【女性ヘルスケア市場観測】理学療法士の専門知見が新たな付加価値に、AI・ピラティス・整体へ広がる
女性ヘルスケア市場を日々ウォッチしている編集部が、各社の新商品・サービスから、市場の新たな動きやマーケティングの最新潮流を探るコーナー「女性ヘルスケア市場観測」。
今週の注目は、理学療法士の知見を活用したサービスの広がり。近年は、病気やケガの治療だけでなく、身体機能の維持・向上やコンディショニング、健康寿命の延伸への関心が高まり、「長く動ける身体づくり」を求める人が増えている。こうした中、理学療法士の専門知識を新たなサービス開発や品質向上、従来からあるサービスとの差別化に取り入れる動きが相次いでいる。活用領域は、ピラティスや整体など女性の利用が多い領域をはじめ、自費リハビリやデジタルヘルス、健康経営まで多岐にわたる。生活者のセルフケア意識や介護予防の関心が高まる中、エビデンスに基づいた理学療法士の知見を生かしたサービスへの需要は、今後大きく伸びそうだ。一方で、理学療法士の役割や専門性への理解が生活者に十分浸透しているとは言い難い。その価値や認知を広げられるかどうかが、市場拡大のカギを握りそうだ。
目次
女性向けピラティス、理学療法士監修で専門性強化 姿勢改善や疲労ケアに(RiAGEL)
女性専用マシンピラティススタジオ「Pilates Mee」を全国130店舗超で展開するRiAGELは6月、自宅で実践できる無料のオンラインレッスン「おうちでピラティス」の配信を開始した。スタジオで指導するインストラクターが出演し、ピラティスの動きやフォームを動画で解説する。各レッスンは理学療法士が監修し、期待できる効果や鍛える筋肉を紹介。正しい身体の動かし方や筋肉の役割について理解を深められる内容とした。動画は「肩こり解消」「姿勢改善」「冷え性改善」「疲れた体を労わる」「巻き肩ケア」など、悩みや目的別に検索できる仕様で、誰でも無料で利用できる。今後、コンテンツを順次追加し充実化を図る。
AI×理学療法士、身体分析で整体サービスを進化 痛みをケア(TADASU)
整体でも、理学療法士の知見を生かしたサービス開発が進む。整体院の「TADASU」では、AIによる身体分析と、理学療法士を中心とした国家資格保有者の専門知見を組み合わせた施術を提供している。6月に、都内で5店舗目をオープンした。一般的な整体のアプローチでは効果が持続しづらいとの課題感から生まれたサービス開発で、局所への施術に加え、体幹を含めた運動療法や身体の使い方の改善を組み合わせることで、個々の状態に応じた施術を提供できるようにした。
理学療法士が自宅・施設へ出張、自費リハビリでシニアの身体づくり支援(HabiFill)
理学療法士による自費リハビリサービスも広がっている。HabiFill(東京・世田谷)は6月、東京都内を中心に、自宅や高齢者施設へ理学療法士が訪問してトレーニングサービスを提供する出張リハビリを開始した。退院後も身体機能回復のために体を動かしたり転倒予防のための運動をしたい人、脳梗塞の後遺症がある人、介護保険サービスだけでは十分な運動支援を受けにくい人などが対象。強みは、医療・リハビリ視点の運動サポート。病院や介護分野で経験を積んだ理学療法士が、身体状態や生活環境、目標に応じたリハビリや運動支援を行い、自宅でも継続して運動に取り組める環境づくりを目指す。
理学療法士の知見を健康経営に活用、「運動器ドック」(しまだ病院)
理学療法士の専門知見は、健康経営分野にも。しまだ病院(大阪・羽曳野)は6月、企業向けの「運動器ドック」を開始した。医師、理学療法士、トレーナーが連携し、骨や筋肉、関節の状態を評価したうえで、一人ひとりに改善メニューを提案する。職種ごとのリスクに応じて選べるプランも特徴で、仕事中の腰痛や肩こりによるプレゼンティーズム、転倒・骨折リスクの低減などを目指す。検査だけで終わらせず、併設するフィットネスで運動指導まで一貫して提供する点も強みだ。
リハビリの空白期間を支援、理学療法士が開発したアプリ(リモネック)
理学療法士が、自らアプリを開発する事例も出てきた。リハビリ事業に取り組むリモネック(東京・世田谷)は6月、パーキンソン病をはじめとする神経難病患者向けリハビリ記録アプリ「RehaMe」のiOS版の提供を開始した。10年以上の臨床歴がある、神経難病領域の認定理学療法士が企画・開発。病気の診断から本格的なリハビリが始まるまでの期間が数年に及ぶこともある”空白期間”の課題に着目したもので、心拍数や睡眠、歩数などのデータや体調記録を可視化し、在宅でのリハビリ継続を支える。今後は、同社が運営するリハビリスタジオでの対面支援とアプリによる在宅記録を組み合わせた、継続支援モデルの構築も進める。
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