2018年に米国で最も注目された医療系ニュースは?

オピオイド系鎮痛薬(以下、オピオイド)の依存症やそれを原因とした死亡がもたらした惨劇は、前年に引き続き2018年も米国社会に大きな打撃を与え、ヘルスケア関連のトップニュースとなった。

米疾病対策センター(CDC)が2018年11月に発表したデータによると、オピオイドの過剰摂取による死亡率は過去10年間に倍増し、2017年の死亡者数は7万人に達した。その多くは若年成人であり、ヘロインの50倍もの効果がある合成オピオイドの一つ、フェンタニルの過剰摂取に起因した死亡例の占める割合が高いという。

オピオイド依存症の蔓延は、米国の平均寿命を3年連続で縮めることにもなった。「われわれの子どもたちは、私たちの世代よりも寿命が短いということだ」と米国公衆衛生学会のエグゼクティブディレクターであるGeorges Benjamin氏は説明している。そのほか、HealthDay編集部がまとめた2018年のトップニュースは以下の通り。

若者の間で電子たばこの利用率が急上昇

ティーンエージャーの喫煙率は過去最低となったが、代わりに電子たばこの利用が広がった。連邦政府の最新データによれば、高校3年生の約5人中2人(37%)が過去1年間に電子たばこを吸ったことがあると回答。前年の28%から大きく上昇したことが明らかになった。専門家らは、電子タバコ製品のスマートでクールなイメージが若者に浸透し、それをきっかけに従来のたばこ製品に手を出す可能性を懸念している。そこで、米食品医薬品局(FDA)は11月、ティーンエージャーに人気のあるフレーバー付き電子たばこの販売を制限あるいは禁止する規制案を発表した。

厳しいインフルエンザシーズンに

病原性の高い型のインフルエンザウイルスの感染が拡大したこと、インフルエンザワクチンの接種率が比較的低かったこと、ワクチン株と流行株の適合率が低かったことなどを背景に、2017/2018インフルエンザシーズンは近年で最悪のシーズンとなった。CDCによると、同シーズンにインフルエンザの合併症が原因で8万人以上が死亡。その多くは高齢者や乳幼児だった。

合法化を背景に大麻使用者が増加

2018年までに米国では33州で医療用マリファナが合法化された。隣国カナダでは娯楽目的での大麻使用も合法化された。2018年7月にHealthDayと調査会社のHarris Pollが実施した大麻に関する意識調査では、米国成人の85%が医療目的での使用を、57%が娯楽目的での使用を支持していることが明らかになった。一方で、一部の専門家は大麻の普及に懸念を示している。

以上に加え、トランプ政権が廃止を約束していた医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)が引き続き存続したことも大きな話題となった。また、2018年にはがん治療で特定の遺伝子を標的とした免疫療法薬を用いた個別化医療が進展。多くのがん種に対する治療薬の選択肢が広がった。さらに、葉物野菜を介した大腸菌の感染拡大や、米国予防医学作業部会(USPSTF)の前立腺がん検診および子宮頸がん検診のガイドライン改訂、米国がん協会(ACS)の大腸がん検診ガイドライン改訂、謎に包まれたポリオ様疾患の小児患者の増加を報じたニュースも注目された。Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

 

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