PMDDとは? 女性たちのつらい体験談

月経前に起こる心身の不調PMS(月経前症候群)は、女性だけでなく男性の間でも広く知られるようになってきたが、PMDDはまだまだ認知度が低い。

PMDDとは

PMDDとは、PMSの症状のうち心の症状が日常生活に支障をきたすほど悪化する症状を指し「月経前不快気分障害」とも呼ばれる。一般的には、月経終了とともに症状は軽減していく。PMDDの具体的な症状は以下。

  • 激しいうつ状態や自己否定感や絶望感がある
  • すごくイライラする
  • 激しい不安感がある
  • 著しい緊張感がある
  • 日常生活に支障をきたすほど情緒不安定になる
  • ひどく悲しくなり、泣くことが多くなる
  • 怒りっぽくなる
  • 攻撃的になる
  • 物事に興味がない
  • 引きこもりがちになる
  • ひどく疲れやすくなる
  • 常にだるい
  • 判断力や集中力が低下する
  • 過眠になる
  • 不眠になる
  • 性欲が抑制できない、もしくは性欲が減退する
  • 食欲を抑えられない
  • 下腹部が痛い、重い、はっている
  • 乳房がはっている、痛い
  • 頭が重い(痛い)
  • 手足がむくむ
  • 便秘になる
  • 何かに圧倒される感じがする
  • ちょっとしたことで傷つきやすくなる
  • 死にたいと思う気持ちになったり、自殺衝動に襲われる
    引用:八丁堀メンタルクリニック「月経前不快気分障害(PMDD)の症状」

PMDDに悩む女性たちのつらい体験談

以前と比べ少しずつ関心が高まり知られるようになってきたとはいえ(以下図)、女性本人ですら、定期的に訪れる心の不調が「PMDDによるものである」ことに気付いていないケースは多い。

出典:Googleトレンド「PMDD」

自殺も考えた女性

東洋経済オンラインでは、記事掲載時18歳のPMDDに苦しんだ女性に関する記事「生理前の不調で学校生活に苦しんだ女性」を掲載。彼女は中学生の頃からPMDDの症状で悩んでいたものの、それがPMDDによるものだとは気づかずにいた。高校生になって自分がPMDDであることにようやく気付いてからも、その苦しみは続いたという。

「私は眠さにあらがえない自分に嫌悪感を抱き、症状を悪化させました。頭痛薬を飲みすぎてしまったり、カフェインを摂りすぎてしまったり、自身を殴る、爪を剥がす、髪を抜く、自身を引っかくなどをしていました。何度も自殺を考えて、電車のホームをのぞき込んだり、ひもになるものを必死に探したりしていることもありました」引用:東洋経済「『生理前の不調』で学校生活に苦しんだ女性」

仕事の打ち合わせ中に号泣

Twitterには「#PMDD」に関する女性たちのリアルボイスが投稿されている。

悩んでいる人がいるってこと、男女関わらず知ってほしい

前述の通り、PMDDがまだ広く知られていないこともあり、PMDDについて男性も女性も広く知ってほしいと願う女性たちもいる。Twitterに「男女関わらず全員に知ってほしい。負の感情が抑えられなくて社会で生きられなくなりそう」とつぶやいていた20歳の女性「ナツメ」さんに、編集部より取材を申し込んだところ、快く対応してくれた。

【編集部】
具体的にどんな症状が出てる?

【ナツメさん】
精神面/身体面、日によって変わります。情緒不安定、激しいイライラや不安、それに伴う流涙、抑うつ、無気力、攻撃的になる、食欲増加/不信、死にたくなる、過眠/不眠、動悸、腹痛/腰痛、五感(匂いや音)に敏感になる。毎回情緒不安定が大きいので、人間関係にヒビが入ったことがあります。

【編集部】
具体的にどんな対策をしている?

【ナツメさん】
生理前はストレス源(アルバイトや飲み会、人と会うこと)を出来るだけ避けて家でリラックスする、処方されている漢方を飲んだり、精神的に余裕を持てるようにしています。また、家族や親しい人にはPMDDの症状が出ている事を予め伝えています。あと、絶対に無理しないように心がけています。(ただ、毎回全ての症状が出ているわけではない)

【編集部】
周囲の人にPMDDについて知らせると、どういう反応をされる?

【ナツメさん】
最初は怪訝な顔をされましたが、今その時期だから情緒不安定だよ、など宣言しておくことで徐々に理解を得られました!心療内科に行ってこの薬を頂いた、なども言っています。

日本はPMDDの理解が遅れている

1983年7月に発行された文献「PMS(Premenstrual Syndrome月経前症候群)殺人事件!? 」によると、米国でPMSが大きな注目を集めるきっかけになったのは1981年に起きた、未婚女性シャーリーさんによる幼児虐待事件。シャーリーさんを担当した女性弁護士が「シャーリーさんは幼児虐待時、深刻なPMSであり罪は本人にあるのではなくPMSにある」と主張したことで、米国でPMS論争に火がついた。

英国の産婦人科医Katharina Daltonの書籍「PMS法廷に行く月経前症候群と女性の犯罪」によると、英国では刑事事件の被告がPMSと診断されると減刑処置を受けて治療される例は多いとのこと。

一方でPMDDについては、日本では、女性を含めあまりまだ知られていない。PMDDを取り上げるメディアが少しずつ出てきているとはいえ、PMSや月経と比較すると、PMDDに関する情報量は圧倒的に少ない。健康経営銘柄の選定基準に女性の健康が追加されたことや世界的なフェムテックの広がりでPMDDの認知は今後少しずつ進むと見られるが、同時に ”激しい”イメージのあるPMDDの症状を周囲がどこまで理解を示せるか、どうやってサポートできるかが課題になってくるだろう。

PMDDの理解を深める情報

人気女性誌ananウェブ版は、2020年3月に「衝動買いや人間関係のトラブルも! PMSより重い女性の“PMDD”とは?」を掲載。2019年9月には、PMS/PMDD 専門カウンセラーによる書籍が発売された。役立つ情報なので理解を深めたい方は参考にしてみよう。

いつもやってくる殺したくなる自分にサヨナラ

 

 

 

【編集部おすすめ記事】
女性の健康問題、一覧(思春期~老年期) 
健康・心・病気の悩み 女性たちが本音を言える場所
メンタルヘルスとは?国が推奨する4つのケアとビジネス事例 
「生理ちゃん」多くの女性の心を捉え、手塚治虫文化賞を受賞
女性のワークライフバランス実現にむけた課題と女性が重視すること
「女性ホルモンを整える」とは?女性のニーズに応える商品・サービス
女性に人気の香りランキング(シーン別)と、香りにまつわる行動

PAGE TOP
×