「国際女性デー」は記念日商戦&PR合戦に 独創的アイディアで挑戦する企業の事例

毎年3月8日は、国連が制定した「国際女性デー(IWD:International Women’s Day)」。女性の政治的・社会的自由や、さまざまな場面での女性の権利・地位向上を推進する日として、世界各国で啓発・記念行事やデモが行われる。国内ではさらに、国際女性デーに合わせ3月1日〜8日は「女性の健康週間」に。

この時期に国内で催されるイベントといえば、城や橋、タワーなど、観光スポットや有名建築物のライトアップ、女性タレントや各界の女性著名人によるトークショー(テーマは働き方、生き方、DE&I、ウェルビーイング、SRHRなど)、国際女性デーのシンボルである花「ミモザ」と同じイエローカラーの衣服着用、啓発動画の公開、チャリティーイベントなど。コロナ禍以降はオンラインイベントも活発だ。

国際女性デーも女性の健康週間も人権や健康といったセンシティブな領域を起源としているため、倫理的側面からイベントでは商業色を抑え、問題提起や学びの提供、ジェンダーに関わる自社の見解を表明するなど女性をエンパワーメントする機会にとどめる傾向が強かった。だが最近は、この日を記念日商戦と捉え限定アイテムの販売などに乗り出す企業が目立ってきた。CSRからCSVへと企画の趣旨が変化してきたようだ。話題づくりや一コンテンツの素材としてPRに活かす事例も、特に国外では盛んだ。国際女性デーを記念日商戦やPR機会として再定義し、いち早くマーケティングに活用する企業の動きを追った。

「国際女性デー」「女性の健康週間」、マーケティングに活用すべきは?

国際女性デーとは?

「国際女性デー」の起源は1904年。米国の女性たちが参政権や男女平等の実現を求めるデモやストライキを起こしたのが始まり。それ以降各国で女性運動が活発になり、国連は1975年に、女性の自由と権利を謳う日として3月8日を「国際女性デー」に制定した。やがて女性の生き方や働き方について考える日として徐々に認知されるようになり、今では世界各国で女性の地位向上や活躍推進へとつなげるイベントが開催されている。ちなみに日本で初めて国際女性デーを記念したイベントが行われたのは1923年。

 

女性の健康週間とは?

「国際女性デー」と同じタイミングで実施される国民運動「女性の健康週間」は、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が始めたもの。全年代の女性の健康を総合支援することを目指し、3月3日のひな祭りを中心に3月1日から3月8日の「国際女性デー」までを「女性の健康週間」として活動を開始。2008年からは厚労省が主唱する国民運動となった。

 

マーケティングに活用しやすいのは国際女性デー

「国際女性デー」と「女性の健康週間」、国内ではどちらがメジャーなのか?ネット上の検索ボリュームを確認できるGoogleトレンドで2018年以降の推移を比較してみると、「国際女性デー」が圧倒的に認知されていることがわかる(青:国際女性デー、赤:女性の健康週間)。さらに国際女性デーについては、検索ボリュームが年々大きくなっている。認知・関心の高まりを読み取れる。

【出典】Googleトレンド(2018年3月から現在までの「国際女性デー(青)」と「女性の健康週間(赤)」の検索ボリュームの推移。毎年2月末〜3月中旬にかけて検索ボリュームが増えている)

 

「国際女性デー」は業界を限定しないためあらゆる企業が言及できることや、昨今のジェンダー問題(ジェンダーギャップ指数や政治家などによる女性蔑視発言など)を各メディアが取り上げるようになったことで、女性を取り巻く諸問題に社会的関心が寄せられていることが背景にありそうだ。国際女性デーのシンボルである「ミモザ」も、認知・関心は年々高まっている。

【出典】Googleトレンド(2013年3月から現在までの「ミモザ」の検索ボリュームの推移。山になっている部分が、国際女性デーの前後にあたる2月月末から3月上旬。山が年々高くなっていることから、認知向上や関心の高まりを読み取れる)

 

マーケティング戦略への活用にあたり認知度の面から判断するのであれば、今のところは「女性の健康週間」よりも「国際女性デー」のコンセプトに寄せた企画の方が相性は良いだろう。

 

国際女性デー2023、テーマはデジタルの男女格差

国連は国際女性デーのテーマを毎年発表しており、今年は「ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー(DigitALL: Innovation and technology for gender equality)」。

 

私たちの生活は現在、すべてがデジタルプロセスを経ているが、女性の37%はインターネットを利用していない。女性は世界人口のほぼ半分を占めているにもかかわらず、インターネットにアクセスできる女性は男性より2億5900万人少ない。

女性がインターネットにアクセスできず、オンラインで安全だと感じられない場合、デジタルスキルを身につけることができず、STEM分野(科学、技術、工学、数学)での活躍機会が減少する。2050年までに仕事の75%がSTEM分野に関連したものになると言われているが、現在女性が占める割合は、人工知能の分野でわずか22%。

女性がテクノロジーに参加することで、より創造的なソリューションが生まれ、女性のニーズを満たし、男女平等を推進するイノベーションが生まれる可能性が高くなる。女性の参画が進まないことは、莫大なコストを伴う。引用:United Nations,International Women’s Day8 March,DigitALL: Innovation and technology for gender equality

 

このテーマは、女性の地位向上を目的とした国連加盟国の会議「女性の地位委員会(CSW67)※」の今年の重点テーマである「男女平等とすべての女性と少女のエンパワーメントを実現するためのイノベーションと、デジタル時代の教育」に添った策定で、インターネット利用におけるジェンダー格差や、STEMA分野での活躍や教育機会のジェンダー格差、デジタル空間の安全性におけるジェンダー格差(女性・少女はデジタル空間で暴力を受けやすい)など、デジタル領域におけるジェンダーギャップの是正を世界に呼びかけている。※米ニューヨークの国連本部で毎年開催される会議。今年は2023.3.6〜3.17に開催。

 

 

参考までに、国際女性デーの過去6年間のテーマも見てみよう。基本スタンスはジェンダーギャップ是正による女性のエンパワーメントだ。

  • 2023年:ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー
  • 2022年:持続可能な明日のための今日の平等
  • 2021年:リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する
  • 2020年:平等を目指すすべての世代:女性の権利を考えよう
  • 2019年:平等に考え、聡明に構築し、変化のための革新を
  • 2018年:今こそ行動を:女性の生活を向上させるために農山漁村及び都市部で活躍する活動家たち
  • 2017年:変化する仕事の世界における女性たち:2030年までにプラネット50:50を実現しよう

 

国際女性デーを記念日商戦に、販売商品事例

国際女性デーの根幹にある“女性のエンパワーメント”は非営利の活動にとどまりやすく、また収益化を図るのは難しいとされてきたが、昨今は商業色の濃いエンパワーメントが増え、積極的に売上につなげようとする動きが出てきている。ミモザのデザイン・色・香りをモチーフにしたファッションアイテムや化粧品などの限定アイテム販売や、ミモザをあしらった料理、宿泊施設や美容・健康サロンでの特別プランの販売、割引など、各社が自社のリソースを活用したオリジナルの展開をしている。2023年の事例を見てみよう。

ミモザのネイルカラー(KOSE)

KOSEのハイプレステージブランド「コスメデコルテ」は、年に2回の国際デー(3月8日の国際女性デーと11月25日の女性に対する暴力撤廃デー)に合わせ、商品・サービスを通じて女性をエンパワーメントすることで女性が誇りを抱ける社会の実現を目指している。今年の国際女性デーでは、女性職人による伝統工芸品の展示会の開催と、ミモザをイメージしたネイルカラーを限定発売。同社は女性のエンパワーメントを推進する独自の取り組みとして、伝統工芸品の分野で活躍する女性のものづくりにスポットライトを当てていて、情報発信や売上の一部を職人の後継者の育成支援に繋げている。

 

ミモザをイメージしたネイルカラー「ミモザネイル」、全3色、各 2,200円(税込)。

 

江戸切子職人、器作家、伊勢根付職人、西陣織帯作家による作品の展示と、スペシャルトークショーを実施。2023年3月8日から3月13日まで銀座三越で。

 

生理用品にミモザのデザイン(ユニ・チャーム)

ユニ・チャームの生理用品ブランド「ソフィ」からは、ミモザをデザインに取り入れた期間限定品を発売。「思わず手に取りたくなるような”春らしさ”を感じられるデザイン」に仕上げた。同社は以前より生理にまつわる教育機会を国内外で提供しており、2017年からはインドやミャンマーで「初潮教育」の展開を、日本では2020年より「みんなの生理研修」を実施し、“生理にまつわる知識の向上”や、“同性や異性間での相互理解”の促進に貢献している。

ミモザをデザインにとり入れた期間限定品を「センターインコンパクト」「はだおもい」「超熟睡ガード」「シンクロフィット」で展開。2023年2月上旬に全国で発売。

 

ミモザ商品を多様な形で販売(ウェスティンホテル東京)

「旅先でのウェルビーイング」を掲げるウェスティンホテルは、ジェンダーの平等と持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、国際女性デーを含む3月の1ヶ月間、「国際女性デー HAPPY WOMAN FESTA 2023」を開催する(主催:HAPPY WOMAN実行委員会)。全館のあらゆるリソースとミモザを組み合わせ、多様な形で商品・サービスを提供。ミモザとイエローカラーを全身で楽しめる。

ミモザをはじめとしたイエローフラワーで彩られたロビー

ロビーでミモザを販売。

ブッフェ会場にて、イエローが鮮やかな食材や、サフランやターメリックなどのスパイスで華やかに演出した料理を提供。平日ランチ5,700円(税込)、ディナー6,700円(税込)。土日祝ランチ7,500円(税込)、ディナー9,100円(税込)。

ホワイトティーを素材にホテルのバーテンダーが、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを願う国際女性デーにインスパイアされたカクテル「Reborn」を提供。1,900円(税込)。

スパでは、柑橘系を中心としたオリジナルブレンドオイルを使ったボディケアメニュー「シトラスリフレッシュボディ90分」を提供。春に起こりがちな不調を改善し、はつらつとしたパワーを取り戻す。27,500円(税込)。

 

花柄デザインのアイテムを両性に展開(GAP)

世界的なカジュアルファッションブランドのギャップは、国際女性デーを象徴するイエローカラーをベースとするフラワープリントのアイテムを、女性向け、男性向け、キッズ向けに販売。国際女性デーをコンセプトにした限定アイテムは女性を対象にするケースが多いが、同ブランドは大胆な花柄デザインを男性向けにも展開。デザインにおけるジェンダーバイアスに陥ることなく両性に展開する姿勢が今ドキ。女性の記念日に男性を巻き込む姿勢にも好感が持てる。

春を彩るミモザカラーのイエローを用いたフラワープリントのアイテム。女性、男性、キッズに向けて展開。4,990〜10,900円(税込)。

 

ミモザを表現したジュエリー5種 (Canal 4℃)

人気ジュエリーブランドの「Canal 4℃」は、国際女性デーに向けたコレクション「Mimosa Collection」を、全国の店舗とオンラインショップにて販売。いつも頑張っている女性たちへのエールを込め自分用またはギフト用を想定したもので、ミモザを表現したジュエリー5種を展開。

「Mimosa Collection」は全5種。レモンクォーツやシトリン、グリーンアメシストにペリドットなど、見ているだけで元気になるフレッシュなカラーストーンでミモザを表現。11,000〜17,600円(税込)。

 

独創的アイディアで巧みに啓発、PR事例

近年になり日本でも市場が拡大したハロウィンやブラックフライデーと同様に、国際女性デーも大型の記念日商戦に仲間入りを果たす日は近い。ミモザやイエローカラーをフックにマーケティング戦略に活用する動きは今後も加速していくだろう。

ただ一点心得ておきたいのは、ハロウィン、ブラックフライデー、クリスマスやバレンタインデーなど他記念日とは違い、国際女性デーは社会問題が起点になっていること。単なるお祭り騒ぎのような派手な企画や、ミモザ柄のデザインを取り入れた限定アイテムの販売や割引といった“限定感・特別感・お得感”だけでは、ある程度の売り上げは見込めたとしてもすぐに他社に埋もれ、メディアやSNSでの拡散を狙うのは難しいだろう。問題提起や啓発メッセージを適度に企画に盛り込みたい。

では、どんなアイディアであれば、差別化と話題醸成に成功するのだろう?ここからは、ジェンダーギャップやジェンダーバイアスなど、ジェンダーにまつわる問題を独創的アイディアで巧みに提起した国内外の事例を見ていこう。共通しているのは、発信しているメッセージに良い意味で過激さがない点で、メッセージを受け取る人を選ばない。アンチフェミニズムや男性であっても共感を得られるよう、角が立ちすぎないレベル感で問題提起している点が参考になる。こういったメッセージの投げ方と商品販売を掛け合わせる術を身につければ、話題性にも売り上げにも事欠かないマーケティングを設計できそうだ。

ロゴの「M」を「W」に(マクドナルド)

米マクドナルドは2018年、国際女性デーに合わせ、店舗のロゴ「M」を逆さまにひっくり返し、womenの「W」に変更した。実施したのはカリフォルニア州の店舗で、店外に設置したアーチを「W」から「M」にひっくり返した他、ドリンクやフード容器のプリントロゴも「W」に変更した。同社によれば店舗の責任者のうち6割は女性で、同社の店舗を中心に、あらゆる場所における女性の素晴らしい成果に敬意を表することが目的とのこと。さすが米国、シンプルだが大胆な発想。メディアやSNSで話題を醸成できる戦略的な好事例だ。参考:ロイター,2018.3.9米マクドナルドがロゴを逆さまの「W」に、国際女性デーで

 

「私は何にだってなれる!」実在女性をモデルに(バービー人形)

米玩具大手のマテルが2018年の国際女性デーに合わせて実施したのは、実在の女性たちをモデルにしたバービー人形の発表。同社が各国の母親8,000人を対象に調査したところ、約9割が「自分の娘はどんな女性を手本にして育つのか?」という不安を抱いていることがわかった。バービー人形を通じ実在の女性たちを紹介することで、女の子たちに「私は何にだってなれる」というメッセージを伝えたい。そんな考えから企画したという。モデルになったのは全て実在した女性で、飛行士、画家、NASA初の有人宇宙飛行で活躍した数学学者、スノーボードの五輪選手、ジャーナリスト、起業家など職業選択におけるジェンダーバイアス解消を目指した取り組みだ。参考:CNN「バービーが新作発表、実在の女性モデル 国際女性デーに合わせ(2018.3.8)」

ジェンダーバイアスを自覚させるテスト(マインドスペース)

欧米を中心にコワーキングスペースを展開するマインドスペース(イスラエル・テレアビブ)はマーケティングキャンペーンの一環で、国際女性デーに合わせて人間の心を探るテストを実施した。テストはクイズ形式で20人の男女から回答を集めるもので、以下の質問が投げられた。この記事を読んでいるあなたもトライしてみて。

「都会の大手証券会社の面接に、息子を車で連れて行く父親。会社の駐車場に到着すると、息子の携帯電話が鳴る。父親は息子に『構わんよ、電話に出ろ』。電話の主は商社の社長だった。その社長は『息子よ、頑張れ』と息子を激励。息子は電話を切り、もう一度、車の中で自分の隣にいる父親を見つめたーー。さて、これはどういうこと…?」

 

父親と息子は同じ車内にいるのに、電話をかけてきたある商社の社長も、父親のような物言いで「息子よ、頑張れ」と息子を激励したというストーリー。どうしてこんな事が起こり得るのか?テスト対象の20人に問いかけたところ、「その息子にはお父さんが二人いるから」「電話の主は息子のおじいちゃん」「事前に父親の声を録音して電話で流した」「その息子の名前は“息子(son)”なのでは?」など、さまざまな回答が返ってきた。正解は「電話の主である商社の社長は息子の母親。母親として父親と同様に息子を激励しただけので、何も不思議な事ではない」。

正解を聞いた回答者たちは「あっ!」と我に返った様子。そして、「電話をかけてきた商社の社長は男性だと思い込んでいた」「会社の社長は女性だってあり得るのに、社長は男性だと決めつけていた」「会社で高い職位についている人は男性というイメージがある」など、自分自身のジェンダーバイアスを一様に自覚した。

息子の面接先が“都会の大手証券会社”で、さらには息子に電話をかけてきた社長の会社が“商社”という設定が余計に「社長=男性」というイメージに拍車をかけた可能性があるが、仮に明らかな誘導質問だったとしても、すんなり引っかかってしまえば、ジェンダーバイアスに陥っていない自信がある人でさえも素直に自身のアンコンシャスバイアスを認めるだろう。ジェンダーバイアスを自分ゴト化させる巧みなアイディアだ。

 

女性誌ならではのコンテンツ力で問題提起(ELLE / VOGUE / FRONTROW)

伝える力や女性を惹きつけるコンテンツ作りに長けている女性誌は、女性を取り巻く社会問題を多様な視点から提起。度が過ぎれば炎上もしかねないシビアなジェンダー系トピックも、女性誌の手にかかればなんのその。フェミニズムの“角”が良い塩梅で滑らかになり、読者の関心を手もなく引き寄せている。

■ELLE

女性ファッション誌のELLEは今年、国際女性デーに合わせ、世界各国で活躍する女性リーダーの活動やジェンダーにまつわる諸問題に焦点をあてた記事をキュレート。特設ページで公開した。「エルが選んだ『世界を変える女性100人」を発表!』「女性エンパワメントで活躍するロイヤルレディたち」「ミシェル・オバマがすべての女性に贈るエール! 」「いま読んでおきたい、韓国フェミニズムエッセイ12選」「トルコ・シリア地震の被災女性たちが直面する危機」など、多様な切り口から女性たちをエンパワーメント。

■VOGUE

女性ファッション誌のVOGUEも、ELLEと同様に記事を通じて女性をエンパーメント。国外の映画やパワーソングをピックアップし、「勇気をもらえる珠玉の映画」「聴くと元気がみなぎってくる!女性をエンパワーするプレイリスト」として紹介。女性を取り巻く社会問題の歴史や女性の活躍を、有名な映画のストーリーや歌詞からラフに読み解いていくので、女性のエンパワーメントや社会問題に関心の薄い人でも娯楽として楽しめる。

■FRONTROW

海外情報を発信する女性向けウェブメディアのフロントロウは昨年、国際女性デーを記念して「フェミニズムかるた」をオリジナルで制作。遊びながら女性たちの声や女性たちが置かれている状況が見えてくるゲームで、フロントロウの女性編集者たちの声、ユーザーの声、国内外で話題になっているジェンダーに関するテーマを選定し、メディア上で公開した。読者の皆さんも、ぜひカルタの1枚1枚に目を通してほしい。女性を取り巻く問題を一挙復習できるのはもちろん、46もの刺さる言葉作りには脱帽の一言。どれも改めて頷ける内容だ。

 

ヘルスケア業界の国際女性デー、2024年はどうなる?

本稿で紹介したのはほんの一例。国際女性デーに合わせた限定商品の販売事例は他にも多くあった。世界的にウェルビーイングやDE&Iが年々重視されるようになってきたことや、健康におけるジェンダーギャップを問題提起するフェムテックのブームの好影響で、女性を社会全体でエンパワーメントしやすい空気になったことが背景として大きいだろう。また最近の特徴として挙げられるのは、ジェンダーギャップの是正にあたり男女間の「平等」ではなく「公平」を求める声が大きくなってきたこと。考え方やケースバイケースにはなるだろうが、「平等」と「公平」どちらの言葉を用いるのか、今後は要検討項目だ。

現状、話題を集めやすいのは「女性の健康週間」よりも「国際女性デー」。後者にフォーカスしたマーケティングがベターだが、ヘルスケア事業に取り組む企業なら、やはり「女性の健康週間」も活用したいところ。健康問題におけるジェンダーギャップや健康の性差に着目したマーケティングを設計すると、他業界よりもコンセプトの濃い国際女性デーの企画ができるかもしれない。

今年はメンテックが話題を集めているので、2024年は、女性の健康問題と男性の健康問題をセットにした啓発イベントや商品展開が見られそうだ。病気と共生する女性たちをエンパワーメントする企画も登場しそう。

 

 

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