オンライン診療を導入した全国13の医療機関の事例集 服薬アドヒアランスや診療継続率に効果

オンライン診療を提供する医療機関の事例をまとめた「オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集」を、厚労省が公開した。全国の13の医療機関に、オンライン診療の導入経緯、実施方法や工夫、ユーザー層、処方箋・薬剤の受け渡し方法、課題と解決策、導入効果などをヒアリングし、まとめたもの。

産婦人科での導入事例は、京都市の「田村秀子婦人科医院」を掲載。診療を継続する手段としてオンライン診療が適していることや、服薬アドヒアランス患者が 薬の作用・副作用について十分な説明を受け納得した上で、服薬の必要性を理解し、主体的に治療を受け、継続した服薬を行うことの向上に効果が見込めることから、導入を決めた。利用者は30〜50歳の就労世代で、更年期障害、甲状腺疾患、高血圧症、月経困難症などを中心に、オンライン診療を実施している。患者に安心感を持たせるため、医師の視線が自然とカメラ目線になるよう、PC画面上部に標準装備されているカメラではなく、目の前に配置できるカメラを使用している。患者が他人に聞かれたくないことでも話しやすいよう、診療中の画面内には、看護師など医師以外の人が映り込まないように配慮したり、患者の心理状況に応じて院内の照明を暗くするなどの工夫も。

オンライン診療の導入により同院では実際に、患者の服薬アドヒアランス向上に伴い、更年期障害や月経困難症の診療継続率が向上したという。また、心理的負担から診療を避けていた患者が受診するようになったという効果もあった。

オンライン診療を含む遠隔医療の需要は近年高まっているものの、幅広い普及は進んでいない。また不適切な利用実態も指摘されていることから厚労省は6月、適切な利用促進を目的に本事例集の作成と合わせ、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」を策定した。

 

 

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