フェムテック市場どうなる?国内外の最新動向・課題・未来予測2021(1/4)

とどまる所を知らない国内のフェムテックブーム。ベンチャーが牽引してきた市場だが今年は大手の参入も目立ち、フェムテック関連のリリースを目にする機会が随分と増えた。生活者向けの情報も充実化し、テレビ番組、SNS、オンラインイベント、女性誌にと、もはやお祭り状態の活況ぶりだ。ウーマンズラボ編集部にも、フェムテックに関する情報リクエストが頻繁に届いている。今回はその中でも特にリクエストの多い3つの質問に回答したいと思う。「国内外の動向」「現在の課題」「今後の市場可能性」について。

フェムテックとは?

フェムテックの意味?

フェムテック(Femtech)は、「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、テクノロジーの活用により性や健康に関する女性特有の問題の解決を目指す製品・サービスのこと。女性の心身にまつわる様々なタブーを変容するムーブメントという概念も含んでおり、言うなれば「ヘルスケア領域におけるフェミニズムが起きた」という表現をするとわかりやすいかもしれない。

“フェムテック”という言葉の生みの親は、ドイツのスタートアップ「Clue」のCEOであるアイダ・ティン氏。彼女が新しいビジネスカテゴリーを示すものとして“フェムテック”を使うようになったのが始まりで、2012年ごろから徐々に世界的に知られるようになった。

フェムテックのカテゴリー

国内外のフェムテック企業、シンクタンク、VC、メディア、団体などがそれぞれ独自に分類しているが、大方は次のように分類されている。(女性の健康問題は以下に挙げているものだけではなくもっと様々にあるが、ここでは、現時点の市場で一般的に言われているカテゴリーのみを記載する)

  • 生理ケア
  • 妊産婦の健康(妊活、不妊、妊孕性、妊娠、産後ケアの領域)
  • 更年期
  • メンタルヘルス
  • セクシャルウェルネス(セックス、デリケートゾーンケア、避妊など、性的健康の領域)
  • 健康全般

フェムテックの市場規模

アメリカの大手調査会社「Frost & Sullivan」の試算(2018年)によれば、フェムテック市場は2025年までに5兆円規模にまで成長する可能性があるという(※)。ちなみに日本の市場規模については、フェムテック専門ストア・通販を運営するフェルマータが試算をしており、1.4兆円と予想している。

フェムテックがターゲットとする女性は、世界人口の約半分。もちろんプロダクトカテゴリーによってターゲットは異なるものの、世界の半分をターゲットにすることができるのだから、市場潜在力は実に大きい。

(※)Frost & Sullivanが試算したフェムテックの市場規模ついては、ITメディアビジネスの記事がもう少し詳細を記載しており(投資額は10年で17倍!急拡大する「フェムテック」市場を働く男性こそ知るべき理由)、それによると、周辺市場も含めると20兆円にまで成長するとのこと。ただしこれは米国を中心にした先進国のデータであり、世界全体の市場推計を必ず表すものではないとの補足もしている。

フェムテックが世界的に盛り上がっているワケ

女性の性や身体に関する問題は歴史的に見てタブー視されたり着目されてこなかったため、この領域の問題解決に向けた積極的な動きはこれまで見られなかった。ではなぜ今、急速に世界がフェムテックに注目するようになったのか?以下の理由が挙げられる。

  • テクノロジーの急速な進化と、クロステックの世界的ブーム
  • 先進国を中心に性差医療・性差ヘルスケアが急速に発展し(国内では2000年以降)、女性の健康問題を性差による体の違いから捉える動きが活発化している
  • 女性の社会進出、SNSの浸透、ジェンダー平等意識の世界的高まりなどにより、それまで抑圧されてきた女性たちの声(性差により起こる様々な問題への不満・怒り・悩み・ニーズなど)が表面化され、それがビジネスの商機へつながり始めている
  • 女性起業家が増え、女性視点による女性のための画期的なプロダクトが数多く登場するようになった
  • 投資機関・投資家の間でベンチャー支援の機運が高まっており、技術力や成長性あるスタートアップへの積極的な投資が行なわれている
  • 生理・性・生殖について、社会全体がオープンに語れるようになった
  • 先進国で進む晩婚化・晩産化・非婚化・少子化問題により、女性の生殖に関する悩み・ニーズが高まっている
  • 国を挙げた健康経営推進を機に、生理・PMS・更年期といった女性特有の健康問題が引き起こす労働損失額が数字として可視化されたことで、官民ともに女性の健康について問題意識を持つようになった

 

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