【開催レポート】世界24カ国が参加「ICNIM2026」 統合医療と食を議論、女性の健康に関する発表も(前編)
世界24カ国から約400人の研究者が集まる国際学会「統合医療機能性食品国際学会(ICNIM)」が、北海道・札幌市で開催されました。がんや運動パフォーマンス、軽度認知障害など、食と健康をめぐる研究成果が報告され、女性の健康に関する発表も。前編では、膵臓がんや卵巣がん、アスリートを対象とした研究を中心に、同学会の後援企業であるアミノアップがレポートします。
目次
世界24カ国から参加、統合医療や食の役割を議論する国際学会
世界の統合医療を牽引するプロフェッショナルが集結
統合医療と機能性食品に関する研究を通じて、疾病の予防や治療に貢献することを目的とした国際学会「統合医療機能性食品国際学会」(ICNIM:International Congress on Nutrition and Integrative Medicine)」の第 34 回年会が、2026年9月 12日から2日間にわたり、北海道・札幌市で開催されました。24カ国から約400人の研究者たちが集まり、基調講演、口頭発表17演題、ポスター発表40演題が報告されました。主催はICNIM、後援は経済産業省北海道経済産業局、北海道、札幌市、日本統合医療学会、日本未病学会、北海道健康医療フロンティア、当社(株式会社アミノアップ)です。
医学・薬学・栄養学の垣根を越え、研究者が活発に議論
ICNIMには、世界中の医学、薬学、栄養学の研究者や医師らが集まり、それぞれの視点で取り組んだ最新の研究発表を行います。通常の学会であれば、一般的には特定分野の研究者が集まりますが、ICNIMでは幅広い分野の専門家が集まり、統合医療や機能性食品について横断的な議論が繰り広げられる点が特徴的です。
ICNIM2026を通じて見えた、食による治療予後やパフォーマンスの改善
サイレントキラー「膵臓がん」の治療成績改善、関西医科大学・胆膵外科チーム
今回の発表で最も注目を集め、ICNIMの「最優秀研究賞」に選ばれたのは、里井壯平(さといそうへい)氏が率いる関西医科大学・胆膵外科チームの発表でした。同チームは、膵臓がんの治療成績改善を検証する臨床試験を行いました。
試験は特定臨床試験(※)で、切除可能またはその境界線にある膵臓がんの患者さん230名が参加して多施設共同二重盲検無作為化第Ⅱ層比較試験として行われました。「二重盲検無作為化試験」とは、試験に参加する患者さんがランダムに2つのグループに分けられ、医師も患者さんも、その患者さんが対象製品(今回はAHCC)を摂取しているのか、プラセボ(偽薬)を摂取しているのか、明かされない状況で行う試験です。「これを飲んでいるから良い結果が出るはずだ」という思い込みを排除することができるため、科学的に信用度の高い試験方法です。
※未承認・適応外の医薬品等を使用し、国内でまだ承認されていない薬(未承認薬)や、既存の承認とは異なる病気・効能(適応外薬)などを用いて新しい治療法を確かめる研究。
膵臓がんは、別名「サイレントキラー」とも呼ばれます。自覚症状の無いまま静かに進行し、見つかった時にはすでに進行が進んでいて生存率が低いことで知られているからです。膵臓がんの多くは、消化液の通り道である「膵管」に発生し、そのほとんどが「腺がん」という組織型(がんの種類)に分類されます。膵管腺がんは、すべてのがんの中でも特に予後(=病気の経過や治療後の見通し)が悪いがんの一つであり、5年生存率は約13%と言われています。
今回の試験の結果で注目されたのが、患者さんの手術後の全生存期間です。AHCCグループはプラセボグループと比較して有意に延長しており(未到達 vs 38.8か月、P = 0.039)、さらに再発のあった患者さん(135名)の全生存期間もAHCCグループでプラセボグループより有意に延長していたことがわかりました(36.3か月 vs 19.9か月、P = 0.008)。
AHCCグループでは再発があっても生存率が高かったことについて、関西医科大学の研究チームは「AHCCグループでは、免疫栄養指標(NLR、NPI、CAR、RLR、mGPS)が良好に維持されていた」という点に注目しています。つまり、がんの治療に加え、食品などによって患者さんの全身的な免疫や栄養の状態を良好に保つことが生存率向上において重要であるということが示唆されているということです。
関西医科大学の臨床研究の結果は、今年5月にASCO(American Society of Clinical Oncology、米国臨床腫瘍学会)でも発表されています。ASCOはがんの臨床研究において最も権威があり、そこにおいて発表演題として採択されることも難しい、世界トップレベルの学会です。
この試験の詳細については、近日中に論文が発表される予定です。さらに、関西医科大学・胆膵外科チームでは現在、切除が不能な状態の肝臓がん患者さんを対象とした試験を進めています。すでに130人が臨床試験の参加登録を完了しており、最終追跡調査とデータ解析が行われています。
致死率の高い「卵巣がん」の予備研究、カリフォルニア大学
女性のがんに関する発表もありました。カリフォルニア大学デービス校産婦人科のHui Amy Chen(フイ・エイミー・チェン)氏らは、卵巣がん患者さんのQOLに対する予備研究発表を行いました。「予備研究」というのは、本格的な臨床試験を実施する前に、どのような試験設計にすればより正確なデータが得られるかを評価することを目的としたものです。予備試験、本試験と段階的に行っていくことで、食品のはたらきをより正確にとらえていこうとする試みです。
女性のがんにおいて、卵巣がんは致死率の高い悪性腫瘍と言われています。卵巣がんは膵臓がんと同様に発見が遅れがちなことに加え、治療が始まっても手術や化学療法に伴う副作用に苦しむ患者さんもいます。
Chen氏らは、カリフォルニア大学デービス校産婦人科で化学療法を受けている卵巣がん患者さんを対象に予備研究を行いました。CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)という、世界基準の化学療法副作用判定基準を用いて患者さんの状態を観察し、さらに免疫細胞の機能の解析も行っています。本試験は、2023年8月に患者さんの登録が始まり、現在も進行中の研究です。この試験の結果を以て、本格的なランダム化比較試験の計画が立てられる予定で、研究者たちもその動向に注目しています。
サプリでアスリートのパフォーマンスを向上、日本体育大学
ICNIM2026では、がん分野の他にも様々な興味深い研究発表がありました。多くのアスリートを輩出、サポートしている日本体育大学・体育学部の杉田正明氏らは、ライチ果実から抽出したサプリメント(オリゴノール)が強度の高い運動のパフォーマンスに及ぼす影響を確認しました。
男性アスリート10名を対象に、サプリメント(オリゴノール)を7日間摂取してもらい、高強度間欠的運動(負荷の高い運動と短い休息を交互に繰り返すトレーニング)およびウィンゲートテスト(Wingate Test、専用の自転車を30秒間、全力で漕ぎ続けて瞬発力や持久力を測定する検査)を実施し、以下の項目を測定しました。
- パワー出力
- 血中乳酸濃度
- 酸化ストレス
- 抗酸化能
- 心拍数
- 主観的運動強度
その結果、平均パワー出力では、サプリメント(オリゴノール)を摂取していた期間の方が、何も摂取していなかった期間と比較して有意に高値が示されました(P < 0.01)。また、血中乳酸濃度の変化量や平均心拍数については、サプリメント(オリゴノール)を摂取している期間の方が何も摂取していない期間と比べ有意に低くなっていました(いずれもP < 0.05)。
酸化ストレスや主観的運動強度には変化や差が認められなかったものの、抗酸化能の変化量については、サプリメント(オリゴノール)を摂取していた期間の方が大きい傾向がありました(P = 0.06)。
オリゴノールは機能性表示届出食品として疲労感の軽減がこれまでにも示されていましたが、今回の研究により、単に疲れにくくなるだけでなく、アスリートのパフォーマンス(=成績)そのものを向上させる可能性が示唆された大変興味深い結果となりました。
ロンジェビティや軽度認知障害も、ICNIM2026の多彩な研究発表
ICNIM2026では、上述のがんや運動パフォーマンスに関する研究の他、軽度認知障害(MCI)や長寿社会を生き抜くための食に関する多彩な研究報告がなされました。その様子は「後編」でお伝えします。
【参考文献】
統合医療機能性食品国際学会第34回年会講演要旨集 国立がん研究センターがん情報サービス「膵臓がんについて」Siegel RL, et al. CA: A Cancer Journal for Clinicians. 2026.
【提供元】 株式会社アミノアップ
1984 年設立以来、北海道を拠点に機能性食品と農業資材を研究開発し、世界47カ国に展開するメーカーです。「AHCC®」や、バイオスティミュラント「Dr. アミノアップ」などの独自素材を開発し、特許取得と論文発表を重視しています。社内に医学・薬学・農学・理学・獣医学など多分野の研究員を擁し、世界 100 以上の医療機関・大学との共同研究にも取り組んでいます。ICNIMを通じた国際的な研究ネットワーク形成に加え、環境負荷削減にも注力し、製品の製造 1トン当たりの製造時 CO2 排出量を 10 年前比40%削減。2025年にはEcoVadisのサステナビリティ調査で、世界各国の評価対象13万社の上位15%にあたるシルバー評価を獲得しました。
【編集部おすすめ記事】
■女性の健康と食によるエピジェネティクスの関係を紐解く、研究から見えたサプリの役割
■WHO推進するエピジェネティクス研究、食による遺伝子のオン・オフが新たな予防医療に
■世界29カ国から研究者参加、エピジェネティクス最前線を議論、国際学会「ICNIM」
■女性の健康と「食」の新たな関係エピジェネティクス研究で見えてきた免疫・炎症・がん予防
■医療・美容・食分野で進むエピジェネティクス研究、遺伝子スイッチ が健康に影響する仕組み


























