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超高齢社会で需要高まる「介護美容」、セラピスト3,000人を突破 元美容部員やエステティシャンなどが活躍 

介護と美容を組み合わせたセラピー「ビューティタッチセラピー」を提供する日本介護美容セラピスト協会が、今年3月末時点で認定セラピストが3,000人を超えたと発表した。元美容部員やエステティシャンなど、自身のこれまでの経験を活かして活躍する女性が多いという。超高齢社会に求められる新たなサービスとして、各地で介護美容の認知が広がっている。

活躍場所は、高齢者施設・地域コミュニティ・防災分野

同協会は、ナリス化粧品の100%出資で2014年に設立。高齢者施設でのメイクやマッサージを通じ、高齢者の自立支援やQOL向上を支援してきた。セラピストは、もともとエステティックや美容に関わってきた40〜50代の女性を中心に、70代のアクティブシニアも活躍。最近は、介護職・療法士などがセラピストになるケースも増えているという。各セラピストの活動場所や機会も多岐に渡り、その範囲は、高齢者施設や地域コミュニティ、防災分野にまで及ぶ。

一般社団法人日本介護美容セラピスト協会

【出典】ナリス化粧品

 

活躍する女性セラピストの声

「これからの社会に必要な仕事」エステティシャンから転向(60代女性)

一般社団法人日本介護美容

【出典】ナリス化粧品(福岡県北九州市の吉村めぐみさん)

もともとエステティシャンとして働いていましたが、高齢の母に元気になってほしいという思いや、これからの高齢社会に必要な仕事だと感じて資格を取得し、11年間活動をしています。介護施設での活動の他にデイサービスに訪問しています。特にメイクサービスは毎回盛り上がり、自然に笑顔がこぼれます。新人時代に、普段はうつむいておられた方がメイクを受けることでお出かけを楽しみにしてくださるようになったというような経験は今でも鮮明に覚えています。「ビューティタッチセラピー」が当たり前になり気軽に声を掛けられる身近なセラピストでありたいと思います。

 

接骨院を経営、エステ+介護美容サービスを提供(50代女性)

一般社団法人日本介護美容

【出典】ナリス化粧品(大阪府大阪市の小川真由子さん)

自営の接骨院でエステティック施術をしていましたが、接骨院をデイサービスにしたことをきっかけに高齢者との接し方を学ぶために受講しました。現在ではデイサービスでの定期的なセラピーに加えて個人宅への訪問セラピーや自宅サロンでの送迎付きエステ+介護美容サービスも実施。活動を支えるのは「小さな喜びの積み重ねが心の安定につながる〝心の栄養になりたい“」という思いです。「何歳になっても自分らしくいられる美容」が、特別なものでなく当たり前のサービスとして誰もが受け入れられるような環境が整うことや、私自身も持続的にセラピー活動を継続できるように願っています。

 

両親の介護がきっかけ、美容部員から転向 美容レクの出張提供も(40代女性)

一般社団法人日本介護美容

【出典】ナリス化粧品(東京都世田谷区の町田茶里さん)

もともと美容部員として働いていましたが、化粧品物販だけでなくこれまでの美容の知識やスキルを別の形で活かせないかと思っていた頃に両親の介護が始まったことで「介護」が身近なものとなるなかで「介護美容」に出会い、美容を通じて相手に喜んでもらえる仕事をしたいと思い資格取得を決意。今はサービス付き高齢者向け住宅で月3回の個別施術を担当する傍ら、美容レクリエーションの出張提供もしています。今後、この活動が専門職として確立され、より多くの方々に喜びや心地よさを届けていけるようになりたいと思います。

 

介護施設に勤務、「美容の日」の創設を職場に提案(30代女性)

一般社団法人日本介護美容

【出典】ナリス化粧品(愛知県宇輪島市の酒井彩華さん)

介護施設に勤務するなかで、入居者がきれいになることで自然と笑顔が増えることに喜びを感じて、セラピストを目指しました。認定後は施設に対して自ら提案し、月に1度「美容の日」を始めています。セラピーの活動の例として2024年7月には愛媛県老人福祉施設協議会研究大会四国大会で「美容師だった入居者が再び髪を切る夢を実現した事例」を発表しました。セラピーの活動が笑顔や元気を引き出すだけでなく、行動する意欲に繋がることを感じました。能登での災害支援ボランティアに参加したり、地域の「活き活気サロン」や「認知症カフェ」でも講師活動をしています。

 

超高齢社会に必要なサービスとして認知進む、目指すは5,000人

介護美容の取り組みは、厚生労働省の「保険外サービス活用ガイドブック」に取り上げられ(2016年)、2024年には、経済産業省が進める認知症の人との共生社会推進プロジェクト「オレンジイノベーション・プロジェクト」に参画。セラピストは年々増加しており、超高齢社会に必要な新しいサービスとして、介護美容が認知されつつある。同協会は、「超高齢社会に突入した現在、高齢者が自分らしく年を重ねることができることはより必要となり、それに伴う適切なケア方法や接し方の理解促進が求められている」とコメント。今後は、セラピストが長く働き続けられる環境整備に努めながら、認定者5,000人を目指す。

 

 

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