深刻なアラフィフクライシス、中年女性に訪れる暗闇の本音

女性の更年期はアラフィフクライシス世代。アラフィフクライシスは「50代前後の危機」を意味し、更年期による心身の様々な変化や不調に加え、親の介護、相続問題、子どもの進路、夫の定年、自分の働き方、自分の老後生活、経済状況など、様々な不安や問題に頭を抱える時。最近は、晩婚化・晩産化で育児・介護・更年期が同時にやってくる女性も。人生の中で最も心労が重なる更年期の女性たち、一体どんなことに悩んでいるのか?一般的な定量調査や統計だけでは読み解けないアラフィフクライシス世代の本音を、大手質問サイトの発言小町からピックアップした。

燃え尽き症候群で無気力に(既婚・子有り)

知らない土地で結婚し、子育て、家ゴト全般、義父母・親戚との付き合い、町会・近所付き合いなどをして いたら、あっという間に20年が経ったという51歳の女性。同時期に重なった子育てと介護を頑張るも、土日も休みなくパワフルに家のことを頑張りすぎたせいか、1年半ほど前に突然身体が動かなくなり何に対してもやる気がなくなってしまったという。家族の前で「もうダメだ」と泣き出したこともあり、仕事も辞め、今は自信喪失でこの先が不安。自身で「燃え尽き症候群のよう」だと言い、身体も頭もしんどいことに悩み、質問サイトへ投稿。

この投稿には同じ世代の女性たちから「私も状況が似ている」という回答が寄せられ、「両親の他界に悲しむ暇もなく子どもが大学受験、無事合格、一人暮らしを始めさせて…。私も燃え尽きた感がある。達成感とも違う」「子どもが社会人になったら、『やるだけやった!責任は果たした!もう明日死んでもいい!』と本気で思っていた」といった声が。いわゆる”空の巣症候群”と言われる状態だ。子どもが巣立つ時に見られるため50代で特に多い。

ネットの検索窓に「空の巣症候群」と打つと「乗り越え方」というサジェストキーワードが出てくることからも、この状態に悩んでいる人が多い様子がうかがえる。

一人暮らし、体調不良で老後が不安(独身)

ある50代の独身女性は一人暮らしの会社員。最近、貧血、頭痛、食欲不振、疲労、不眠、倦怠感、無気力などの体調不良が続き、将来がとても不安になるという。両親は他界、兄弟は遠くに住み仲は良くなく、友達は数人。「できれば70歳までは働きたいものの、体調が悪いとこのまま働き続けられるのか不安。いつも一人で話し相手もいない」。不安な気持ちを楽にしたく、質問サイトへ投稿。

症状と年齢を見る限りでは、この体調不良はおそらく更年期による症状と思われ、他者からも「年齢からして更年期障害では?」との回答が寄せられているが、こちらの女性のライフコースと投稿内容から読み取りたいのは、中年の独身女性特有の将来への不安。将来頼りにできる夫・子どもがおらず、そしてさらに自分の兄弟・姉妹を頼れない場合、老後のあらゆることはすべて自分自身でなんとかしなくてはならない。自分が突然倒れたり入院生活や要介護状態となった時、緊急事態にすぐに気づいてくれる人もいなければ、世話をしてくれる人もいない。あらゆるライフコースの中で老後に対する備え意識や不安が最も強いのは、独身女性だ。

義母の介護と遺産相続に怒り(既婚)

80代の義母が亡くなる4〜5年前から介護をしてきたという50代の女性。夫も夫の姉弟2人も義母の介護をせず、義母が救急車で運ばれて入院した際も見舞いに来ず。加えて夫は借金をつくり、子どもの学費を出さず、家にも帰らず…。義母の一切の世話を”押し付けられた”と感じるその女性は、義母が他界した後、遺産相続が夫と義姉弟の3人で3等分(各3,300万円)になったことにモヤモヤ。夫に「(介護をしなかった)義姉弟には相続権を放棄してほしい」と伝えたものの聞き入れてもらえなかったこと、そして夫含め3人から、義母の介護を担った自分に礼を言ってもらえなかったことに怒りを感じ、夫との離婚も考えているという。

アラフィフクライシス世代に多いトピックの一つが、相続問題。親・義親の介護が発生した場合は特に相続の問題で近親者とモメることが多く、これが理由となり、離婚や親戚との絶縁など、人間関係が大きく変化する女性も多い。

この先の幸せが見えず、孤独感(離婚・子有り)

30年連れ添った夫と離婚し、ふたりの子どもはすでに家を出て自立。自身は正社員で仕事も貯金もあり、アパートで一人暮らし。親や兄弟など自分の家族との関係も良好で、定期的にランチに出かける友達もおり、老後も自分一人であれば経済面は心配ないとのこと。精神を最もすり減らす人間関係やお金のストレスはないものの、悩みは、「先の展望が全く見えず苦しい」。打ち込める趣味もなく、アプリ婚活をしてもうまくいかず、「これから先、どう生きていったらいいのか、幸せなんてあるのか?」と、質問サイトへ投稿。

アラフィフクライシス世代は更年期による心の不調に加え、空の巣症候群、老後の生き方・働き方・お金の不安などが加わり、人生に対して虚無感を覚えたり無気力になる女性は多い。近親者や同世代の病気・死を通じて自らの健康や死を自分ゴトとして捉える機会が増えることも理由として大きい。自分の人生を俯瞰し、”自分にとって幸せとは何か?””もっと幸せに生きたい”など精神的豊かさへの欲求が高まるが故に、同時に漠然とした将来への不安が強くなる。50代女性の投稿を見ると「幸せになりたい」「幸せではない」といった、「幸福」をキーワードにした言葉が目立つ。

うつ病患者数が最多は、40〜50代女性

アラフィフ世代の女性が投稿する質問を見ていると、20〜30代では頻出しない深刻な問題が実に多いことに気づかされる。特に多いのは上述の通り、介護、相続、子・親・親戚などとの人間関係、自分の老後の生き方、幸福に関することー。厄介なことにこういった問題が勃発する時期と更年期による心身の不調が同じタイミングでやってくるから、事はさらに深刻になる。

男女全年齢の中でうつ病患者数最多が40〜50代の女性であるのも、こういったアラフィフクライシスが関係しているのだろううつ病の男女比・年代別患者数・女性に多い理由女性の本音

最近、女性の更年期市場への参入に関心を寄せる企業が増えているが、検討の際には定量調査だけではなく、こういったリアルな本音にも耳を傾けたい。

 

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