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「フェムテック」の役割、一区切り迎える 展示会「Fem+(フェムプラス)」が名称変更を発表 

フェムテック・フェムケア領域の展示会「Fem+(フェムプラス)」の名称が、「女性活躍デザインEXPO」へ生まれ変わる。同展示会を運営するRX Japanが、先月末に発表した。適用は次回の2026年5月開催から。これまで用いていた名称「Fem+」は、通称として使用する。

 

【出典】RX Japan

 

同展は2022年に「Femtech Tokyo」としてスタート。2023年には、「Femtech Tokyo」に加え「女性のメンタルヘルスケアEXPO」を新規で立ち上げ、「Fem+(フェムプラス)」として開催した。以降はフェムテック・フェムケア、メンタルヘルスケア、ウェルビーイング領域を出展対象としてきたが、今年5月に開催方針の変更を発表し、対象を拡充。2026年以降は、構成エリアを以下にするとした。

  • フェムテックトーキョー(女性のライフステージに合わせた「健康」と「活躍」を支援)
  • ポジティブ・アクション(女性活躍推進、ダイバーシティ経営支援)
  • ワークスタイルサポート(働きやすい環境づくり&健康経営推進)
  • マイスタイル・キャリア(フリーランス・個人事業主として活躍する女性を支援)
  • Marketing Lab(女性向けマーケティング支援)
  • FemNextエリア(女性の健康と活躍を支援するスタートアップ支援)

開催方針の変更を決めたのは、「フェムテックをメインとした展示会にしてしまうと、来場者や出展者をどうしても限定してしまう」といった課題意識が背景にあり、男性や企業の意思決定層、制度設計部門、人事担当など、より広範なプレイヤーに女性の健康推進に向き合ってもらいたい狙いがある。ただ、開催方針の変更を発表した5月当時は構成エリアの見直しのみにとどまり、展示会名については、社内で引き続き議論を重ねてきたという。関係者へのヒアリングなども踏まえ、10月に改称の発表に踏み切った。

“女性の健康”を全面的に訴求した「Fem+(フェムプラス)」から、女性の活躍に焦点を当てた「女性活躍デザインEXPO」へ改称することで、これまでの出展者や来場者が離れる懸念はなかったのか?同展事務局長の下田アトム氏は、「むしろ”フェム”の名称がついた展示会のままでは、市場の裾野をこれ以上広げられない」と指摘。フェムテックが’20年代前半にバズワード化したことによる弊害についても触れ、変更の必要性について次のように話している。「フェムテックがバズワードになったことで、女性の健康課題が社会的に認知されるようになった点は、とても良かったと思う。一方で、フェムテックは複雑な議論や炎上も生みやすく、それが市場全体にネガティブに影響した側面は、とても残念に感じている。本来は、もっと多くのプレイヤーが関われるシンプルな市場であるはずなのに、その可能性が狭められてしまった」。

下田氏は、その一解決策が展示会名の改称だと言い、「“女性の活躍”という文脈の中で、女性の健康やフェムテック・フェムケアを語ることで、これまで、この領域と距離を取っていた層を引き込めるのでは」と期待を込める。同展が広義で目指すゴールは、女性が働きやすくなり活躍できる環境づくり。そのためには女性の健康づくりはもちろん、女性のキャリア支援やダイバーシティ推進も必要だと同社は考えており、そこに、エリア構成の拡充と改称の意義があると、下田氏は語っている。実際に改称を発表したことで、関係者からは共感を示す声が寄せられているという。

フェムテック・フェムケア市場の創出期にあたり、業界内で象徴的存在となった展示会「Fem+」。その名称は今後も通称として残るも、「フェムテック・フェムケア」という言葉が果たしてきた社会への問題提起やムーブメント喚起といった市場での役割が、一区切りを迎えことを示唆する動きだ。同社は今後も女性の活躍を支援するため、時代や市場の変化を捉えながら、各エリアの強化を進めていきたいとしている。

 

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