太っている女性ほど健康意識が高い傾向、プレコンケアや中高年期に向けた食育を
多様性や自分らしさを追求する女性たちの意識変化から、過度な”痩せ信仰”は薄らぎ、5年前あたりをピークにダイエットブームは落ち着きを見せている。だが、特に若年女性の低体重は未だ課題。2024年度から始まる健康日本21第3次の中でも、「若年女性の痩せの減少」が目標に掲げられている。国民健康・栄養調査によると、痩せ(BMI<18.5kg/m2)の女性は全体で11.5%、男性は3.9%。女性の20代に絞って見ると、20.7%に上る。低体重は月経異常や不妊症、骨粗鬆症などのリスクがあるものの、過体重による健康リスクと比べると広く認知されていないため、危機意識が低いのが現状だ。長い間、女性たちの間で痩せていることが良しとされてきた風潮も、低体重による健康リスクに無関心な状況を作り出していると考えられる。実際に、痩せているほど健康意識が低いことが調査でわかっている。
食習慣改善の意志をBMI別に調べた厚労省の調査によると(令和元年国民健康・栄養調査報告)、BMIが高い肥満の女性ほど改善の意志がある。改善するつもりがある人と、すでに改善に取り組んでいる人を足した割合は以下。痩せている人は改善意識が低いことがわかる。
- 痩せ:33.2%
- 普通:43.9%
- 肥満:51.4%
運動習慣改善についても同様の傾向が見られ、肥満の女性は改善の意志があるが、痩せの女性は低いことが明らかに。
- 痩せ:42.5%
- 普通:53.3%
- 肥満:56.0%
上2つのグラフが示している通り、男性も同様の傾向が見られた。「食習慣改善や運動習慣改善=体重を落とすこと」という認識や、「太っていると不健康、痩せていれば健康」という思考が一般的であることが背景にあるのかもしれない。
藤田医科大学の20〜39歳の若年女性を対象にした研究によれば、低体重の女性の3割が朝食を抜き、5割に食品多様性の低下が見られ、栄養失調になりやすい可能性があるとのこと。また栄養不足により、月経異常、不妊症、骨粗鬆症などのリスクや、低体重の女性から生まれた子どもが将来、糖尿病や心血管疾患を発症するリスクが高まることも指摘し、痩せの女性に向けた食育の必要性を訴えている(Young Japanese Underweight Women with “Cinderella Weight” Are Prone to Malnutrition, including Vitamin Deficiencies,2023.5.7)。
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