シャープの開発秘話、公共施設向け「生理用ナプキンIoTディスペンサー」を使った防災備蓄品活用
シャープは今月1日、生理用ナプキンを1枚ずつ取り出せるIoTディスペンサーと、各施設に設置した機器の利用状況を一元管理できる在庫管理システムを活用し、「防災備蓄品を有効活用した生理用ナプキンIoTディスペンサー設置実証実験」を、静岡県浜松市とともに開始した。
実証実験では、同社が独自開発した「生理用ナプキンIoTディスペンサー」を、浜松市の市役所・図書館・市立高校・男女共同参画文化芸術活動推進センターの、4ヶ所の女性用トイレの個室内に設置。使用する生理用ナプキンは浜松市が防災備蓄品として所有しているもので、使用期限である3年以内に活用されないものが対象。ユーザーがディスペンサーのセンサーに手をかざすと、生理用ナプキンを1枚取り出せる。ディスペンサーの利用状況や生理用ナプキンの在庫状況は、同社開発の「在庫管理システム」により、一元管理。収集するデータの分析などを通じ、生理用品の効果的な配布場所や方法を検証するとともに、生理用品を入手しやすい環境づくりを目指す。
「生理の貧困」が社会問題化したことで、全国の自治体で生理用品を無料配布する取り組みが広がっているが、行政窓口を中心とした配布は、必要な人に・必要な時に十分に行き渡らせることが難しく、トイレ内での配布においては衛生面や大量持ち去りへの対策も課題とされてきた。また、生理用ナプキンのディスペンサーは、すでに他社が先行して商業施設などで設置を進めているが、利用にあたってはスマホアプリのDLとユーザー登録が必要で、経済的事情や低年齢でスマホを持っていない場合は、利用することができない。こうした課題感から、浜松市がシャープに求めたのは、以下5点をクリアするディスペンサーだったという。
1. 衛生面に配慮して、ナプキンを1枚ずつ配布できる仕組みであること(できるだけ多くの人に使ってもらいたいので、大量持ち去りも防ぎたい)
2. ナプキンのメーカーやサイズが変わっても柔軟に対応できること(備蓄品の調達は入札なので、将来、製品が変わる可能性も大きい)
3. スマートフォンを持っていなくても、誰でも使用できる仕組みであること(経済事情や低年齢でスマホを持っていない人もいる。スマホ禁止の学校もある)
4. 遠隔で在庫管理ができること(施設職員がわざわざトイレまで行かなくても補充すべき量・タイミングがわかるように。また、あちこちの施設に置いた機器を一括管理できるように)
5. 広告がないこと
(引用:note)
もともと同社では、家庭向け製品として「生理用品IoT収納ケース」の開発を進めており、そんななかで、浜松市から問い合わせがあったという。公共施設向けの仕様に対応するために、どのような開発視点が新たに必要だったのか、どのようなアイディアが議論され、どのようなプロトタイプが生まれたのか。開発の裏側が、同社の公式noteに画像付きで公開されている(SHARP「自治体の防災備蓄品『生理用ナプキン』を『ディスペンサー』で配ります」)。
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