フェムテックで更年期を症状別にケア、商品・医療機器・医療サービス6選

フェムテックで更年期の課題を解決しようと、更年期女性向けの商品・サービス開発に乗り出す企業が相次いでいる。各所の調査が明らかにしている通り、更年期症状を感じていても予防対策やケアをしない女性が大多数であるため、更年期を訴求したフェムテックの消費や健康行動はまだ一般的とは言えないが、近年は更年期をオープンに話せる空気が醸成されつつあることから、期待は大きい。国内の人口ボリューム層が更年期に突入し、加えて、女性の更年期症状による経済損失が1.9兆円(※)に上るとの試算がされたことも、強力な追い風に。今後、市場でのさらなる投入が予想される。フェムテックで、どんな更年期症状をケアできる?商品・サービス事例を見ていこう。(※)詳細:女性の健康課題、年間の経済損失は3.4兆円 経産省

フェムテックで更年期をケア、6選

女性ホルモン量の検査キット(あすか製薬メディカル)

少量の毛髪で、女性ホルモン量を測定できる自宅用の検査キット「プロジェス」。女性ホルモンの測定は採血が主流で医療機関を受診する必要があり、痛みも伴う。そこで痛みや感染症リスクを伴わない毛髪での測定キットを開発。女性ホルモンが減少するプレ更年期と更年期の女性をメインターゲットに、今年4月に発売。

プロジェス あすか製薬メディカル

【出典】あすか製薬メディカル(検査結果レポートの一部)

 

 

 

「年齢による冷え・だるさ・疲労」をリポビタンで(大正製薬)

大正製薬のリポビタンシリーズから今年4月、更年期訴求の新商品「リポビタンアクティブ」が登場。4つの生薬(トウキ・ショウキョウ・チンピ・ローヤルゼリー)を配合し、年齢による身体のだるさや冷え、日常生活や仕事、運動による疲労をサポートする。生薬独特の風味やにおいを生かしながら、飲みやすさにこだわった。「更年期世代に」というパッケージでのダイレクトな訴求は実際に更年期世代に刺さっているようで、口コミには「更年期障害と仕事後の疲労感の対策で購入」「更年期に特化した栄養ドリンクで効果ありそう」「更年期に効くドリンクとのことで購入した」などの声が並ぶ。

リポビタンアクティブ

【出典】大正製薬

 

 

「ホットフラッシュ」を冷却デバイスで緩和(ソニー)

更年期特有の急な暑さや発汗時に症状を緩和する、冷却デバイス「REON WIZ」。特徴はウェアラブルデバイスとアプリを併用する点で、暑さの感じ方やタイミングが個々で異なる点に着目して開発。デバイスの冷却が始まった際に、専用アプリで温度の感じ方を「温かい」「ちょうどいい」「冷たすぎる」から選択してフィードバックすることで、より正確な「利用者だけの温度」が構成されるようになる。使えば使うほど、利用者に合った温度で冷却できるようになるという仕様だ。常時着用できるデザインも特徴。首にかけるタイプで洋服に隠れるため、周囲からは見えづらい。2023年2月に発売。

SONY REON WIZ

【出典】ソニー

 

 

介護士の声から開発、「尿漏れ」専用の吸水ショーツ(グンゼ)

尿漏れに対応した吸水ショーツ。吸水パッドは消臭加工で、ハンモック設計のため尿がつたいにくい。制菌加工で、ニオイの原因菌だけでなく肺炎桿菌や大腸菌等の増殖も抑制する。見た目は普通の女性用ショーツで、フロント部分にはレースをあしらい華やかなデザインに。介護士に話しを聞き、介護や入院、診察など様々なシーンを想定して開発した。2023年11月発売。

グンゼ 尿漏れ 吸水ショーツ

【出典】グンゼ

 

 

「骨盤臓器脱」を医療機器でケア(三井メディカルジャパン)

骨盤臓器脱の症状を緩和する医療機器サポーター「フェミクッション」。シリコン製の丸いクッションで臓器を体内に保持し、ホルダーとサポーターでしっかり固定する設計。骨盤臓器脱の保存的治療法であるリングペッサリーと違い、膣内への異物挿入がないため、痛みや出血、定期的な通院等を必要とせず治療でき、精神的にも身体的にも負担が少ない。効果を実感する人は多く、「リングペッサリーも試したが合わず絶望的だったが、フェミクッションは本当に身体が楽になり、これからの人生に希望が持てた」「すがる思いで注文した。ホールド感があり、安心出来そう」「還暦を迎え子宮下垂・軽い子宮脱になり悩んでいた。職場の人から勧められてフェミクッションを購入したところ、しっかり支えられ安心して動けるし以前の様に出血がなくなった。これでリング挿入やメッシュ吊り上げ手術はしないで済む」など高評価の声が目立つ。産後の子宮脱から高齢期まで、幅広い年齢の女性が使用している。

 

 

GSMをウロギネ科で治療(亀田総合病院)

デリケートゾーンや膣のトラブル、尿トラブル、性交痛など、女性ホルモンの低下により生殖泌尿器系に起こる様々な症状を指す「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause/閉経関連泌尿生殖器症候群)」。フェムテックの盛り上がりと同時に認知が広がっており、並行して注目されているのが「ウロギネ科」。泌尿器科と産婦人科の境界領域にある病気を治療する診療科「Urogynecology(ウロギネコロジー)」のことで、女性の尿・膣トラブル全般を診る。ウロギネ訴求でGSMの治療に力を入れているのが、亀田総合病院。「ウロギネ・女性排尿機能センター」を2007年に開設、女性のデリケートゾーンを専門に治療する。症例数は日本屈指。最新の治療や多様な治療の選択肢を提供している。

 

 

売れるフェムテックの開発と販売戦略  17の障壁と対策

\フェムテックビジネス特有の、多くの事業者に共通する「失敗パターン」と「対策」/
フェムテックの一大ブームが後押しとなり、言葉の認知は生活者の間でも業界の間でも広く進みました。先行していたスタートアップのみならず、最近は大手や中堅企業による商品投入も相次いでいます。一方で、期待していたほど売上が伸びず早々に撤退を決めた事業者の存在も顕著になり、業界内では、”話題性の高さ”と”売り上げ”に相関がないことを実感している人が増えているのも事実です。この市場に商機は本当にあるのかー?すぐに軌道に乗る事業者と、失敗に終わる事業者(撤退・解散・休止など)の違いはどこにあるのかー?レポートにまとめました。詳細・レポートのお申し込みはこちらフェムテックレポート ビジネスモデル、需要性、課題

 

 

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