「バズる」施策とは?女性マーケティングでバズらせるコツ

最近よく耳にする「バズる」。SNSを利用して、ある情報に注目を集めるのに重要な施策として積極的に取り組んでいる企業が多い。もともとはブログ記事などに爆発的な人気が集まることを指していたが、SNSの普及とともにバズり方も多様化。バズるとはどんな意味なのか?どういう使い方をするのか?バズらせるにはどうしたらよいのか?について解説。

「バズる」とは?

「バズる」の意味

「バズる」の語源は、英語のbuzz( ハチがブンブンいう、人がガヤガヤと話す)。この単語が日本語で動詞化されたのが「バズる」で、現在ではSNS(Twitter、Facebook、Instagram、LINE)などを介し、情報が口コミで拡散されることを意味する。そこから「バズマーケティング」というマーケティング用語も生まれた。意図的に口コミを発生させて商品やサービスを広める手法で、口コミを広告のようにして利用する。

この施策を成功させて、閲覧数やフォロワー数、ファン数を爆発的に増やすことを「バズらせる」という。閲覧数が急激に増える現象が起こるのは、いわゆる炎上も同じ。ただし、炎上は記事や広告などに対して批判的な声が寄せられるものなので、一時的に閲覧数は増えるが、取り返しのつかない問題に発展してしまうこともあるので気をつけたい。

バズったか否かの判断基準

「バズった」というにはどのくらいの数字を達成すれば良いのかについては、今のところ明確な基準はない。通常は、指標となる数値がほかのコンテンツや投稿と比較して、最終的に大きく増加したときに、バズったとみなされる場合が多い。

指標となる数値の例としては、メディアサイトや特定ページの「PV数」「拡散(リツイート)数」「いいね!数」「コメント数」、動画であれば「再生回数」などが、あるときからぐっとアップしていると、バズったと判断されている。バズったかどうかを判断するには、普段からブログや自社アカウントの各種数字を、日頃から把握しておくことが必要だ。

 

バズるきっかけとバズらせるコツ

バズる主なきっかけ

「誰かとシェアしたい」と感じさせるコンテンツ(記事、画像、投稿など)はバズりやすい。内容に共感したときやおもしろいと感じたときにSNSで拡散する人が多いからだ。「SmartNews」や「グノシー」「Yahoo!ニュース」など、ネットニュースに取り上げられたことがきっかけでバズるケースも多い。PV数の大きいニュースサイトに取り上げられると、一時的にアクセス数が増大するからだ。

つまり、人に教えたくなるようなおもしろさや話題性がバズらせるために必要な要素といえる。例えば、以下のような感情を人が抱くとたくさんのシェアにつながる(=バズる)と言われている。「感情を喚起させる」のがポイント。

  • 幸せ(例:動物や子どもの画像)
  • 驚き(例:サルの頭部の移植実験成功)
  • 笑い(例:お笑い要素が強い企業動画)
  • 賞賛(例:日本人によるノーベル賞受賞)
  • 希望(例:ガンの最新治療法が確立された)
  • 苛立ち(例:政治家の失言)
  • 不安(例:遺伝子操作ベビー)

バズらせるコツと注意点

では、どうすれば記事や投稿をバズらせることができるのか。たとえば江崎グリコの「ポッキーの日」企画のように、ユーザーと共通の目標を設定し、一体感を演出する方法がある。「○月○日○時までに○○ツイート達成」などと書いておくことで、この目標に共感した人にリツイートしてもらって、情報を拡散していく。

すでに流行になっている話題を活用してトレンドに乗った記事を書いたり、ソフトバンクの「ケータイ代一生分無料キャンペーン」のようなインパクトのあるプレゼントキャンペーンを実施するのも、バズらせるために有効。バズらせるのは簡単ではなく「これ!」といった絶対的な解があるわけではないが、以下をバズらせるコツとしてご参考頂きたい。

文章・画像・動画で異なるコツ

バズらせたいコンテンツが、文章、画像、動画なのか?によりコツが異なる

  • 文章
    ⇒分かりやすい言葉で簡潔に伝える。オウンドメディアの場合、SEOを意識すぎて長文になりすぎないようにしたい。企業のSNSアカウントの場合、「本音系文章」「砕けた系文書」は人気になりやすい
  • 画像
    ⇒伝えたいことが直観的に理解できる。おもしろ系、エモい系は特に◎
  • 動画
    ⇒「落ち」までを長くしない。冒頭数秒間で引き込む。長い動画の場合はドラマ仕立てにするのが最近のトレンド

シェアされやすいコンテンツ例

以下のようなコンテンツはシェアされやすいので適宜活用してみよう。

  • 診断テスト
  • クイズ
  • ランキング
  • 動物
  • ノスタルジー
  • 対決、投票

バズれば大きな注目を浴び、人気が出たり有名になる可能性は高い。ただし、バズりは炎上とも隣り合わせ。企業発信の情報が炎上するケースは後を絶たないが、いずれも「考えれば炎上するって、分かったはず…」といったケースは多い。例えば、ワコールの炎上問題は記憶に新しい。一部の人が不快に感じる内容や、人を傷つけるような表現にならないようくれぐれも注意が必要だ。

 

女性マーケティングでバズらせるためには?

女性マーケティングでバズらせるポイント

シェアされたりバズらせるには、「共感」してもらうか、冒頭でも挙げた通り「感情を喚起させる」のが必須。女性マーケティング視点で「共感」「感情を喚起させる」なら、ポイントは「ライフコース」と「女性の消費動向の反映」だ。

(1)ライフコース視点で企画を考える

企画の段階でターゲット女性のライフコースまで落とし込んで考えると、シェアされるコツが具体的にイメージできる。30代ママ向けのSNSキャンペーンを広く拡散させたいケースで考えてみよう。以下の考え方で企画を進めていくと、反応を上げやすくなる。

  • <ターゲット>
    30代女性
  • <ライフコース>
    育児家事と仕事の両立ママ
  • <共感されやすいコト>
    ・夫婦共働きなのに我慢するのはいつも妻の方ばかり!に関するコト
    ・職場でも家でも大忙し。一人になれる時間がほしい!に関するコト
    ・夫の理解、協力不足に関するコト
    ・会社の理解不足に関するコト(例:マタハラ、時短勤務、育休など)
    ・イクメンって言っているけど実際は子育てするのはほとんど女性よね!に関するコト
    ・職場における見えざる男女不平等に関するコト
    など
  • <企画の切り口>
    上記の「共感されやすいコト」を解決に導くような企画、勇気を与える企画、あるいはその現状を(なかなか誰も口にできない現状を)企業が「はっきり」とメッセージにして伝えるのも◎。

 

(2)女性の消費動向の反映

女性市場の消費動向は常に変化している。企画に随時反映すればバズりの可能性を少しでも向上させることができる。例えば最近人気なのは「仮想男子」。仮想男子とは、イケメンボイス(声優)、ブイチューバー、アニメのキャラクターなどを指し、恋愛離れしている女性たちの心を掴む。2030年には日本の半数が単身者になる、ソロ社会がやってくると言われており、恋愛離れが加速すると考えるなら、仮想男子のニーズはますます高まるかもしれない。仮想男子を使ったコンテンツでバズりを狙ってみるのはどうだろう。すでに多くの企業や自治体が採用し、成功事例も増えている。

女性の市場動向の中でも、一時的トレンドではなく長期的トレンドを活かした企画は、共感させたり感情を喚起させやすい。女性の消費動向は常に確認しておきたい。

女性マーケティングで企画するときの注意点

女性向けマーケティング視点で「バズる」を意識した企画を行う際に特に気を付けたいのは以下。女性差別・男尊女卑・性を打ち出す内容や社会トレンドに沿わない内容は、過去に何度も炎上を招いているのでくれぐれもご注意を。

女性差別、男尊女卑、性を打ち出す内容は絶対NG

  • ワコール
    記事広告で、男性2人が対談。「エロいですね」「ブラジャーがレースとかでボコボコってしてると、あ、この人レースのブラジャー着てるんだなってわかっちゃう。良いとこでもあるんですけど、楽しみにしときたいじゃないですか」などの言葉に「キモい」「品がない」「下卑」などの批判が集まった。なぜこのような企画が通るのか…?
  • スカイマーク
    CAの超ミニスカ制服導入。「下品」「セクハラ」「時代遅れ」「ミニスカCAに囲まれてる(同社)社長は、銀座のクラブで飲み歩くおっさんにしか見えない」などの批判が寄せられた。ミニスカ制服という時代遅れで女性蔑視な発想でしか、話題づくりができなかったのか?
  • H.I.S
    東京大学の女子学生が、フライト中に客の隣の席に座り得意分野について教えるというキャンペーンを発表。しかし「低俗」「空飛ぶキャバクラ」などの批判を受け即日中止。なぜ女子に限定?もしこの企画を実施するなら東大の男子学生だってよくない?
  • 池袋マルイ
    女性の太ももに特化した写真展「ふともも写真の世界展」を開催しようとしたところ、「性的表現を感じる」「未成年者を連想させる」「家族連れで行けない」「学校帰りに池袋マルイに行くことあるけど、あんな写真展を見たら、二度と制服で行きたくないって思った」「嫌悪感半端ない」などの批判が殺到し中止を発表。性的表現を感じさせる展示を家族連れの場でもあり、女性客も多い百貨店で開催する意図がまったくわからない…。

社会トレンドに沿わない内容は避ける

  • ユニ・チャーム
    おむつ「ムーニー」の動画広告には、育児に奮闘するママだけが登場した。その様子に「ワンオペ育児を連想させる」との批判が相次いだ。特に今の20~40代は、パパもママと同じくらい育児参加するのが「当たり前」という意識が広がっている。時代遅れな描写であったのは事実。社会トレンドに合わせた内容を企画しよう。

女性向けマーケティングでバズった成功事例

女性の心を捉えた、参考にしたい企業事例は以下。

フォロワー数増加「#シェアクッキング」(キリン)

毎月22日は夫婦一緒に料理をする日!と提案する「#シェアクッキング」。夫婦一緒に料理をしてシェアクッキングへの意気込みを「#シェアクッキング」でTwitterに投稿すると、抽選でシェアクッキングお役立ちグッズとキリン一番搾り生ビール350mlの6缶パックが当たる。同社の取り組みについてTwitterには特に女性たちから好評の声が集まり「共働きなのに女性ばかり料理するのはおかしい。こういう取り組みは嬉しい!」「普段料理しない夫と楽しく料理ができた。これからたまに一緒に作ってみたいね、と話した」などと評価する投稿が相次いだ。実際に、当キャンペーン実施でフォロワー数が増えたという。引用:ウーマンズラボ「家事シェア夫婦、本格拡大の見込み 女性の関心高い4社の提案事例」

 

看板広告を撮影、SNSに投稿(IPA情報処理推進機構)

IPA情報処理推進機構による原宿駅の看板広告。安心してネットを楽しむためにパスワードをかける重要性を10代に向けて発信。10代が好みやすい漫画のラブストーリーを、思わず笑ってしまう視点から描いたことででSNSを通じて多くの人が看板広告を投稿した。

 

100円に見えないクオリティに「いいね」(ダイソー)

今や100円ショップや300円ショップの「かわいい見せ方」は、他小売りも真似したいお手本。100円とは思えないクオリティの高さの見せ方に、思わず「いいね」をする女性多数。

 

フレーム素材をコスプレイヤーに提供(資生堂)

日焼け止めクリームANESSAのフレーム素材の利用をコスプレイヤー向けに無料開放。もともと写真を撮られることを好み、また自分の最もキレイ・かっこいい見せ方を熟知しているコスプレイヤーらによる投稿はいずれもクオリティが高い。多くのコスプレイヤーにより当企画「#レイヤーが日焼けなんてしてらんない」が拡散された。

 

 

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