化粧品市場3.2兆円へ回復、価格帯別(低・中・高)の市場トレンド

富士経済が、化粧品市場の価格帯別の市場動向を発表した。2023年は、原材料費の高騰で低価格帯商品や輸入商品の値上げが進んだが、5月の新型コロナ5類移行による外出機会の増加や、“脱マスク”が進み顔全体を見せる機会が増加したことなどから、スキンケアやメイクアップなどの需要が伸び市場全体が拡大。2024年も、引き続き外出機会の増加や、渡航制限の大幅な緩和や円安の進行を受けた訪日客の大幅増加に伴うインバウンド需要の高まりで、市場は前年比4.2%増の3兆2,102億円へ拡大する見込み。コロナ禍前の2019年と同等にまで回復する。

化粧品の国内市場2024

【出典】富士経済

 

価格帯別では高価格帯と中価格帯の伸びが顕著で、いずれも2023〜2024年にかけて拡大するとみられる(各価格帯の範囲は後述)

化粧品市場、価格帯別

【出典】富士経済(価格帯別の市場規模)

 

■高価格帯:脱マスクによる高機能商品の需要増などで市場拡大

2023年は、百貨店や化粧品店への来客増加に加え、「脱マスク」で顔のたるみやほうれい線をケアするスキンケア商品や、カバー力やツヤ感を強調したベースメイク商品の人気が高まり、単価の高い高機能商品が成長した。また男性の美容意識の高まりから、ミドル世代をターゲットにしたオールインワンのメンズ整肌料の需要が伸び、市場が拡大。2024年も引き続き、仕上がりを重視し色味や質感を使い分けるために複数のベースメイクやポイントメイク商品を購入する動きが予測される他、ヘアケア・ヘアメイク商品への関心の高まりと合わせ、訪日観光客の需要も増加し、市場拡大が見込まれる。

 

■中価格帯:機能と価格のバンランスが良い”ミドルコスメ”の人気で市場拡大

2023年は外出機会が増えたことで、日焼け止めクリームや、たるみやしわの改善効果がある商品が伸びた他、“粘膜カラー”や“ネオンカラー”などのトレンドからリップカラーの商品が伸びた。中価格帯ブランドは、機能と価格のバランスが取れた“ミドルコスメ”としてSNSで取り上げられる機会が増えており、マス向けのカウンセリングブランドを中心にプロモーションの強化や新商品の発売が進み、市場が拡大した。2024年は、百貨店の集客やインバウンド需要増が進む他、医薬部外品の発売が増えていることや機能性を訴求した商品の需要増で、マス層を中心に機能と価格のバランスの取れた商品として中価格帯ブランドを選択する消費者が増加するとみられ、市場の拡大が予測される。

 

■低価格帯:高・中価格帯からの需要シフトで市場拡大

2023年は、手頃な価格で様々なメイクを楽しみたいという消費者のニーズが回復し、ポイントメイクやベースメイクなどのメイクアップ商品が伸びた。シートパックの日常使いの定着や、ビタミンCなど特定の成分を配合したスキンケア商品がSNSで話題となり、高・中価格帯からの需要シフトが増え、市場が拡大した。2024年は、韓国メイクを再現できるベースメイク商品やポイントメイク商品の需要が増加するとみられる。スキンケアは“美容医療”をコンセプトとした商品投入がみられる他、インバウンド需要の増加で市場は拡大する見込み。

 

【出典】富士経済(調査対象とした価格帯)

 

 

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