マイページに記事を保存米国では、脳震盪などの頭部外傷により緊急外来を受診する18歳 未満の子どもは、男子では減少している一方で、女性では増加がみ られることが、米疾病対策センター(CDC)のKelly Sarmiento氏らが実施した研究で明らかになった。調査結 果の詳細は、CDCが発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report 」3月15日号に発表された。
この調査では、2010~2016年に、米国でスポーツやレクリ エーション活動中に起こった外傷性脳損傷(TBI)により救急外 来を受診した18歳未満の子どもを対象に分析した。7年間の調査 期間中に、約200万人の子どもが救急外来を受診していたことが 確認された。この患者の数は、年間では平均28万3,000人に 当たるという。
分析の結果、スポーツ関連のTBIにより救急外来を受診した頻度 は、2010年から2016年にかけて全体では大きな変化はみら れなかった(10万人当たり354.7人から371.0人)。し かし、この受診頻度には男女差がみられ、男子では、10万人当た り2010年の486.6人から2012年には559. 1人へと著しく増加したが、2016年には482. 7人へと大きく減少したことが分かった。
一方で、女子では、スポーツ関連のTBIによる救急受診の頻度は 、10万人当たり2010年の216.5人から2016年には2 54.3人にまで増加していた。Sarmiento氏らによると 、性差がみられた理由は明らかになっていないという。また、TB Iの頻度は男子では減少が見られたが、同氏らは「TBIが公衆衛 生上の重要な問題であることには変わりはない」と述べている。
さらに、今回の研究では、男子がTBIを経験する確率は女子の2 倍に上り、その原因の45%はコンタクトスポーツ( このうち27%はアメリカンフットボール) であることも示された。一方、女子でこの種の傷害の原因となるコ ンタクトスポーツとしては、サッカーが最も多かった。
近年、アメフトなどのコンタクトスポーツで発生する脳震盪の危険 性が多くのメディアに取り上げられている。Sarmiento氏 らはアメフトやサッカーなどのコンタクトスポーツでは、「 選手同士の接触を限定し、衝突を減らすようなルールに変更するこ とがTBIの防止には重要である」としている。その上で、 高校生が行うアメフトに新たに「安全性を重視したルール変更」 が加えられ、さらにはコンタクトスポーツを許可しない親が増える ことで、TBIの減少につながるかもしれないと推測している。
今回の研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のRobe rt Glatter氏は、現時点でもTBIの患者数は多過ぎると指摘 し、「子どもやティーンエイジャーの脳は成長過程にあるため、T BIの長期的な影響を受けるリスクが高い」と述べている。
また、Glatter氏は、コンタクトスポーツばかりが注目され がちだが、「多くのTBIは、チームで対戦する競技ではないスポ ーツや運動場、空気で膨らませた大きな滑り台などのバウンスハウ スでも起こっている」と指摘する。そのため、 どのような活動であれ、子どもにとってのリスクを最小限に留める ことが重要であり、「TBIから子供やティーンエイジャーを守る ためには、外傷の予防を優先しつつ、攻撃的で荒々しいプレーを減 らすことに焦点を当ててルールを改正することが必要だ」 と述べている。(HealthDay News 2019年3月14日)Copyright © 2019 HealthDay . All rights reserved.
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