乳がん女性のホットフラッシュに抗コリン薬が有効か

多くの乳がん患者を悩ませるホットフラッシュの症状緩和に、抗コリン薬のオキシブチニンが有効な可能性があることが、米メイヨー・クリニックのRoberto Leon-Ferre氏らが実施した研究で明らかになった。研究の詳細は、サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2018、12月4~8日、米サンアントニオ)で発表された。

乳がん患者は、化学療法が早期閉経を誘発するほか、抗エストロゲン薬の影響で一般の女性に比べて「ほてり」や「のぼせ」といったホットフラッシュ症状の重症度が高い。しかし、こうした閉経後症状に一般に用いられるホルモン補充療法は、乳がん患者には推奨されていない。

Leon-Ferre氏らは今回、頻尿や尿失禁の治療に広く用いられるオキシブチニンには発汗を抑えるという副作用があることに着目。この副作用が乳がん患者のホットフラッシュの症状緩和に有用なのではと考え、乳がん女性を対象としたランダム化比較試験を実施した。

研究では、週に28回以上のホットフラッシュ症状がある乳がん女性150人を対象に、(1)低用量オキシブチニン2.5mgを1日2回、6週間服用する群と(2)低用量オキシブチニン2.5mgを1日2回、1週間服用後に用量を5mgに増量する群、(3)プラセボ群の3つの群に割り付けて、ホットフラッシュ症状の頻度と重症度を比較検討した。なお、対象患者の約3分の2(62%)は乳がん再発予防を目的に、タモキシフェンあるいはアロマターゼ阻害薬を服用していた。

その結果、オキシブチニン2.5mgを1日2回服用した群はいずれも、1日のホットフラッシュの頻度が平均4.8回減少したのに対し、プラセボ群では2.6回の減少にとどまっていた。また、オキシブチニンの用量を5mgに増やすとホットフラッシュの頻度は1日に7.5回減少することが分かった。さらに、オキシブチニン服用群では仕事の能率が上がり、社会的活動や余暇の活動が増え、睡眠が改善し、全体的に生活の質(QOL)が向上したことも明らかになった。

Leon-Ferre氏は「オキシブチニンがタモキシフェンの作用を阻害する可能性はない。また、治療費は1カ月に21~42ドル(約2,400~4,800円)で、保険が適用されれば自己負担はさらに少なくなる」と説明している。一方、オキシブチニンの副作用には、便秘や軽度の下痢、口渇、ドライアイ、せん妄、排尿困難などがみられるという。

一方、Leon-Ferre氏によれば、オキシブチニンの長期的な影響は分かっておらず、一部の抗コリン薬には精神機能の低下との関連が認められているものもあるという。例えば、同薬の服用により短期記憶や論理的思考の障害、せん妄のほか、高齢者の認知症リスクが増大する可能性も指摘されている。

専門家の一人で米ノースウェル・ヘルスがん研究所のAlice Police氏は「オキシブチニンは一部の乳がん患者の生活を一変させる可能性がある」と期待を示している。同氏は「ある乳がん女性に『乳がんを治してくれたことは感謝するが、私の人生は台無しになった』と言われたことが忘れられない」と話す。その患者は、抗エストロゲン薬が原因で、ひどいホットフラッシュに悩まされ、仕事や生活のあらゆる面に支障を来し、性生活にも影響がみられたという。「今回の研究が、このような患者にとって救いとなる日が来ることを期待する」と、同氏は述べている。(HealthDay News 2018年12月7日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

 

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