「薬物乱用に対する意識」調査結果公表、東京都
東京都は先月、「薬物乱用に対する意識」の調査結果を公表した。大麻に害はないという誤った情報がSNSなどで広がっていることなどから若者を中心に大麻乱用が拡大していることや、市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)の社会問題化を背景に、都の薬物乱用対策の参考とするために実施したもの。対象は18歳〜70歳以上の都民で、知っている乱用薬物、市販薬の過剰摂取やその危険性、薬物を使った場合の心身への影響、若者の心に響く薬物乱用防止の啓発活動などについて聞いた。
乱用される薬物として知っているもののトップ3は「大麻」「覚醒剤」「コカイン」で9割を超えた。風邪薬や痛み止めなどの「市販薬」は約6割だった。
- 1位:大麻…99.6%
- 2位:覚醒剤…98.4%
- 3位:コカイン…94.5%
- 4位:ヘロイン…85.3%
- 5位:MDMA(エクスタシー等)…80.6%
- 6位:有機溶剤(シンナー、トルエン等)…80.4%
- 7位:向精神薬(病院などで処方される睡眠薬、抗不安薬等)…72.6%
- 8位:危険ドラッグ…70.6%
- 9位:LSD(アシッド、タブレット等)…57.9%
- 9位:マジックマッシュルーム…57.9%
- 10位:市販薬(処方箋なしで薬局やドラッグストアなどで購入できる風邪薬、痛み止め等)…57.3%
- 11位:その他、いずれも知らない…0.6%
「市販薬の過剰摂取について知っていること」を聞いた質問では、最多が「過剰摂取により、重篤な健康被害を引き起こすことがある」だった。
- 1位:過剰摂取により、重篤な健康被害を引き起こすことがある…83.0%
- 2位:市販薬の成分によっては、依存症になることがある…59.7%
- 3位:生きづらさなどの心理的孤立による自暴自棄・不安解消から、過剰摂取することが多い…55.4%
- 4位:10代・20代の若年層で乱用が多い…52.6%
- 5位:乱用の恐れのある市販薬の一部は、薬局等で購入制限などがある…38.4%
- 6位:違法薬物(大麻、覚醒剤等)へのきっかけになることがある…35.0%
- 7位:他人の共感を得るため、SNS上で大量の市販薬や過剰摂取の報告をする人が多い…27.8%
- 8位:その他、いずれも知らない…6.7%
「周囲の人が薬物に手を出さないようにするために、あなたが知っておきたいことは?」という質問では、「薬物を乱用した場合の健康被害」が最多で約7割に上った。「若者への啓発として効果的だと思う薬物乱用防止の啓発活動は何だと思うか?」については、トップ3が「SNSによる情報発信(63,2%)」「地域や学校などと連携した啓発活動(51.7%)」「動画広告による情報発信(51.1%)」だった。
市販薬の乱用は近年急増しており、とりわけ若年女性に多いことがわかっている(詳細:市販薬の過剰摂取「オーバードーズ」、8割が女性 初の疫学調査)。乱用の目的は高揚感や覚醒効果への期待よりも気分の落ち込みや不安感の緩和や自殺であるケースが目立ち、対策が急務とされている。
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