「レジ横の陳列禁止」で菓子類の消費が減少、英研究

スーパーやコンビニエンスストアのレジ周辺に陳列されたチョコレートなどの菓子類は、つい手に取ってしまいがちだ。しかし、こうした陳列をやめれば、健康に良くないとされる菓子類の消費量を大幅に減らせる可能性があることが、英ケンブリッジ大学のJean Adams氏らが実施した研究で明らかになった。研究の詳細は「PLOS Medicine」12月18日オンライン版に掲載された。

スーパーなどのレジ周辺には、消費者の衝動買いを狙って、飴やチョコレートバーなどの菓子類が陳列されていることが多い。肥満の増加が深刻化する英国では、2013年に、大手スーパー9社のうち6社がレジ周辺の菓子類の陳列をやめると発表した。Adams氏らは今回、2013年から2017年にかけて、3万世帯以上を対象に、レジ周辺の菓子類の陳列をやめる12カ月前後の菓子類の購入状況を調べた。

その結果、レジ周辺の菓子類の陳列をやめた店舗では、やめてから4カ月間で飴やチョコレートなど小袋に入った菓子類の売上高が約17%減少したことが分かった。こうした売上高の減少は、陳列をやめた1年後にも継続してみられたという。

また、研究では、2016~2017年に、スーパーで買った菓子類を「自宅に持ち帰らずに外で食べる」と答えた買い物客7,500人を対象とした分析も行った。その結果、レジ周辺に菓子類を陳列しない店舗で買い物した人は、陳列した店舗で購入した人に比べて、小袋の菓子類の購入量が約76%少ないことも明らかになった。

こうした結果を踏まえ、Adams氏は「スーパーの商品の陳列場所は、買い物客の食習慣に大きく影響する可能性がある」と話す。そのため、同氏は「こうした取り組みをスーパーが自主的に講じるのではなく、国として規制すれば国民全体に有益なものになる」と指摘。「レジ周りの陳列だけでは小さい変化に過ぎないが、こうした変化を積み重ねることで、消費者はより健康的な商品を手に取るようになるだろう」と述べている。

ただ、Adams氏によれば、今回の研究では、消費者が実際にそれらの商品を食べているかどうかは確認していない。また、買い物客がレジ周辺にある小袋の菓子の代わりに、他の場所に置かれた大容量の商品を買っていた可能性も考えられるという。

この結果を受け、専門家の一人で米ニューヨーク大学医療センターの管理栄養士であるSamantha Heller氏は「レジ横の菓子類などの陳列は、消費者の肥満や2型糖尿病、心疾患、がんといった疾患リスクの増大につながる。しかし、消費者側の対策としては、甘い菓子やファストフード、加工食品は断固としてカートに入れないという強い意志を持つことだけだ」と述べている。一方、ジャンクフードや菓子類は食べる頻度を減らすほど、食べたいという欲求も弱まることが分かっているとし、「1日3回、バランスの良い食事を続ければ、菓子類にも目が向かなくなるだろう」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年12月18日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

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