美容・健康商品のトレンドは“マルチ訴求”、Dior・花王・カゴメの事例
一つのアイテムで複数の美容・健康悩みをケアできる、マルチ訴求の商品が増えている。ユーザーベネフィットは無論コスパだが、複数の悩みを複数の商品・サービスでケアする必要がなく、一つのアイテムでニーズを満たしてくれるタイパの良さが人気の秘密。各商品の購入者レビューには、「複数を同時にケアできるから買った」「一つで何でもケアできるから便利」などの高評価が並び、”マルチ”が明確な購入理由に。マルチなら何でもウケるということはなく、「機能性」「デザイン性」「ニーズの充足」「ブランド力」などといったマーケティング要素が大前提ではあるが、似たり寄ったりの商品が登場するなか、企業サイドにとっても新たな差別化戦略として注目が集まる。
1本でトリプルケア、野菜ジュース(カゴメ)
マルチ訴求が進む業界の代表例が、機能性表示食品。近年、複数の健康効果を訴求するダブルヘルスクレームやトリプルヘルスクレームの商品が相次いで登場している。例えば、昨年9月に発売されたカゴメの「野菜一日これ一本 トリプルケア」。従来からのコンセプトである「手軽に野菜を補える」はそのままに、1本で「血圧」「血糖値」「中性脂肪」を同時にケアできる優れものだ。口コミには、「野菜不足を補いたいのと、中性脂肪と血圧の数値がちょっと高めなので、どちらも補えるのなら…と思い購入」「機能があるならと、この商品に変更した」など、多機能を評価する声が目立つ。
これ一つで全身をケア、Z世代向けの美容クリーム(Dior)
ラグジュアリーブランドのDiorは、Z世代向けに開発したマルチクリーム「ル ボーム」を昨年5月に発売。若年層の間で大人気の肌荒れを防ぐCICA成分を配合した美容クリームで、ボディ、フェイス、手、ネイル、リップまで幅広くケアできる。これ一つで全身のスキンケアが叶うため、複数のケアアイテムをメイクポーチに入れて持ち歩く必要がなく、近年進む”バッグのミニ化” にも対応。アクセサリー感覚で持ち運びたくなるファッショナブルなデザインとマルチにケアできる点が同程度に評価されており、「マルチに使えるので旅行や外出に便利」「パッケージがかわいくて気分が上がる」「コロンとしてかわいい」「デスクに置いてる、癒される」など、SNSやYouTube、各口コミサイトには高評価レビューが溢れる。
複合的な疲れをケア、入浴剤(花王)
医薬部外品の入浴剤は、「冷え性」「神経痛」「あせも」「痔」など多様な効能を示すことができるマルチ訴求の元祖とも言えるが、花王のロングセラー商品、入浴剤の「バブ」が昨今のニーズを捉えたマルチ訴求をするのは「複合疲れ」。疲労の複合的な要因となる「疲労」「肩こり」「腰痛」をひっくるめた表現で、パッケージには「現代の複合疲れに メンテナンス浴」。現代人ならではの複合的な疲れをバブひとつで同時にケアできる点をアピールしている。身体的疲労はもちろん、ついでに精神的疲労にも効き目がありそうだ。
女性ヘルスケア市場で注目の商品、最新動向
2024年に注目の女性ヘルスケア商品・サービスの最新動向は、「女性ヘルスケア白書 市場動向予測2024 〜健康トレンド・業界動向・女性ニーズ〜」でご紹介しています。ぜひご活用ください!
【編集部おすすめ記事】
■化粧品の「成分買い」が浸透、女性に人気の美容成分トップ5(20〜50代)
■女性の注目を集めた、マーケティング事例41選
■人間の消費行動を駆り立てる「11の欲望」とは?
■美容医療の市場規模5,940億円へ拡大、5つの市場トレンド
■女性の消費基準は「バリュパ」へ、求めるのは“本質的なタイパ”
■【レポート】売れるフェムテックの「開発」と「販売戦略」 17の障壁と対策