フードファディズムとは?過去の事例と消費者の意識変化(1/3)

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「○○で痩せる!」「○○が体に良い」……食事に関するダイエットトレンドはめまぐるしく変化し、日々メディアによって流される食情報が生活者に与える影響力は絶大だ。2015年「水素水」が一大ブームとなったが、翌年、国立健康・栄養研究所は健康な人への有効性について「信頼できる十分なデータが見当たらない」と発表した。今こうした“フードファディズム”に翻弄されないために、目まぐるしく変わる食情報を的確に判断し、評価する能力が問われている。

フードファディズムとは?

ヘルスケアニーズが高まる一方で、新たに浮上している課題が「フードファディズム」。メディアで得た情報を鵜呑みにして、特定の食品の過剰摂取に陥ってしまう人は少なくない。

フードファディズムの意味

フードファディズムとは、特定の食品を摂取すると健康になる・病気が治る、不健康になる・病気になるなどの情報を過大評価して偏った食行動を取ること。ファディズム(faddism)とは、「一時的流行」「一時的な流行を熱心に追うこと」という意味。テレビや書籍・雑誌などのマスメディアによる情報発信が発端になることが多い。

フードファディズムの歴史

1952年に、懐疑主義者として有名なアメリカのサイエンスライター、マーティン・ガードナーさんが著書「In the Name of Science(日本語版「奇妙な論理」)」の中でフードファディズムの概念について紹介。日本ではその後、栄養学者の高橋久仁子さんによってフードファディズムという言葉が紹介され、広く知られるようになった。彼女は1990年後半からこれまでに、フードファディズムの問題点を起点にした書籍を多数執筆している。

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フードファディズムの問題点 〜消費者視点〜

本来は、さまざまな食べ物をバランスよく食べることで食材の恩恵を受けて栄養バランスを整えることができる。しかし、性別・体格・体質・年齢・持病により、過剰にとってはいけない栄養素や摂取が必要な栄養素は異なるので、一つの食材・食品・栄養素に偏り過剰に摂取することは、過剰症を引き起こしたり栄養バランスを崩すなど、かえって健康を損ない病気を引き起こす要因になることもある。「健康に良い」はずの食材や食事方法も、行き過ぎるとさまざまな健康被害をもたらす。持病のある人にとっては命取りになることさえもある。これが、消費者が警戒すべきフードファディズムの問題点だ。

近年はSNSの浸透でフードファディズムは加速する傾向にある。テレビ番組や雑誌・書籍などのマスコミが取り上げた食材・食事法がSNSによって短期間で拡散されるるため、社会的流行に至るまでの時間は短く影響力も大きくなる。

フードファディズムの問題点 〜企業視点〜

一過性のブームで需要が増え売り上げが伸びても、その多くが一時的なものなので、長期的に見るとマイナスになるケースは多々ある。需要に応えようとすると、流通の確保・変更、生産体制の変更などが必要となりコストが上がってしまうからだ。安定した供給を持続できなくなるために既存顧客を失うリスクもある。

食品ロスジャーナリストの井出留美さんは、消費者のフードファディズムが企業にも悪影響を及ぼし食品ロスという社会課題を助長させていることを次のように指摘している。

こうして爆発的に売れたものというのは、視聴者(消費者)の熱が冷めると、一気に売り上げが縮む。多くの企業は「対前年比で○%増」を売り上げ目標にしている。何かの要因で爆発的に売れた翌年というのは、苦しい。通常と比べて高めな売り上げ目標が設定されるからだ。が、現実には、爆発的レベルの時ほど売れない。在庫過多になる。食品ロスが生じ、食品の廃棄が発生する。引用:ヤフーニュース「フードファディズムはなぜ食品ロスを生み出すのか」

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