ヒトパピローマウイルスは心疾患にも関連か

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ヒトパピローマウイルス(HPV)の一部のタイプは、子宮頸がんなどのがんの原因となることが知られている。こうした「高リスク型」の一部のウイルスは心疾患や脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症にも関連する可能性があることが、「Circulation Research」2月7日オンライン版に掲載された研究で示された。これらの関連は主に肥満やメタボリックシンドロームの女性で強く認められたという。

HPVは200種類以上あるウイルスの一群で、その一部は性行為により感染して性器のいぼの原因となるほか、高リスク型のウイルスに持続的に感染すると子宮頸がんの発症につながることが知られている。米国立がん研究所(NCI)によると、全ての子宮頸がんはHPV感染を原因とし、さらに腟やペニス、肛門、咽喉などの部位に比較的まれながんを引き起こすという。

一方、これまでの研究で、高リスク型のHPV感染がCVDの直接的な原因となりうるのかは明らかになっていなかった。成均館大学校医学部(Sungkyunkwan University School of Medicine、韓国)教授のSeungho Ryu氏らによると、HPVが動脈壁の細胞に感染すると動脈狭窄の原因となるプラークの蓄積を直接的に増大させる可能性や、ウイルス感染により全身の慢性炎症が促進されて、より間接的な影響を及ぼす可能性があるという。しかし、現時点ではいずれも憶測にとどまっている。

そこで、Ryu氏らは今回、研究開始時にCVDを有していなかった30歳以上の女性6万3,411人を対象に、2011年から2016年まで追跡し、HPVウイルス感染とCVD発症との関連について分析した。

全ての対象女性にHPV検査を実施した結果、7.6%が高リスク型HPVを保有していた。追跡期間中に1,122人がCVDを発症した。年齢や学歴、喫煙習慣、運動習慣などの因子を考慮して解析しても、高リスク型HPVに感染した女性では、そうでない女性に比べてCVDリスクが25%高いことが分かった。

また、これらの関連は肥満やメタボリックシンドロームの女性でより強いことも明らかになった。肥満の女性では、高リスク型HPVに感染すると、感染していない女性に比べてCVDリスクは73%高く、メタボリックシンドロームの女性では、そうでない女性に比べてCVDリスクは約2倍であった。Ryu氏らは、肥満やメタボリックシンドロームによる心血管の炎症といった悪影響が、HPV感染によって増悪する可能性を指摘している。

専門家の一人で米カリフォルニア大学サンフランシスコ校教授の心臓病専門医であるAnn Bolger氏は、Ryu氏らの研究を興味深いものだと評価するとともに、「この研究結果は、高リスク型のHPVがCVD発症に直接関与することを証明するものではない」とし、他の要因が関与する可能性もあり、今後さらに検討する必要があると述べている。

また、Bolger氏は、今回の研究結果は、高リスク型HPVの感染歴がある女性に対する警鐘ではないと強調する。Ryu氏もこの意見に同意し、「そうした女性は、適正体重を維持し、血圧や血糖、コレステロールをコントロールし続けることで自分自身を守ることができることを示唆している」と説明している。また、現在はワクチンを接種することで高リスク型HPV感染を予防することも可能だ。米国では、11歳または12歳になったら男女ともHPVワクチンを接種することが推奨されている。小児期にワクチンを接種しなかった場合には、若年期にも接種が推奨される。(HealthDay News 2019年2月7日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

 

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