女性のウェルビーイングを阻む5つの要素
現代特有の健康問題の一つがメンタルヘルス。ネット・SNSの普及、爆発的に増えた情報量、日常的なタスクの増加、所得の二極化、生き方の多様化、核家族化・単身者の増加・平均寿命延伸による孤独・孤立などを背景に、精神的に疲れ切っている人は多い。モノ余り時代ということもあり、今の人々は物質的豊かさよりも精神的豊かさを求めており、いわゆるウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)のニーズが高まっている。
この需要を掴もうと特に今年は、ウェルビーイングの取り組みを強化する大手の動きが活発化している。だが、ウェルビーイングの概念を何にどうビジネスに活かせば良いのか?は、少々わかりづらいのも正直なところ。そこで今回は、女性たちがどんな状況であればウェルビーイングを達成できるのか?を探るヒントを考えてみたい。ウェルビーイングを達成する要素はいろいろあるが、本稿では、ウェルビーイングを阻む女性特有の要素を5つピックアップした。コミュニケーション戦略など、マーケティングに何かしら活かせるかもしれない。
【自己肯定感】極端に低い日本女性
世界的に関心が高まり続けている「自己肯定感」。ありのままの自分を肯定できずに生きづらさを感じている人が増えている。その傾向が強いのは女性で、特に日本。国際比較の調査でも明らかになっている。
以下の記事に、「男性よりも女性の方が自己肯定感が低い理由」「自己肯定感への関心が急速に高まっている理由」「女性の中でも特に自己肯定感が下がりやすいクラスター」についてまとめている。
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【HSP】空気読みすぎ・気を遣いすぎて疲れる…
感受性が生まれつきとても強く、あらゆることに敏感で繊細な気質を持った人を指す「HSP」。HSPについて書籍やメディアが頻繁に取り上げるようになったこともあり、「私ってHSPかも」「わかる!」と共感する女性が増えている。
空気を読む文化があり、さらに、自分よりも家族・同僚・他人の気持ちを優先しがちな日本人であれば多くの人が共感するかもしれないが、SNS上の声を観察していると、どうも女性に多い気配。上述の「自己肯定感は男性より女性が低い」という性差が関係しているのかもしれない。
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【PMDD】自殺の危険もある精神状態
PMDDとはPMSの症状のうち、心の症状が日常生活に支障をきたすほど悪化する症状のこと。昨今の生理ブーム・フェムテックブームの影響もあり、PMSは性差・年齢を超え広く知られるようになったが、PMDDまでを理解している人は多くない。
生理が終わる頃になると症状は自然と軽減・消失するが、中には、症状が出ている間に自殺を考えたり幼児虐待などの事件を起こすケースもあり、事態は想像以上に深刻だ。PMDDがある女性は、毎月生理前の1〜2週間は命の危険さえあるつらい状況に追い込まれる。
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【アラフィフクライシス】心労が増大する時期
「50歳前後の危機」を意味する「アラフィフクライシス」は、更年期にあたる女性たちに重くのしかかる問題。更年期による体の変化や不調に加え、親の介護、子どもの進路、夫・自分の定年、自分の働き方・老後、経済状況の変化といった様々な悩み・迷いが一気に降りかかり、人生の中で最も心労が重なる。
実際にこの時期にいる女性たちは、どのようなことに悩み苦しんでいるのか?それは、未既婚・子の有無・働き方・職場など、生き方や環境によってまちまち。大手質問サイトの発言小町から、アラフィフクライシスに悩む女性たちの声をピックアップした。
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【無子】無子女性が生きづらい社会
良い意味でも悪い意味でもスポットライトを浴びる機会がないクラスターがいる。企業のマーケティングにおいても滅多に登場しないクラスター、それが、(特にF2・F3層の)無子の女性たちだ。
働く女性の増加で、世の中の関心はワーキングマザーへ一極集中。企業のプロモーションや国の施策の影響もあり、働く女性=ワーキングマザーという偏ったイメージの認識が広がったこともあり、子を持たない・持てなかった女性が生きづらさを感じている。
無子女性は確かにマイノリティーであるが、国際比較で見ると日本の無子女性の割合は世界第3位で、40〜44歳の女性のうち2割に上る。
以下の記事では、「無子女性の国際比較」「子がいない理由と理由別の割合」「無子女性に人気の書籍」を紹介。
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