「介護美容」に業界標準を、ガイドライン策定やエビデンスの構築 日本介護美容協会
高齢者向け美容の専門スクール「介護美容研究所」を全国6エリアで展開するミライプロジェクト(東京・渋谷)は、一般社団法人「日本介護美容協会」を4月に設立する。介護現場へのメイクやネイルなどの美容サービス導入を推進してきた同社が、業界全体のガイドラインづくりに乗り出す。
介護美容は、介護保険の対象外で、施設や個人が独自に導入する美容サービスの総称。同社によると、同社が展開する訪問美容サービス「care sweet」の導入施設数は2021年比で約13倍の536施設に拡大。協会の設立は、こうした急速な広がりの一方で、サービスの質や安全性の確保に向けた取り組みが、各施設や個人の努力に依存してきたことが背景にある。協会ではまず、安全で効果的なサービス提供のためのガイドラインを策定する。あわせて、専門人材「ケアビューティスト」の資格認証制度を整備し、人材の育成とマッチングを支援。さらに、美容が認知症の周辺症状や日常生活動作(ADL)に与える影響のエビデンス構築にも取り組む。感覚的に語られがちだった効果を数値化・体系化し、介護美容を「標準的な選択肢」に押し上げる考えだ。
美容が介護の現場で「インフラ」として求められる背景には、介護保険制度の枠内では、利用者の尊厳や意欲を支える「心のケア」にまで手が回らないといった課題がある。身だしなみへの無関心が意欲の低下や介護の拒否を招き、職員の疲弊と離職につながる悪循環となっている。美容はこういった負の連鎖を緩和する「現場の潤滑油」として機能する側面も報告されており、導入後半年で入居稼働率が改善した施設もあることから、経営面の効果も注目される。
現場からは、個人の変化が施設全体に波及する事例も報告されているという。普段はベッドで過ごすことが多い利用者がネイルの日には自ら起き上がり身支度を整える。施術後に利用者同士が互いの姿を褒め合い、会話が生まれる。生き生きとした表情の写真を家族に送ったことで疎遠だった面会が再開された──。同社はこうした変化を「心身の再起動」と「関係性の再接続」と表現する。
超高齢社会が深刻化する中、制度の隙間を埋める保険外サービスに「標準」を設ける試みが、介護の質をどこまで底上げできるか。協会の始動が一つの試金石となりそうだ。
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