30代女性の消費行動・特徴・価値観・関心事

トレンド感度が20代の時よりも落ち着き、自分に合ったモノコ・トを選択して消費をする30代は、20代の頃のようにトレンドや話題性、新規性や好奇心だけで新しい商品・サービスに無条件に飛びつくことはそうないものーーー。生涯の中でライフコースが多様化し価値観やライフスタイルが大きく変化するのは、一般的には30代。30代女性の価値観、興味・関心・悩みゴト、消費行動の特徴って何…?本項ではライフコース別に解説。他、女性マーケティングに関する最新情報は、ニュースレターで随時配信中

(※)以下では30代女性を「シングル」「DINKS」「DEWKS」「専業主婦」の4クラスターで紹介しています。クラスターごとの違いを分かりやすく解説するために各クラスターの特徴を完結にまとめていますが、多様性が進む昨今はクラスターの特徴があてはまらないケースもあります。また「DEWKS」「専業主婦」に関しては、子の年齢や子の数によって「消費傾向」「時間の使い方」「生活行動」などは異なります。本稿では各クラスターの概略としてご覧ください。

 

30代女性の特徴とライフコース

30代女性の特徴

現在の30代女性は、「ポスト団塊ジュニア世代(1975〜1981)」と「さとり世代(1983〜1994年生まれ)」に該当する。さとり世代が今の30代の大半を占めているため、同じ30代でもポスト団塊ジュニア世代とさとり世代では異なる価値観を持っているが、共通しているのは、幼少期の時代背景や、デジタルネイティブ世代である点、そして、新しい生き方・働き方などで新しいスタイルを切り開いてきたこと。今の30代の特徴を見てみよう。

  • 幼少時代にバブル経済が到来
  • 父親は仕事、母親は専業主婦という家庭が標準だった時代に成長
  • 親子関係が友だちのように仲良しでラフな関係に変化
  • 20代の時にフリーターという働き方が広がった
  • 高学歴にもかかわらずフリーターやニートになるワーキングプアが登場
  • 同世代で収入格差が広がっている
  • デジタルネイティブ世代で、学生時代に携帯電話やインターネットが普及
  • 情報化社会の中で学生時代・社会人生活をスタートし、20〜30代にかけて価値観・生き方・働き方の選択肢が増えライフコースの多様化が急速に進んだ
  • 年齢の上昇とともに国内の未婚率は上昇、晩婚化・晩産化が進む中で30代を迎えた。未婚、晩婚、晩産など結婚や出産に対する価値観が大きく変化
  • 「働く女性」「働くママ」「産休・育休」「仕事と家事・育児の両立」「少子化問題」など国内の課題や働き方改革においてその渦中にいるのは現20〜40代女性で、特に結婚・出産のライフイベントが多くの女性にやってくる30代がその中心。女性に優しい社会の到来を歓迎しつつも、現実はギャップがあり、社会や企業からの重圧に少々疲れ気味

30代女性のライフコース

30代はライフコースが一気に枝分かれし多様化していく時。日本における女性の平均初婚年齢(2016年)は29.4歳であることを考慮すると(平成30年版 少子化社会対策白書)、多くの女性は30代で結婚、妊娠・出産、出産による離職(休職)などのライフイベントが一気にやってくる。

さまざまなライフイベントに直面する30代の女性にとって、30代の10年間は「結婚をするのか?しないのか?」「子どもを産むのか?産まないのか?」「仕事を続けるのか?辞めるのか?」など大きな決断を迫られる時期でもある。

近年は40代で妊娠・出産する人が増えているとはいえ、やはり妊娠・出産のタイムリミットが近いこともあり、女性にとって30代はこの後の人生を左右する重要な時期である。どのライフコースにいたとしても、ライフコースが枝分かれしていく友人や周囲の人の変化を見て、「自分はこの生き方・働き方でいいのか?」と日々悩みながら過ごしている女性は多い。30代の代表的なライフコースは次の4つに分類できる(シングル=働く独身女性 / DINKS=共働き子なし夫婦の有職女性 / DEWKS=共働き子あり夫婦の有職女性 / 専業主婦)。

結婚 仕事
シングル × ×
DINKS ×
DEWKS
専業主婦 ×

30代女性は6クラスター

なお、30代の代表的なライフコースは先述の通り「シングル」「DINKS」「DEWKS」「専業主婦」であるが、詳しく分類すると、女性マーケティングを専門とする当社ウーマンズの分析では30代女性(中間層)は6クラスターに分類できる。同じ30代でもクラスターによって価値観・消費傾向などは大きく異なるので、30代女性をターゲットにしている場合は、ぜひ6クラスターのチェックを。

 

30代女性の価値観(結婚・出産・育児、仕事、生き方)

ライフイベントに直面するたびに女性たちのライフコースは変化し、それに伴う環境の変化で価値観も多様化していく。前述の4つのライフコースにいる各女性の価値観を見てみよう。

シングル

  • 【結婚観】
    一生結婚をしないとは決めていない。良い人がいたらいつかは結婚したい、または結婚してもいいかも
  • 【出産・育児観】
    子どもを産むのか産まないのか?産むとしたら何歳までに産むべきか?悩み中。”いつか”のために情報収集はしている
  • 【仕事観】
    好きな仕事、やりがいのある仕事をしたい。自分らしいキャリアの積み方をしたい
  • 【生き方】
    結婚に縛られない今の自由な生き方は充実していて気に入っている。とはいえ、恋活・婚活は適度に取組中。趣味、遊び、イベント参加、スポーツ、自分磨き、スキルアップなどやりたいことは即実行。4クラスターの中で最も時間リッチ

DINKS

  • 【結婚観】
    夫婦それぞれが自分の仕事・時間を持ち、互いに自立した関係でいたい。家事は夫ときちんと分担
  • 【出産・育児観】
    子はいてもいなくても良いor望んでいるが子を授かれない
  • 【仕事観】
    好きな仕事、やりがいのある仕事でキャリアを積みたい
  • 【生き方】
    夫婦2人で過ごす時間や、適度に自分時間がある暮らし方に価値を見出している。一緒に出かけたり共通の趣味がある。世帯年収は4クラスターの中で最も高い

DEWKS

  • 【結婚観】
    共働きなので夫と家事を分担しているが自分の負担の方が大きいことが不満
  • 【出産・育児観】
    短時間勤務を活用し、仕事と育児を両立。育児は自分主導
  • 【仕事観】
    育休後復帰。専業主婦で自宅にこもるより仕事で社会と繋がっていたい。両立は大変だが仕事は自己実現の場でありリフレッシュにもなるし、経済的にも必要
  • 【生き方】
    仕事と家事・育児の両立で毎日が時間との戦い。夫婦共働きなので世帯年収は高いが4つのクラスターの中で最も時間貧乏

専業主婦

  • 【結婚観】
    家事は全て自分が担当。家事も育児も自分の大切な役割と考えている
  • 【出産・育児観】
    子が大きくなるまで家族の時間を最優先したい。育児は自分主導
  • 【仕事観】
    子が大きくなったら家計のためにいつかは復職するだろうと考えている
  • 【生き方】
    仕事よりも家庭での時間を大切にする生き方が好き

 

 

30代女性の悩み・関心キーワード

次に各ライフコース特有の悩みや関心ごとを探ってみよう。「生き方・働き方」「ヘルスケア(美容・健康)」「自己投資(趣味、学び、旅行など)」の3項目でポイントをまとめた。

シングル

  • 【生き方・働き方】
    妊娠のタイムリミットが気になる。でも、結婚・出産でキャリアを中断したくないし、今の自由な生き方も気楽だから好きといえば好き。「妊娠・出産」「ライフプラン」「キャリアプラン」などのキーワードに関心あり。趣味や旅行などを楽しみたいのでワークライフバランスの良い働き方をしたい
  • 【ヘルスケア】
    <美容>美容意識は20代の頃と変わらず最新の美容法に関心があるが、エイジングケアを基点にした美容法へとニーズが変化。エステやネイルなど店舗の美容サービスも好きだが、美容家電でホームエステも好き。4クラスターの中で最も美容にお金と時間をかける
    <健康>いつかは妊娠・出産するかもしれないので、月経管理や子宮ケアで将来に備えている。健康意識は年齢とともに高まり、美容と健康両方のためにさまざまな健康法にトライ。年齢とともに慢性疲労対策ニーズが高まる
  • 【自己投資】
    好奇心旺盛で、趣味、スポーツ、スキルアップ、習い事、旅行、投資など自分の生活や心を豊かにすることに積極的に投資。新しいイベントなどに参加するのも好き。独身の友人や趣味仲間、彼氏などと外出する。結婚した友人が多いので20代の頃よりも1人で出かけることが増えた

DINKS

  • 【生き方・働き方】
    夫婦2人の生活のままでもいいが、子どもを産むか産まないかはまだはっきり決断していない。出産したとしても仕事は続けたい。仕事は好きだしキャリアを積んでいきたいが、適度に自分時間や夫との時間を持てる働き方を続けていきたい
  • 【ヘルスケア】
    <美容>美容意識は結婚して若干低くなり、最新の美容法は追わなくなったが、エイジングケアには力を入れている。店舗での美容サービスも利用するが、結婚して自宅で過ごす時間が増えたので美容家電を揃えてホームエステをする機会が増えた
    <健康>いつかは妊娠・出産するかもしれないので、月経管理や子宮ケアで将来に備えている。健康意識は年齢とともに高まり、自分の美容と健康、夫の健康のためにさまざまな健康法にトライ。年齢とともに慢性疲労対策ニーズが高まる
  • 【自己投資】
    独身の頃に比べると自分だけに投資するよりも、夫と一緒にできる趣味、スポーツ、旅行などに投資することが増えた。将来に備え、夫婦2人で資産運用にも積極的

DEWKS

  • 【生き方・働き方】
    貯蓄よりも、保育園やシッター代、時短消費などで出費がかさみ、「働いている意味はあるのか?」と疑問を感じることがある。仕事を続けているが、同年代のシングル女性と比べるとキャリアを積むのは難しく複雑な気持ち。忙しい日々の中で妻でもなく、ママでもなく、自分だけの「生きがいや役割」を模索したり不安を感じたりする時期でもある
  • 【ヘルスケア】
    <美容>美容はもちろん気になるが毎日が忙しく自分時間を取れないので、結果的に美容時間を省き、最低限のケアしかしていない。体力勝負なので、普段は美容は健康より後回しになりがち。
    <健康>仕事と家事・育児の両立で毎日がとにかく忙しく、心身が疲れきっている。「慢性疲労」「睡眠不足」「体重増加」など、美容悩みより健康面の悩みが大きい
  • 【自己投資】
    独身の頃と比べると、趣味、スポーツ、スキルアップ、旅行などの自己投資の機会は大幅に減った。家族一緒にできる投資(遊び、スポーツ、イベント参加など)が増えた。将来の自分自身のために学びたいことがあるが時間も体力もないので、子どもが大きくなってから、と考えている

専業主婦

  • 【生き方・働き方】
    子どもの手が離れたらいつかは仕事を始めるつもりはあるが、今は特に考えていない。子どもや家族を中心とした暮らし方をしていきたい
  • 【ヘルスケア】
    <美容>仕事で毎日人と会う有職者と比べるとメイクの機会がないのでノーメイクでいることが多い。だが家族で出かけたりママ友に会う時は張り切る
    <健康>自身の健康よりも家族の健康づくりを優先。自身は家にいることが多いので運動不足になりがち。運動をするなら、夫や子どもがいない日中の時間を活用
  • 【自己投資】
    独身の頃と比べると趣味、スポーツ、スキルアップ、旅行などの自己投資はしなくなった。自分が働いていない分、世帯年収が低いので自己投資などの贅沢はしない。自己投資よりも、家族とできることに投資したい

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30代女性の所属コミュニティ

女性はライフコースが変化すると所属するコミュニティや人間関係が大きく変化する。特に、未婚・結婚の境界線は女性の友人関係に影響し、結婚・出産を機に女子会は「独身組」と「結婚組・子育て組」にわかれるなど、同じライフコースにいる者同志で集まるようになる。男性は各ライフイベントを迎えても人間関係はさほど変わらず、ライフコースで所属コミュニティがガラッと変わるのは女性特有。各ライフコースにいる女性はどのようなコミュニティで人間関係を構築しているのか?所属コミュニティの違いを見てみよう。

コミュニティ
シングル 同僚・仕事関係、趣味仲間、自分と同じシングルの女性、自分の両親・親戚、学生時代の友人、ネット上のコミュニティ
DINKS 同僚・仕事関係、趣味仲間、夫と共通の趣味仲間、自分と同じDINKSの女性、シングル女性、自分・夫の両親・親戚、地域、学生時代の友人
DEWKS 同僚・仕事関係、ママ友、自分と同じDEWKSの女性、子の保育園・幼稚園・学校、自分・夫の両親・親戚、地域、学生時代の友人
専業主婦 ママ友、自分と同じ専業主婦の女性、子の保育園・幼稚園・学校、自分・夫の両親・親戚、地域、学生時代の友人、ネット上のコミュニティ

 

30代女性の消費行動の特徴

30代全体の消費行動の傾向

未婚・既婚にかかわらず30代は金額の大きい買い物が増える時。住宅や自動車、家電、教育費、保険など、将来を見据えた消費にシフトする。シングル女性の増加で、近年は30〜40代女性のマンション購入は珍しくなくなった。購入後に結婚したとしても購入した不動産は資産運用で活用できるので、購入=一生独身を決意しているわけではない。

一方で日常の消費について注目すると、20代の頃のように新規性や話題性だけで最新の流行を追いかける消費は落ち着き、それよりも自分の悩みやニーズ、ライフスタイルに合った消費を好むようになる。これまでの買い物経験や自分自身の理解が進むことで、「好き・嫌い」「合う・合わない」を見極められるようになるからだ。20代の頃よりもクオリティーを重視するようになるのはそのためだ。30代は20代と同様にスマホでの消費が活発なのも特筆すべき特徴。消費者白書のまとめによると、スマホで商品・サービスを購入する割合は20代の次に多い。

各ライフコースの消費行動の傾向

ライフコース別の消費行動の特徴を見てみよう。お金の消費だけでなく、時間の消費もライフコースによって異なる点に着目。

消費行動の特徴
シングル 【お金の消費】収入のほぼ全てを自分に使えるので、消費が活発で好奇心も旺盛。特に美容・ファッション・趣味・旅行・学びの消費が大きい。SNSは発信も情報収集も両方使い。SNSをきっかけに消費をすることも。

【時間の消費】仕事以外のほぼすべての時間を自分のために使っている。やりたいことは即実行できるだけの十分な時間を持っている。

DINKS 【お金の消費】夫婦共働きで世帯年収が高い上に、子のための消費がなく自由に使えるお金が多いので自分消費・夫婦消費が活発。SNSは発信も情報収集も両方使い。SNSをきっかけに消費をすることも。

【時間の消費】独身の頃と比べると自分1人の自由な時間は減ったが、代わりに夫婦2人で過ごす時間が増えた。

DEWKS 【お金の消費】子関連の消費が多い。仕事と家事・育児を両立させるために時短商品・サービスへの消費に積極的。コスパよりもタイムパフォーマンスを重視しているので、「価格重視」の消費ではない。自分消費は独身の頃より少なくなったが、自身の収入はあるので必要最低限の消費はしている。自分・夫の親が自分の子に何かを購入したり、3世代で一緒に旅行などをして消費が起きる「3世代消費」が活発。SNSは情報収集も発信も両方使いだが、子のネタの発信が中心。

【時間の消費】子の生活サイクルを中心に時間を消費。自分時間を持てるのは仕事後や、子が寝た後、早朝(子が起きる前)など1日の中でわずか。(働くママの生活行動・健康行動調査結果についてはこちらに掲載

専業主婦 【お金の消費】子関連の消費が多い。働くママと比較すると仕事がない分、時間に余裕があるのでタイムパフォーマンスより価格やコスパ重視で買い物をする。3世代消費が活発。SNSは情報収集も発信も両方使いだが、情報発信は子のネタや料理、DIYなど家事関連が中心。

【時間の消費】子と夫のそれぞれの生活サイクルに合わせて時間を消費。就業していない分、自分時間が多い印象があるが、タイムパフォーマンスを重視した生活や買い物をしておらず、また全ての家事と育児を自分で行っているので日々のタスクは多く自分時間は案外と少ない。

 

30代女性の消費行動を理解する意識調査一覧

30代に向けたマーケティングではライフコース視点でターゲット女性をとらえると、戦略を考えやすい。上記の他、30代女性の消費行動やインサイトを探るのに参考になる調査結果は以下。

 

女性ヘルスケア業界のトレンド・消費傾向(2024年度版)

女性ヘルスケア専門のシンクタンク「ウーマンズ」では、様々なテーマの分析レポートを発行しています。日々の業務にぜひお役立てください。企業様に特に人気のレポートは「女性ヘルスケア白書 市場動向予測2024 〜健康トレンド・業界動向・女性ニーズ〜」「売れるフェムテックの開発と販売戦略  17の障壁と対策」。

女性ヘルスケア白書2024 市場動向予測レポート

 

 

 

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