大腸ポリープ発見後、多くは再検査を受けない、米調査
米国では、大腸内視鏡検査で大腸ポリープ(腺腫)が見つかっても、多くの人は推奨される時期に再検査を受けていないことが、米カイザー・パーマネンテ・ワシントン衛生研究所のJessica Chubak氏らの検討で分かった。研究の詳細は「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」11月20日オンライン版に掲載された。
Chubak氏らによれば、特定の種類や大型の腺腫あるいは複数の腺腫がある場合には、大腸がんに進行するリスクが高い。同氏は「このようながん化リスクが高い所見が認められた場合には、ガイドラインでは3年以内に大腸内視鏡検査を再度受けることが推奨されている。これは『サーベイランス大腸内視鏡検査』と呼ばれ、大腸がんの予防や早期発見率を高めるものだ」と述べている。
Chubak氏らは今回、高リスクの腺腫が発見された50~89歳の患者6,909人のデータを分析した。対象患者は、保険加入状況や支払い能力にかかわらず治療を行う3カ所のカイザー・パーマネンテ・システムまたはパークランドヘルス・ホスピタルシステムのいずれかの医療機関で、初回の大腸内視鏡検査を受けた。
その結果、カイザー・パーマネンテで初回検査を受けた患者の47.0~59.5%が3年半以内に再検査を受けていたが、パークランドの患者では18.3%にとどまっていた。パークランドの患者で再検査の受診率が著しく低かった理由について、Chubak氏は、主に患者の人口的な背景や医療資源の差によるものではとの見方を示している。
今回の研究では、腺腫の数が多く、また、高リスクな腺腫があると、推奨される期間中に再検査を受ける確率が高いことも分かった。また、年齢も一つの因子であり、60~74歳の患者は、50歳代前半の患者に比べて適切な時期に再検査を受ける確率が高かったのに対し、80歳代になると再検査率は低下した。
以上の結果を踏まえ、Chubak氏は「医師は患者といつ、どのように、大腸がん検査を受けるべきか、十分に話し合うことが求められる。また、医師や患者がガイドラインを守るように、医療システム面での対策も取る必要がある」と述べている。その上で、「将来的には、さまざまな患者集団や医療システムの面から、再検査の実施率を向上させるのに最適な方策を明らかにしていく必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2018年11月26日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
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