健康啓発は「複数社で一緒に」「競合と手を取り合って」が業界の新トレンド、3事例
複数の企業が、時には競合とも手を取り合い健康を啓発する事例が増えている。自社単独での啓発よりも規模を大きくできることから、メディアや生活者の関心を引きやすく、市場でスピーディに機運を醸成できる点がメリット。簡単ではない生活者の健康行動・健康消費の促進やヘルスリテラシー向上に向け、各社が強みを活かしながら施策を相互補完できるのも、プラス面だ。そもそも、企業による生活者の “健康ニーズ争奪戦” が激しくなる中、複数社での啓発を通じ市場拡大を目指すのは、タイパの視点でも合理的な判断。今年始動した啓発プロジェクト、3事例を見ていこう。
血圧ケア、6社で啓発(ミツカンなど)
自分の血圧を適切に管理・対策する「血圧ケア」を啓発しようと、今年7月、事業領域の異なる6社が共同でプロジェクトを立ち上げた。ミツカン、森永乳業、オムロンヘルスケア、新生堂薬局、検査サービスなど予防医療事業のプリメディカ、高血圧に特化したオンライン診療事業のイーメディカルジャパン、それぞれの役割は明確で、高血圧の予防から治療までの各フェースを各社が担当して啓発する。統一したメッセージを同時発信することで、様々な血圧の段階にいる人々のアクションに繋げられることが、事業領域の異なる6社が共同で取り組む意義だとし、「大きな変化のうねりを作っていきたい」と語っている。
膝の健康、3社で啓発(帝人など)
今年3月に、帝人、医療用品の日本シグマックス、医療機器のアスピシャスの3社が、膝の健康を啓発するプロジェクト「Knee Smile ひざの健康推進プロジェクト」を始動。特に着目しているのは、膝の痛みの一因となる「変形性膝関節症」。40歳以上の日本人の2人に1人がかかるとされ、罹患率は女性62%、男性42%で女性の方が高い。膝の健康を維持することで健康寿命の延伸を目指すプロジェクトで、啓発に向けたシンポジウム開催や冊子・ポスターなどの配布を実施していく。
ビフィズス菌の重要性、2社で啓発(森永乳業など)
大正製薬と森永乳業が今年7月に始動したのは、善玉菌「ビフィズス菌」の認知向上を目的とした啓発プロジェクト「Bkins(ビーキンズ)」。主な啓発対象は美容・健康に関心が高い20代の社会人。ビフィズス菌のリーディングカンパニーとして研究開発・商品開発に取り組んできた2社がタッグを組んだのは、高い認知率にも関わらず、特徴までを知っている人は少ないというビフィズス菌の課題が背景にある。その傾向は特に20代で顕著だという。また、ビフィズス菌は年齢とともに減少するも、20代は健康課題に直面しづらく健康意識が低いことから、啓発対象を絞った。20代と相性の良いインフルエンサーや動画マーケティングも活用しながら、関心を高めていく。
女性の健康食品の選択基準は?
小林製薬の紅麹サプリを巡る問題で、健康食品への不信感や動揺が消費者の間で広がっています。特に男性よりも健康意識・健康行動者率が高い女性による “健康食品の摂取控え” が懸念されることから、健康食品を普段摂取している20〜70代女性を対象に、健康食品に対するイメージの変化や、今後の摂取意向、今後の健康食品の選択基準を調査しました。女性たちのリアルな声からは、今後の健康食品の開発・販促・コミュニケーション設計のヒントを見つけることができます。詳細は「紅麹サプリ問題で、健康食品の選択基準に変化 女性消費者分析でわかった88キーワード」へ。
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