通販利用金額ランキングから考える都道府県別ヘルスケアマーケティング

「ヘルスケア関連の商品を通販で購入する」という消費行動は、地域によって差が見られるようだ。年間の通信販売利用額を都道府県別にランキング化した面白い調査結果があるので共有したい。この調査結果と県民性研究家の考察からは、地域のヘルスケアマーケティングを考える時のヒントが見えてくる。(参照:ジャドマ通販研究所「県民通販大調査」)

気候が影響?美容関連商品、通販利用ランキング最下位は秋田美人の「秋田県」

Q.この1年間に通販で購入した化粧品や美容品の金額はいくらくらいですか

  • 1位 徳島県(¥23,281)
  • 2位 千葉県(¥23,050)
  • 3位 奈良県(¥22,604)・


  • 45位 山形県(¥12,446)
  • 46位 福井県(¥12,065)
  • 47位 秋田県(¥11,739)

調査結果には金額によるランキングのみが掲載されており、具体的な要因などは分析されていないが、調査結果の掲載サイト内で、県民性研究の第一人者である矢野新一氏が文化や気候を背景に考察している点が面白い。都道府県別に通販の利用金額が異なるのは、ヘルスケア商品を取り扱うドラッグストアや総合スーパーなどの店舗数や立地条件など他の要素も関係しているはずだが、同氏の考察の通り、文化・気候・思考の特性などは一つの要素となるだろう。

1位は徳島。少女時代から阿波踊りで口紅をつけていただけに、お化粧に対する意識が高い。さらに雨が少なく、晴れの日が多い県であるため、肌へのダメージを実感して、お手入れに励み、スキンケアを怠らない人が多いからかもしれません。そして、徳島は阿波商人の文化で、昔からお買い物上手が多いことから、賢く買い物をするために、通販を利用するのかもしれません。

一方、最も購入額が低いのは「秋田美人」で知られる秋田。日照時間が短く、紫外線が少ないため、肌がきれいな人が多く、お化粧に頼らず、すっぴんで勝負している女性が多いと考えられます。(引用:ジャドマ通販研究所)

野菜購入量と県民性が関係?健食・サプリメントを通販でよく購入するのは三重県

Q.この1年間に通販で購入した健康食品・サプリメントの美容品の購入額はいくらくらいですか?
(詳細結果は「県民通販大調査」

  • 1位 三重県(¥19,634)
  • 2位 宮城県(¥19,281)
  • 3位 岐阜県(¥19,270)


  • 45位 佐賀県(¥10,947)
  • 46位 和歌山県(¥10,522)
  • 47位 宮崎県(¥9,747)

こちらの調査結果では、トップ県と最下位県の違いを説明する要素として「野菜の生産量」や「個人の野菜購入量」などを挙げている。それだけが要因とは言い切れないが、一つの要素としては納得だ。

健康食品の1位の三重は野菜があまりとれない地域で、特に県都津市の野菜購入量は県都+政令都市52市中43位と下位。そこで、三重県庁では「食生活の指針」を作り、病気にならない体づくりを熱心に指導。伊勢商人のDNAを引く三重県民は勤勉で、経済観念が発達。行政の取り組みにきっちり従うために、日々の食事での野菜不足を、お得や手早さを感じる通販で購入した健康食品で補っているのではないでしょうか。

最も購入額が低い宮崎は、肉、魚、野菜、果物など日本でも有数の食糧の宝庫。普段の食事で栄養は十分に賄えている、といった強い自覚と、おおらかでマイペースな気質があるため、通販を使った健康生活までは意識しないのかもしれません。(引用元:ジャドマ通販研究所)

地域の特性を考慮することで効率よくマーケティングを行おう

年齢やライフイベント、ライフスタイルによって心身への影響が異なる女性のヘルスケアマーケティングを考える時は、年齢、ライフステージ、ライフコースなどを考慮する必要性があるが、エリアマーケティングという視点で考えるなら、それらに加えて地域ならではの特性も考慮すると、より効率良くマーケティングができるだろう。

地域特性とは、県民性、思考、気候、地形、文化、伝統だけではない。ヘルスケアマーケティングに関しては、食事の摂り方、運動習慣のレベル、肥満者の割合、高齢化率、死亡率、死因、農作物などの生産量、各自治体による健康の取り組み状況なども含む。

例:都道府県別の塩分摂取量から、減塩関連商品を売り出す

わかりやすい例は都道府県別の塩分摂取量だ。東北や甲信越など、寒い地域や北に行くほど塩分摂取量が多い傾向があるが、これに当てはまる地域でマーケティングを考えるなら、塩分摂取量が全国的に見て高いことを示した上で減塩関連商品やサービスを売り出すのも一つの方法だ。

スーパーを例に考えてみよう。減塩の醤油や味噌が並ぶ商品棚に、「知っていますか?我が県の食塩摂取量は全国で最も多い!今日から減塩生活!」といったポップを張り出すのはどうだろうか?「〜県民のための減塩商品コーナー!」と題し減塩関連商品を並べれば、自分ゴト化させやすく買い物客の目を引くかもしれない。

例:肥満者の多いエリアなら、スポーツ関連商品を売り出す

肥満者の多い地域であれば、その理由を突き詰めた上でスポーツ関連の商品・サービスを売り出すのが良いだろう。「寒い季節(あるいは暑い季節)に外出が困難で運動不足になるのか?」「怠け心の強い県民性で運動そのものが嫌いなのか?」「食生活に問題があるのか?」など、理由がわかれば、どのような解決策を提供できるのか?どのようなキーワードなら消費者が振り向いてくれるのか?も見えてくる。

例:作物生産量の多いエリアなら、美容・健康をキーワードに売り出す

果物や野菜の生産量が多い、漁獲量が多い、地域特産野菜など、「食」に関して何か他県と比較して優位に立てるものがあるなら積極的に活用したい。旬のものや特産物は他地域と比較して栄養効果が優れているので、その地域ならではの打ち出し方や魅力を見せることができる。例えば、青森県のジューススタンド専門店。「青森県のリンゴ生産量は日本一!リンゴから美容・健康成分をたっぷり摂取したいなら青森産がオススメ!」なんていうのもいいかもしれない。青森県のみならず、青森のリンゴを取り扱う小売りだってもちろん活用できるだろう。

地域特産物を「〜県のスーパーフード!」と呼ぶのもいいかもしれない。「スーパーフード」はすっかり定着した言葉なので、女性を振り向かせやすいだろう。

その地域ならではの作物にどのような栄養効果があるのか?どのような女性にオススメできるか?今一度研究してみると、強固な差別化ポイントを見つけられるかもしれない。

エリア・ヘルスケアマーケティングを取り入れてみよう!

エリア・ヘルスケアマーケティングを取り入れることで、より多くの女性生活者の興味関心をひくことが可能になる。まずは自社商品・サービスを展開しているエリアの特徴を知ることから始めてみよう。地域に関するデータは様々な企業や自治体が公開しているのでそれらを収集して分析してみると今まで気づかなかった特徴を発見できる。次にそれら特徴からどのような訴求ができるか?販促に役立つアイディア出しをしてみよう。

エリア・ヘルスマーケティングにおけるアイディア発想に役立つ記事はウーマンズラボでも随時発信。参考にどうぞ。

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