヘルスケアを意識した店舗づくりを強化し女性客獲得を狙う。

【事例1.】日本橋高島屋S.C新館 充実の美容・健康体験スペース

9月25日(火)にオープンしたのは、日本橋高島屋S.C新館(東京・日本橋)。1階には体験型を切り口にした、メイク・ネイル・ヘアの施術を体験できるトータルビューティサロン「ベルサンパティック」が登場。働く女性の増加で、美容の「時短」や「セルフケア」ニーズが高まりを見せる中、従来の百貨店の化粧品売場では対応できなかった“気軽に立ち寄れる施術・体験サービス”を充実させる。20~50 代を中心としたビューティコンシャスな女性をターゲットにしている。

日本橋高島屋 ベルサンパティック

出典:高島屋

3階の婦人靴売り場「SHOEWORD(シューワールド)」では、ちょっとした待ち時間に、“濡れない足湯”でリラックスできる空間を提供する。約15分間、無料利用可。

出典:高島屋

4階の「マイボディルーム」は、美容と健康にこだわったランジェリーや、フィットネスやリラクシングタイムに身に着けるルームウェア、ビューティグッズを取り揃える。同フロアには、ティップネスの新業態、女性のためのコンディショニング・ヨガスタジオ「libery」も入る。

【事例2.】伊勢丹 ヘルシーおせち

2019年の伊勢丹のおせち料理の予約販売が開始された。ヘルシーなおせち料理が豊富に用意されている。

伊勢丹のヘルシーおせち料理

出典:三越伊勢丹ホールディングス

  • ヘルシーおせち一段(¥10,800税込)
    カロリー、塩分、糖質に配慮。総エネルギー約850kcal
  • やわらかおせち和風一段(¥9,720税込)
    カロリー、塩分、糖質に配慮。硬いものが食べにくい人向け
  • 女子栄養大学 栄養クリニック監修 和洋二段おせち(¥30,240税込)
    通常よりも薄味に仕上げ、カロリーに配慮
  • チャヤ マクロビオティックス スーパーフードおせち二段重(¥19,440税込)
    13品目のメニューはすべて、肉・卵・乳製品・化学調味料を使わずに調理。スーパーフードを使用
  • 森下仁丹 おせち三段重(¥35,640税込)
    食養生おせち。高齢人参、キヌア、クコの実などを使用。合成保存料、合成着色料不使用
  • 石井食品 食物アレルギー配慮おせち一段(¥16,740税込)
    特定原材料7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)、化学調味料、保存料、合成着色料不使用
  • 石井食品 食塩不使用パックおせち(¥11,880税込)
    塩分が気になる人向け。だしと味つけを工夫し、味の染み方に配慮。化学調味料、保存料、合成着色料不使用

【事例3.】大丸松坂屋百貨店 しこりタッチ体験

大丸松坂屋百貨店では、10月1日(月)~10月31日(水)、大丸・松坂屋17店舗で乳がん検診の啓発活動を支援する「ピンクリボンキャンペーン」を開催する。期間中、模擬乳房でしこりの感覚を直接確かめられる「しこりタッチ体験」を提供。2013年10月からスタートし、これまでに11,700名の人が参加したとのこと。今年も15店舗で実施する。

大丸松坂屋百貨店のピンクリボン運動

出典:大丸松坂屋百貨店

【事例4.】GINZA SIX VRエクササイズ

脱百貨店をテーマにしているGINZA SIX(ギンザ シックス 東京・中央)。地下1Fの「ビユーティーテラス ギンザ~ドレス サークル~」は、エステサービスとトレーニングサービスを提供する。加圧ビューティ、EMSトレーニング、VRエクササイズなど話題のメニューが揃う(以下2つの動画は、同店で受けられるトレーニング)。

【事例5.】阪急うめだ本店 ビューティスタジオ

阪急うめだ本店が、8月24日(金)に阪急三番街南館1Fにオープンしたのは「”探す”、”試す”、”習う”でなりたい私になる!」がコンセプトの「阪急ビューティスタジオ」。ミレニアル世代がターゲット。リアルとバーチャルの両方でビューティを楽しむことができ、スタジオでは以下サービスを提供する。

  • カウンセリングのみを行い、販売は行わないイプサのカウンセリングカウンター
  • テーマ・カラーで集めたリップやネイルが集合したアイテムバー
  • デジタルメイクシュミレーションができるアプリ「YouCamメイク」設置
  • 10分という短時間でメイクのクイックアドバイスを提供する「10min Beauty」
  • カラーコンタクトレンズのバーチャル体験
  • リーズナブルに体験できるプロによるヘアアレンジ、メイク、アイラッシュ、ネイル

 

【事例6.】京王百貨店 @コスメとコラボ

京王百貨店は、化粧品売り場で前年比+20%以上伸長している20~30代女性(組織顧客比率)のさらなる獲得を目的に、コスメ・美容の総合サイト「アットコスメ」とコラボレーションし、期間限定イベント「Keio Cosme Buffet」を今年7月に開催した。20ブランド以上からおよそ35種類のアイテムがそろい、客は会場スペース内で自由に試すことができる。「デパコスは気になるけど、百貨店のコスメカウンターは自由に試しづらい」という20~30歳代の女性に、メイク直し感覚で百貨店の化粧品売場に立ち寄ってもらうことが目的。

出典:京王百貨店

 

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